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【スペシャルインタビュー】目利きが語る!紀ノ国屋と亀和商店のこだわりと本物の価値とこれからのビジョン

7月より、高品質スーパーマーケット紀ノ国屋にて、弊社のナショナルブランド『ぶり職人の生漬け焼き魚』の販売がスタートしました。

紀ノ国屋は、1910年に創業し、高品質で厳選された食品を提供していることで知られています。

今回、同社のバイヤーである中野様と、豊洲市場の有名な仲卸である亀和商店の須永様にもインタビューさせていただきました。

亀和商店は、鮮度と品質にこだわり、数々の名店や企業に商品を供給してきた歴史を持つ仲卸です。お二方は業界トップの目利きであり、貴重なお話を伺うことができました。


◾️紀ノ国屋バイヤー 中野さん 自己紹介

紀ノ国屋に入社して20年になりますが、これまで一貫して水産部門に携わってきました。約15年前からはバイヤーとして仕入れを担当し、その頃から須永さんともお付き合いさせていただき、今日に至ります。現在は、野菜、果物、肉など全体の仕入れも担当し、全体を統括させていただいております。

須永さんとはこの10年の間に、年に4~5回ほど全国各地を共に出張し、地域のさまざまな食材を探してきました。また、御社にお伺いさせてもらって、御社の理念や加工技術について多く学ばせていただきました。御社の製品も、とても美味しいと感じています。

(左)中野さん(右)須永さん GOWにて


◾️亀和商店 須永さん 自己紹介

豊洲市場の仲卸業者です。亀和商店では33年くらい仲卸業者をやってます。
豊洲市場に移ってから5年ほどが経ちますが、築地市場と豊洲市場の差をちょっと感じてるところなんです。5年前にこの豊洲市場に移ってきて、築地の昔ながらの雰囲気が好きだったんですけど、豊洲に移るとそうじゃなくて管理された建物の中で仕事するっていう、、でも夏場は汗かかずに済んだり冬場もあんまり寒い思いをせずに済んだりとか、そういうことがあるんで魚の鮮度を保持することもそうだし従業員の職場環境を考えると、今の時代に合った市場なのだと感じています。33年の経験の中で、その流れを実感している今日この頃です。


トライ&エラーで新アイデアや商品を追求。亀和商店が築く信頼のカタチ

ーー須永さん、目利きとしてどんな感覚を持ってものを見ているのか知りたいです。

須永:まぁ、豊洲市場だけじゃなくて、仲卸さんってどこにでもたくさんいると思うんですけど、取引先さんの色が自分たち仲卸の色になってくるんだろうなと、そんな気がしています。紀ノ国屋さんももちろんですけど、紀ノ国屋さんと同じような品物を用意してほしいという料理屋さんやホテルなど、そういった取引先さんがあるおかげで、亀和商店は今の色があると思っています。

とはいえ、魚がだんだん減ってくると、すごく狭い世界の中で商売するしかなくて、どの仲卸も同じものを同じところで、同じような値段で仕入れているんですよね。それをお客さんに販売するわけです。そうすると、どんどん商売の幅が狭くなってきてしまいます。じゃあ、もっと直接産地から仕入れられるものがあるんじゃないかとか、豊洲市場には来ないけど、こういった場所に行けばこんなものがあるのではないか、そんなことを考えるようになりました。そういう情報をお客さんに案内して紹介できる、引き出しの広い会社でありたいと思っています。

紀ノ国屋の中野さんと一緒に取り組ませていただく中で、全く無駄な出張になる時もあれば(笑)、実になる時もあります。ただ、行ったことがすべて成功するわけではないので、そういうことを繰り返しながら、狭い世界で商売するよりも、お客様に『あ、亀和商店にちょっと頼んでみようか』とか、『ちょっと相談してみようか』とか、『あそこに行けばもしかしたら何か教えてくれるかもしれない』と思っていただけるような会社でありたいと思っています。

豊洲市場での須永さん


ーー弊社の宮村が須永さんとコンタクトを取る中で、紀ノ国屋さんにこの魚を紹介しようと思ったきっかけは、どのあたりにあったのでしょうか?

須永:やっぱり最初は、一生懸命さじゃないですかね。『うちの養殖業を見てもらえればわかるんですけど』というところから始まって、話を聞いているうちに、あまりにも一生懸命お話ししていただけるのでね、『じゃあ、それだったらぜひ』というのがきっかけですね。


ブランドを形成していく上で一番大事なのは中身。名前は後からついてくる


ーー紀ノ国屋さんといえば、やはりブランド力が圧倒的ですよね。誰もが知る存在ですが、このブランド力はバイヤーの力も大きいと思います。ブランディングの観点から、中野さんはどのようにブランドを育ててきたのか、お話を伺いたいです。

