先日のこと、ピンポンズさんのライブのこと
先日、作業場にと考えている物件へ内見に行った。担当の方と待ち合わせの13時半より10分前に着くように、大井町線と池上線を乗り換えて、現地へ向かう。
最寄駅の、雪が谷大塚駅には初めて降りた。駅近くに広がる商店街には昔ながらの惣菜屋、定食屋、蕎麦屋、喫茶店、理髪店などが賑わっていて、気分が上がる。
駅前のチラシ配りのお兄さんと目を合わせないよう、道の端を歩くのに気を取られていたら、道を一本間違えた。
現地は駅から徒歩3分のはずが、うろうろ遠回りをすることになって、結局予定ギリギリに着く。
小走りで物件に到着すると、先に着いていた担当の方が「あ、もしかして先に来られてました?」と、程よく力の抜けた口調で言われたので、少しホッとした。あの俳優に似ているなと思ったけど、名前が思い出せない。以前、菅田将暉と有村架純のドラマに出ていた、あの俳優。
物件はなかなか良くて、改装もある程度自由にできるらしく、白壁もイジり方次第で面白くなりそう。不定期の展示会程度なら、人の出入りも問題ないとのこと。
あとは通勤時間の事なんかがあるので、もう少し迷ってみようと思う。
アーティスト・ラン・スペースというのがあるらしい。
作家自身がディレクターになって運営するスペースのことで、作品の販売や、作家同士の交流の場に使われる事が多く、従来のギャラリー中心のアートマーケットから距離を置いた場所として、全国各地で静かな盛り上がりを見せているらしい。
らしい、というのは実際にアーティスト・ラン・スペースなるものに行ったことがなく、ただ定義としては、自分のやりたい事に近いのでは?と感じていて、いつかそんな場所になれば良いなと、漠然とした方向性として思っている。
その日の夜は、世田谷ピンポンズさんのライブを観に、下北にある古書店へ。
ご本人とはあまりお話しできなかったけど、一緒に東京入りしていたwacaちゃんに会えて、少し話ができた。顔が見れただけでもよかった。
誰かに会いたくて、こうやって一人で夜に外出するのも久しぶりだった。
ライブはお世辞など無しに、とても良くて、もう少し観ていたかった。歌詞のひとつひとつを繰り返しなぞりながら聴くと、ピンポンズさんは「今」確かに此処にいるんだな、という思いが湧いて、それは僕がピンポンズさんと何度かお会いしたことがあるので、幾分感情移入し易いという、それだけのことではないのだろうと思えた。
下北にある古書店の、観客の、その前に立つピンポンズさんの、0地点の「今」を見ている気がして、それは僕自身の「今」になり、僕はこれが見たかったんだなと、温かい何かが腹に落ちた。
マイリトルトーキョー、震えました。
自宅に帰り、ピンポンズさんの自由律俳句集「and moreのなかに入れられている」の小冊子版?の裏表紙にあるご本人のプロフィールを何気なく読んだら、「ノスタルジーで終わることなく「今」を歌う。」と書いてあった。
「同じこと書いてあるやん」と思わず声に出た。
そう言えば、「前回のライブの日も雨でしたね」と、ピンポンズさんにお会いしたら話してみようと思っていたら、ライブが始まった開口一番、本人の口からその話題が出た。
そりゃそうだよな、と思いながら、「同じこと言われてるやん」と自分を笑ったのだった。
次のライブも楽しみにしている。
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