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【営業部リーダー×社長対談】 エース2人が社長と語る、GOWの営業の極意とは

GOWならではの魅力やこだわりを顧客に伝えるストーリーテラーとしての役割が求められる営業部門。今回は、GOWの販路拡大で大きな成果を上げている“ミスターGOW”こと外木場晢史(ほかこば・てつし)さんと、試食販売等を通じて取引先から絶大な信頼を得ている“ミスターアクア”こと吉田喜久男(よしだ・きくお)さんが、その仕事の極意について増永社長と熱く語ります。

営業担当は、GOWの魅力を伝えるストーリーテラー
――GOWの魅力を最前線で発信する役割を担う営業は、とても責任の重い仕事だと思います。営業担当として商品を売る際は、どのようなことを心掛けているのですか。

吉田:営業は、お客さまのご要望にお応えしつつ、加工場が最適な形で出荷できるよう、調整役として機能する必要があります。双方が抱える要望や事情を踏まえ、営業がすり合わせをしていきます。調整において課題となる点は、その年によってさまざまですね。今年はサイズの問題に少々苦労していますが、数の調整が課題になることもあります。このようなことが原因でお客さまが離れてしまわないよう、丁寧なコミュニケーションを心掛けています。

外木場:私は、お客さまに「当社では生産・製造に多くの人が関わっている」ということを伝えるようにしています。「だから価格が高い」ということではなく、「多くの人が関わることで、しっかりとした品質を担保している」という点をお伝えするためです。

社長:GOWの営業は、一般的な営業の感覚でやると失敗するんですよ。うちで営業の仕事をやっていく中で、生産・製造の現場や業界のことを深く理解していくと、売り方が分かってくる。GOWの営業は、単に商品を売るのではなく、「やっていること」を売るんです。うちの会社が「やっていること」の付加価値がきちんと伝われば適正な価格で売れるし、伝わらなければ他社商品と同じに扱われてしまう。他社商品と同じにされてしまっては、売れたところで利益が出ない。この辺りが普通の営業と違うところです。この仕組みが分からないと、うちの営業はできないですね。

――GOWならではの魅力を、最終消費者まで伝えていきたいですね!

吉田:そうですね。 私は試食販売を通じてお客さまの生の声を聞く機会がありますが、「おいしい」と言っていただくことも多く、とても励みに感じています。次回の試食販売を楽しみにしているというお客さまもいらっしゃるなど、最近ではわれわれの試食販売や『ぶり職人』のブランドが少しずつ定着してきていると実感しています。スーパーの店頭で『ぶり職人』のシールを貼り忘れていた時は商品が売れず、貼ったとたんに売れ出した、という現象も起きているんですよ。


社長:うちの工場の人たちがしていることは、実はすごいことなんです。社内ではそれが当たり前になっているから、つい忘れてしまいがちだけど、営業の人たちだけはその「すごさ」を忘れてはいけないと強く思います。営業担当は、自社の商品を一番好きでなくてはいけない。商品に慣れることなく、そのストーリーや魅力を伝えられなくてはいけない。そのために、僕はいつも「情報をとれ」と言っているのですが、他社の加工場を見学したりして、繰り返し自社の独自性を認識することも大切だと思います。今日参加してくれている外木場さんは“ミスターGOW”、吉田さんは“ミスターアクア”というべき優秀な営業部員だから、その辺りのことは言わずもがなだと思いますが(笑)。

“価値が分からない相手には売らない”。営業に必要な気概とは
――営業は、生産側とマーケットの間でバランス感覚が求められる難しい立ち位置ですね。  バイヤーとの関わりの中で気を付けているのはどのような点ですか。

吉田:やはり、最終消費者であるお客さまに目を向けて、ニーズに応えるご提案をしていくことが大事だと思います。私が担当しているスーパーのバイヤーさんが「『消費者にとって良い』と言われると弱いんだよ」とよくおっしゃるのですが、バイヤーの皆さんも「お客さまをがっかりさせたくない」という気持ちを持っています。ですから、「うちのブリであれば、このようなお客さまのニーズにお応えできますよ」ということを伝えることが重要だと思っています。

社長:向き合うべきは、最終消費者のニーズです。生産者やバイヤーの都合ではなく、お客さまの声を聞くことが大切です。また、バイヤーと取引をする際に忘れてはいけないのは、バイヤーはブリを専門に扱う方々ではないため、ブリについてはそこに特化しているわれわれのほうが熟知しているということです。このような事情のため、時にはバイヤーがGOWのブリの価値を理解せず、理不尽な要求をする場合もあります。例えば、ライバル社の魚を引き合いに出して値下げを要求する、といったことですね。そのような要求に対しては、「売らない」と言って帰ってくればいいんです。僕は、うちの会社の皆の苦労やそれによる商品の付加価値が分からないところには売りたくない。年間を通して現場で汗をかいている生産・製造の仲間のためにも、たとえ5000尾見込んでいた売上がゼロになっても、納得のいかない要求に対しては折れるべきではないと思うんです。お2人も、そういう気概で営業をしてくれていると思います。

販路拡大から物流改革まで、できることはたくさんある
――近年では、水産業における商流もどんどん変化しつつあります。

社長:時代の変化とともに、荷受や仲卸といった市場のシステムも変わっていくでしょう。変わっていかなくてはいけないのは、われわれも同じです。まず、うちに必要なのは、売り先の目線を変えていくこと。徹底した管理で安全性を確保しているうちの商品は、従来のようなスーパーやお寿司屋さんだけでなく、学校給食や病院食、社員食堂などにもおすすめできるはずです。