中野:これは社内でも考え方は色々あるんですけど、基本姿勢は『いいものを売ろうよ』というところから始まっているんですね。僕は今、果物なんかでももっとブランド力が必要だと思っていて、少しずつ取り組みを始めています。この話は魚とはずれてしまいますが、果物の有名なところといえば、やはり老舗の高級果物店が思い浮かびますよね。そういったお店と同じものを仕入れ、同じものを販売しているんですけど、紀ノ国屋の果物ってそこまで着目されていない感じがあって、もっとブランディングできるんじゃないかと思っています。

じゃあ、どうやってやるのかっていうと、いろんな課題をクリアしていかなければいけないんですが、クオリティを上げていくとか、一定の良いものを提供するとか、従業員の教育とか、そういう要素もありますね。ただ、僕がブランド力を形成する時に注意しているのは、名前を売りすぎないことなんです。

以前、水産新聞に出ていた話で、各地で養殖された鯛がそれぞれの地域名やブランド名で販売されているものの、豊洲の大卸さんに一度入ってしまうと、それらのブランド力が薄れ、単に『養殖の鯛』になってしまうらしいんです。いろんな名前の鯛が、一生懸命にブランドを売り出そうとしているのに、『養殖の鯛』と一括りにされてしまうのは本当に残念ですよね。その生産者さんたちの思いが、そこで途切れてしまっている部分もあると思います。実際の消費者の判断では、そこまで名前を呼べるほど格差がない、という評価もあるかもしれません。

僕の考えでは、ブランドを形成する上で一番大事なのは『ぶり』そのものであって、ぶりの中身です。お客様がはじめて、このぶりを食べたときに、『なんていうぶりなの?』と聞かれるくらいになった時、そこで初めて『こういうぶりだよ』と名前が後から追いかけてくるんだと思うんです。後付けでついてきた名前というのは、お客様が絶対に忘れないんですよ。だから、『おいしい』という評価があってから名前にたどり着くのが理想なんです。逆に、名前が先行してその品質にたどり着いてしまった場合、期待を裏切ってしまうとブランド価値が棄損してしまいます。

僕の考えでは、商品ありきでブランドは後々形成されるものなんじゃないか、と最近感じています。

プロフェッショナルな二人が共通して持つ、日常の自己への問いかけと探究心


ーープロフェッショナルなお二人のライフスタイルを知りたいです。

須永:自分は帰ったら卵かけご飯ズズズと食べて寝ちゃう感じですよ。だいたい仕事の出勤が11時半なんですね。で、帰るのがだいたい深夜3時くらいなんですよ。3時から飯食って、5時くらいには寝たいなと思ってるので、風呂入って飯食ったりして5時くらいに寝て、10時半に起きるっていうのが、だいたいのパターンですよ。中野さんとか、いいもの食べてますよ(笑)。

中野:僕は毎日作ってます。なんでも食べます。天ぷらも作るし、フライも作るし、なんでも作るようにしています。最終的には末端の販売者なので、そこまで意識はしてないんですけど、食べてみないとわからないこともあるし、作り方がわからないと説明できないってこともあるので。ただ、自分で作ることも好きだし、食べることも好きなので、基本的には、毎日だいたい作りますね。

須永:すごいですよね、毎日作るなんて。

中野:その代わり、人に出せるようなものじゃないですよ。家族で食べる分にはいいと思う。ただ、最近はあんまりないんですけど、寿司なんかでも、店をオープンさせるとか、僕、寿司も担当やってるんですけど、店をオープンさせるときなんかは、2ヶ月くらい酢飯だけを食べるんですね。
(一同:えー!!!)
メニューを作るときに、とにかく酢飯の上にいろんなものを乗っけて、それでメニューを作っていくんですけど、そこまでやってもなかなか売れるもんって出てこないです。以前、牡蠣屋さんに行ったときに、『牡蠣でいい商品はないですか』って、加工品の話で須永さんとそんな話につながって。365日、牡蠣を食べてれば、何かしら見つかるから食べてみてくれって依頼したことはあります。でも、多分僕も2ヶ月くらい酢飯を食べ続けると嫌になっちゃって、色んな食べ方が出てくるじゃないですか。もう宮村さんは言わなくてもやっていただいてると思うんですけど、ぶりを毎日食べてるんじゃないかと思うんですけどね。(宮村さんバツが悪そうな顔して一同爆笑)
食べ続けることで飽きちゃって、同じものをお客様が4回くらい買うと飽きるんだなっていうこともよくわかってきました。だから、そこは何か変化させたり、季節ものにしたり、味を変えたり、商品が一発目に売れて徐々に売れなくなっていくって、そういうことだと思うんです。僕はそういうことも頭に入れながら、毎日料理を楽しんでいます。
(一同:すごい!!)

須永:すごいですよね。そんな時間、ないよね。中野さんの日常のサイクルを聞いてると。

中野:もうバタバタですよ(笑)。

須永:よくそんな時間を作れますよね。自分だと無理してじゃないとできないから、根っから好きなんだよね。


ーーお二人は座右の銘や、自分哲学のようなものはありますか?

