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この街(コザ)のこと その3

前回のつづき

活性化の名のもとにハコモノが建ったりイベントが行われたり。このこと自体はたぶんどこの地方自治体でも似たり寄ったりなのだと思う。

私自身も関わってきたのであまり悪くはいいたくないが、コンセプトはいいんだ。

「音楽のまち」「エイサーのまち」。

ただこれらのコンセプトを掲げても、人が集まるのはイベントの時ばかりで、それも「無料だから」来る人がほとんど。イベントに行くとだいたいいつも同じ顔がいる(私もその一人だが(苦笑))

本来は無料イベントで人を呼び込んだなら、その人達がお金を使って街が潤うのがいいがそうはならない。イベントが開催される近隣の商店街は結局イベントだからといってお金が落ちることはあまりない。

ミュージックタウン音市場でメジャーアーティストのライブがあったとしても、会場には長蛇の列だが、ライブが終わると車・レンタカーやバスで会場をすぐに離れる。街中まで足を運んでくれることは少ない。

また無料イベントが続くと、それに参加している地元アーティストが有料でイベントをやっても観客は無料になれてるため、有料ならわざわざ足を運ばない、といったことも起こる。

結局これらのイベントが街の活性化につながったとは言えない。

コンセプトはいいんだけどなぁ。


この街の名誉のために断っておくが、コザ・ミュージックタウンは市営のライブハウス「音市場」を有する施設。スタンディングで約1000人が入れるクラスのハコが沖縄にはない。普通のライブハウス(宜野湾HUMAN STAGE)で約100人。県内でも大きい方の桜坂セントラルクラスで約300人。それ以上になると沖縄コンベンションセンター展示棟で4000人クラスと極端に大きくなる。沖縄市民会館で1500人だが固定席なのでロック系のアーティストには向かない。ということでコザ・ミュージックタウン音市場はその丁度いいところのキャパでメジャーアーティストのツアーなどで人気なのである。しかも音が県内最高音質という評価もあり、施設稼働率は高い。だけどその他のテナントへの波及効果が得られなくて、音楽とは関係ないオフィスだったりにどんどん入れ替わっていった。

エイサーについても、毎年夏に行われる「沖縄全島エイサーまつり」は3日間の期間中に30万人以上が来場する沖縄県最大のイベントである。このときのホテルはどこも満杯になる嬉しいイベント(笑)。私もエイサー大好きで、エイサーまつりの時は会場で場所取りをしてお客様に一番いい場所でまつりを観てもらうよう努力している。

こんな他の地方自治体からしたらいい事ずくめの施設やまつり・イベントを有するのになぜこんなに閑散としているのか。

沖縄は車社会なのに無料駐車場がない。公共交通機関(ゆいレール)が届いていない。大型ショッピングモールがない。いろんな言い訳がある。

私自身は民宿オヤヂをやっていて外国人客も受け入れているので、宿内の案内板やポップなども多言語で表記しているが、コザの街はそれが少ない。那覇や美ら海水族館周辺など外国語表記がしっかりしており、そういった配慮がないからだ!と騒いでいた時期もあった。

しかしどれもなんとなく的外れだったかもしれない。

沖縄市では以前は「ドリームショップグランプリ」などで企画が良くて入賞したショップにのみ家賃半額などの特典を与えていた。それが数年前から、中心市街地のテナントでショップを始めるのに店舗リフォーム代の一部を補助する政策に変えた。

もうひとつ面白い現象として、那覇の桜坂や栄町市場など国際通りやおもろまちとはちょっと外れたところに面白い考えの人達が集まって活気が出てきたように、コザもそのディープさに惚れ込んだ人が集まり始めている。

スタートアップカフェコザは単なるコワーキングスペースではなく、起業したいという人のための創業支援やプログラミング・デジタルスキル向上のための施設である。なんとこんなところに3Dプリンタが4台あったりレーザーカッターがあったり。デジタルのことがさっぱりなオヤヂでも正直ビビった。

スタートアップカフェコザについてはこちらの記事も読んでいただいたらいいだろう。これはスタートアップカフェコザのオープニングイベントのときに「Startup Champloo PROXIMO」というイベントが行われた。基調講演にはソフトバンク会長孫正義氏の弟さんで孫泰蔵氏(ガンホー会長)も登壇。ものすごい盛り上がりだったようだ(はい、私はお仕事で行けませんでした)。この記事を書いたライターさんのコザ愛がまた嬉しくなります。

デジタルやアートなどそっち方面の分野の人なら楽しめるだろうが、そうじゃない一般の人向けのショップも盛り上がってきている。足立屋やでんすけ商店といったいわゆる「せんべろ」(千円でベロベロになるという意味)のお店がコザに進出してきた。一時はせんべろのお店が出店してきたためにせんべろ不況といって周辺の居酒屋が厳しくなったが、せんべろに若者が集まるようになり、中高年がまた居酒屋に回帰するようになり、全体としてコザの街で飲む人が増えてきた。

以前コザの夜のカフェバーで飲んでいる時、そこのマスターが「活性化なんて、それぞれのお店が楽しそうに商売してればいいんだよ」と言ったことがある。そして実際コザの街にはピンポイントで盛り上がる場所がいくつもできてきてそれらが相乗効果として人が人を呼ぶ光景が見られるようになってきた。街の活気がマグマのように渦巻いて噴火を待っているようである。

ただしこうやって面白くなってきた背景には、これまで隣の店のシャッターが閉まるのを眺めながらも、地道に頑張ってきた老舗のショップがあったからである。これらのお店があったからこそ「またコザに帰ってきたいな」と思える場所があったからこそである。

この15年でさまざまな移り変わりを見てきたが、2018年以降のコザはこれまでよりも楽しくなりそうな雰囲気だ。

最後にこの動画を見てほしい。「チムドンドンコザ」(沖縄市観光PR映像)。こんなおしゃれなコザ、いままで見たこと無い(笑)

https://youtu.be/I-5xV1bfi-k

おわり

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