また、料理のレシピを増やしていくことも重要です。既にブランディングの一環として進めていますが、料理の幅が広がり用途が増えれば、販売も伸びます。例えば、刺身では3切れしか食べられないものが、焼き魚やしゃぶしゃぶにすることで、より多くの量を食べてもらえるわけです。ただし、焼き魚だと刺身と比べて値段が下がるという問題があるので、その点は工夫をしながら物量を伸ばす必要があります。

このような取り組みに加え、生産現場では原価を下げる努力もしていかなくてはいけません。魚の価格はどこの国でも大体一緒で、400円から700円の価格帯の魚はよく売れます。それで人気を博したのがサーモンですね。一方で、価格が1000円、2000円という魚は富裕層しか買わない魚になってしまう。われわれが取り扱っているブリという魚も、回転寿司では2貫で100円の皿に乗らなくてはいけない魚ですから、そのような価格帯にできるよう努力しなくてはいけないんです。

――価格競争も、なかなか難しい問題ですね。

社長:魚については物流費を除くマーケットプライスはどこでもほぼ一緒なので、物流費の対策が重要になってくると思います。当社は拠点が鹿児島ということもあり、そろそろ物流対策に本腰を入れるべきでしょう。物流会社は配送ルートの最適化などができるシステムをもっていますから、物流は全て外部委託して、社内では製造に特化してもよいのではないかと思います。

現状では、配送は外部にお願いしていますが、発注等は社内でやっています。そのために、社員が早朝や土曜日に出社したり、工場が終わる時間まで待っていなくてはいけなかったり、というケースも生じています。コストだけでなく仲間の負担を軽減するためにも、物流対策は重要な課題です。――その辺りも、ミスターGOWとミスターアクアは、必要性に気付いているんじゃないかな?

外木場:そうですね。現状では、度々運送会社に連絡して確認しなくてはならなかったり、言い値でやっていたりする部分があるので、改善する余地があると思います。

社長:コンビニなども、昔は社内でやっていたようですが、今では外部委託していますね。うちはコンビニほどの物量はないけれど、引き受けてくれる物流会社はあると思いますよ。そうであれば、外部委託したほうが効率がいいし、お客さまのためにもなる。

こういうふうに、コストを削減したり、現状をよくするためには、まだまだいろいろな改革ができると思います。やることがあるって、いいことですね!やることがなくなって仕事がないほど、きついことはない。

優秀な人ほど陥りやすい罠がある!?さらなる高みを目指すために
――社内外に対して気配りが求められる営業の仕事ですが、逆に他部署の方など、周囲に対して求めることや期待していることはありますか?

外木場:やはり、これからの課題は「いかに尾数を増やすか」ということですね。これは周囲に求めるというよりも、自分がやっていくことではありますが。周りに求めることは・・・・・・(考え込む)

社長:2人とも能力の高い“4番バッター”だから、一人で仕事をしている傾向があるんじゃないかな。能力がある人ほど、気が付かないこともある。例えば、仲間の大切さとかね。

――優秀だからこそ、一人で仕事を進める中で、見落としてしまう点があるということでしょうか。では、理想的な社内外との連携とは、どうあるべきでしょうか。

社長:自分が所属している部署や会社以外の人たちを、いかにリスペクトするか。リスペクトすれば、相手をよく知り理解したいと思うので、動きも変わってきます。外木場さんは社歴も長く、いろいろなことが分かってきていると思いますが、もっと欲を出してフットワーク軽く活躍してほしいと期待しています。吉田さんは、スーパーの営業や試食販売で絶大な信頼を得られていますが、次に向かうところとしては、仲間へのリスペクトというか、自分がしてきた苦労を仲間にはさせないよう後任を育てることだと思います。

要するに、2人ともプレーヤーとしては実力者なので、後進の教育をする立場になってきているんです。会社は日々成長し、新陳代謝していかないと、同じことをやっているだけでは「あれ、いつの間にか業績が」「昔はこれでよかったのに」ということになってしまいます。周りが変わっていき、会社も次々に新しいことをやって拡大していく中で、皆さんが体験したことを仲間や後輩に伝えて全体を引き上げていってほしいと思います。

また、これから先のお2人にとっては、自己評価や社内での評価ではなく「業界からどのような評価を受けるか」が大事になってきます。社内だけでなく、社外の人に対しても労を惜しまず一生懸命貢献していれば、それが良い人間関係や人脈につながる。そして、それがいざというときに自分の大きな力になります。例えば、「一万匹魚が余りました」という事態になったとき、マネジメントや経営にはそれを解決する能力が求められます。自ら動いて魚を売ってくるのか、解決策について知恵を授けるのか。どちらかができる力を持っておくためには、業界での信頼関係が不可欠です。

そういう意味でも、仕事は一人ではできないものなんです。先ほど、「一人で仕事をしている傾向があるんじゃないか」と批判的な言い方をしたのは、その辺りがお2人の課題だと思うからです。それぞれの仕事には本当に感謝しているし評価しているけれど、ぜひ今後は経営の視点をもって、よりマネジメントのほうに入ってきてもらいたいですね。

吉田:私は日頃から「現場の皆さんを裏切ることはできない」という信念をベースに「どう戦っていくか」を考えているのですが、本日のお話を聞いて、その思いを新たにしました。チーム全体として強くなっていくためには、やはり、しっかりと情報を伝え合うことが大切だと感じています。

外木場:自分にとって足りないものが見えてきた時間だったのではないかと思います。ありがとうございました!

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