同級生以上、幼馴染未満
最寄駅で小学校の時によく遊んだ、あいつに声をかけられた。最後に会ったのは地元での最後のバザー。実に7、8年振りの再会だった。
あいつの事を表すなら、生き物好きのやんちゃ坊主。クラスで保護した雀の世話に率先して取り組んだり、校舎内を駆け巡る鬼ごっこをしたりする、アホではあるが憎めない奴。私もそこそこにアホで、言葉尻を取られてムキになって言い返しながら鬼ごっこに興じ、あいつの突拍子もない思いつきにツッコミを入れていた。だから、仲は悪くなかったと思う。
疎遠になりだしたのは中学に上がってからだった。特に仲違いをしたわけではない。性別、クラス、部活動で分かれたのが原因だろう。それでも、部活もない休日に地元のイベントで会えば、いくつか言葉を交わし、ふざけた内容に茶々を入れて笑い合う、そんな関係だった。
そして今日、再会して話をしたわけだが、どこまで踏み込んでいいか、分からなかった。何の仕事をしているのか、親兄弟は元気にしているのか、聞きたいことはいくつもあった。だが結局、私が知れたことは、久しぶりに隣の県から帰って来たことぐらいだった。私は随分とコミュ障になってしまった。
小学校からの同級生というには近く、幼馴染というには遠い、あいつと私。それでもあいつは、一月前に髪を切り、メイクもしてマスクをつけた私に、迷いもなく声をかけたのだ。そして私も一目で、帽子を被りマスクをしたあいつが誰か分かった(念のため、あいつ本人か確認もした)。
少し考える。大概、私は同窓会に参加すると、小中高、どの時の同級生からも「変わらないな」と言われる。それが「いつまでも子供っぽい」と言われているように思い始めたのは、いつからか。しかし、今回はそれが功を奏したのかもしれない。実際、私の服装は最後に会った時と似通っていた。何より、あいつとよく遊んだ時期、私はいつも髪が短かった。だから、あいつは私を見つけられたのではないだろうか。
気やすいけど少し距離のある、かつてよく遊んだ仲の、適切な名称はまだ分からない。しかし、私はあいつとの日々を思い返すと、クスリと笑って楽しくなれるのだ。だから、あいつとの関係性を「同級生」という冷たい分類にはしない。
連休が終わって、あいつが隣の県に戻っても、またいつかの同窓会で会えますように。