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最近のこと

近頃は仕事柄、草むしりをする機会が増えた。
土や植物に直接触れるのが好きということもあって、除草は手袋を外して、素手で泥だらけになりながらやることが多い。

ほぼ花のみを専門としてきたこれまでの仕事のやり方から、ゆくゆくは庭づくりなどの話も受ける事ができればと、近所の植木屋で見習いとして勤めはじめて9ヶ月になる。
自分と家族の生活スタイルの変化が、知っているようで知らなかった造園という業界に、足を踏み入れるきっかけになった。

これまで花屋の店頭で庭の相談をされることも度々あったし、元々ランドスケープへの興味があったことも手伝い、思い切って植木屋の門を叩いた。

想像以上の体力仕事に、働き始めの3〜4ヶ月は身体が追いつかず、毎晩寝落ち。
今はそれよりも少しだけ身体は慣れたのではなかろうか。
しかしここ連日の30℃越えは身体に応えた。

働く前に抱いていた造園や植木屋のイメージは、最初の数日で覆った。
植木に登り半被を着て捻りハチマキ、軽快なハサミの音を鳴らして軽やかに働く姿を思い描いていたのだが、実際は延々と右から左へ泥や砂利を運び、休む間もなく植木の為の穴を掘り、多少の悪天候は気合いで乗り切る土方作業。目に入る汗と泥を根性で振り払いネコを押す。
勤め先の仕事の幅は広く、言われれば基本的に何でも受ける。最近は崖崩れの修復作業や、蛇籠という塀を作る外構仕事のような事をやった。
土方作業員は重い物を持ち歩く為、軟骨は擦り減り、中年の頃には若い頃より身長も数センチ縮むらしい。
紫外線の浴び過ぎによる弊害を口々に述べ、手軽な糖分補給を求めて、車移動中の菓子パンや甘いジュースを過剰摂取、糖尿への恐怖に怯えつつ、身体の酷使という禊ぎのような日々を、仕様もない冗談でへらへらと、ふらふらと乗り切る。


・花や植物について

除草をする時、手袋を外して土に触れる。
徐々に感覚が土と馴染んでくる。
土の温度や匂いが好きだ。
小学校に上がる前の記憶で、自宅の生垣になっていた木槿(ムクゲ)の木の下で遊んでいたことを思い出す。花の頃になると、ミント色のカミキリムシが蜜を目当てにやってくるのを楽しみにしていた。ラミーカミキリという名前で、独特な色の固い羽根が好きだった。
自宅の庭は4、5歳くらいの自分にとって、とても広かった。幼稚園や保育園へ行かなかった自分は、一日中その庭で虫を獲ったり、花を摘んだり、石の上を飛び跳ねたりして遊んでいた。

今こうして自分で庭を作ってみたいと思うことが、昔を振り返ることで、すとんと腑に落ちた。


先日の除草作業は、朝からかーーんと晴れていた。古いアパートの白い外壁が眩しかった。
錆びたフェンスに沿ってびゅんびゅん伸びた若い蔦が、雑草と絡まっている。
背の高い雑草は蔦に引き倒されたように横倒しになって一部が枯れている。
その萎びた草を刈り取るために手を伸ばした時、草の下から小虫が忙しく沸いていた。
草をめくると、土からは微かにガスのような匂いがする。
“土中には、何百、何万の土壌微生物が「共存」と「拮抗」を繰り返している”と、本で読んだことがあった。

まるで土や植物や生物の小さな声に耳を澄ましているように、気持ちは静かに落ち着いていながら、手元だけがせっせと働いている。

先日は職場の裏庭を草むしりしている時、小雨の降る中、いくつかの雑草、花弁の欠けたドクダミや名前を知らない蔓性の植物を見つけた。花には小さな雨の水滴と、泥の跳ね返りが付いている。今の自分には、それがやはりとても美しいと思えた。この花を生けたいと、久しぶりに花を見て胸が熱くなった。

・山林

上記のような理由から、自分が手入れを出来る庭のような場所が欲しいと思い、土地を譲りますという類の情報サイトなどを気にして見ている。
そして今日、一つ物件を確認してきたが、地目が山林だった。1100坪程ある。ご縁があるか無いか、もう少し話を進めてみようと思う。
以前は自分の場所を持ちたいと、店舗や事務所になるような物件を探していたが、今はこういう形に落ち着いている。












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