須永:座右の銘じゃないけど、自分に『お前、ちゃんとやれてんの?』って常に問いかけることは大事だと思ってます。全部はできないけれど、自分次第で周りが変わるんじゃないかって。だから『お前どうなんだ』っていう自分への問いかけが、一番自分にとっていいことなんじゃないかと思ってます。(一同:お〜!!!)

中野:座右の銘とかあんまり考えたことないんですけど、須永さんと似てますね。今年で僕は50なんですけど、どこまで自分ができてるのかわからないから、今になって勉強してみたりしてます。50代の方を見てると、この人は色んな知識を持ってるんだろうなって感じます。その知識を補うために、いろんなものを吸収しようとしています。でも、自分がどの程度できてるのかがわからない。意外と自己評価が低いんですよ。だから、自己評価を上げていくために、何かなって常に考えてますね。

ーー今回、このインタビューの質問を考えていた時、プロフェッショナルの最前線にいる方々のマインドを知りたくて、この質問をしました。聞けて良かったです。私たちからしたら、もうすごい場所にいるのに、探究心があって謙虚で、まだまだっていう姿勢が本当にすごすぎます。


時代にぶつかって売れるものじゃなくて時代と共に売れていくもの

ーーバイヤーさんにぶっちゃけ聞きたい質問があります。天然ぶりはもちろんいいですけど、養殖ぶりの価値を上げるにはどうしたらいいですか?

中野:でも、養殖ぶりって結構、養殖業が今、時代の流れとして受け入れられてきていると思うんです。ただ、うちなんかは舌の肥えたお客様が多いので、それこそ5年前までは、養殖=悪だったんだよね。養殖物はもう、体に悪いから食べないって方が結構いらっしゃって。でもそれは10年前かな。それが徐々に徐々にSDGsだったりとか資源の問題、食品ロスだとか、まあ色んなのが取り沙汰されるようになってからは、お客様の方が知識が高く、紅麹の問題もそうなんだけど、ああいうのもそれぞれ選択して、スーパーの中でも選択して買うようになってきたのは結構大きい。ブリなんかでも天然物がいいとか養殖物が悪いとかではなくて、そのお客様が気に入ったものであれば、全然、天然よりも養殖が勝ることもあるし。かといって夏場の天然ぶりを食べたところで、冬の美味しさより劣るわけじゃないですか。だから本当に美味しいのは冬場のいい時なので。そんなこと考えると、養殖ぶりって周年食べれるという部分では、価値があるなと思ってるんですね。

で、よく販売店数を増やそうとすることで売り先がわからない生産者さんが、わからないところに流していってしまうと、自分たちはそれ一切れ千円で売ってても、買いたいっていう希望があっても、末端価格でいつの間にか300円で売ってるって現実、ありますよね。だから、ブランド価値じゃないけど、価値を上げていきたいって部分であるならば、ここで売って欲しいってところは見つけた方がいいと感じますね。『うちの製品はここで売るべきでしょ』って、『ここでしか売らないよ!』とか、『こういうランクのところしか売らないよ』とか。価値を上げるっていう部分では、販売ルートをしっかり持つっていうことが必要なのかな。

多分、ものすごく爆発的に急激に価値が上がるものって、なかなかないと思うんですけど、それって例えば(指で円を作って)円があったとして、円の中で、我々商品を作ってるんだけど、これを商品とすれば、突き抜けていく時に、ここで円と交わるじゃない?ちょっと交わった時に、ここで爆発的に売れるものって、この丸い円の中で、こう指が入ってきた時に、ここで売れるものは食べるもので、でも食べるラインってそのまま突き抜けていっちゃうから、もう終わっちゃう。だから、僕らが目指さなきゃいけないのは、円の内側をちょうどギリギリのところを永遠に回転してるもの。時代にぶつかって売れるものじゃなくて、時代と共に売れていくもの、ていうのを僕は目指したいなと思ってる。

食べるラインは一瞬で終わっちゃうんで、誰もが羨ましがって、追随して色んなものを作ったりするんだけど、その時にはもうブームが終わってるんだよね。ズバンといってしまって、見えないところにいってしまうので。それがヒットしたのは、時代の流れにズバッと刺さったっていうイメージなんじゃないかなって感じるんですよ。それこそ価値を高めて、販売していくって、この円に沿って価値を落とさずに販売していく方が、なんかいいような気がしますね。


ーー現在、ぶりを使ったアレンジレシピを考え中なのですが、ぶりはサーモンに比べて食べ方が少ないのですが、バイヤー目線からどのようなレシピがあったら良いなというものがあったら教えていただきたいです。

中野:結構そこは、僕も今回販売させていただいて、逆に勉強させていただいた部分が多くて、一番売れるのが西京焼きと照り焼きだと思ってたんですね。

ーーそうです!西京焼きと照り焼きが人気です。

中野:それで僕の考えでは、各店舗に西京焼きと照り焼きが売れるから、重点的に販売していくと言ったはいいんですけど、実際に売れてたのがネギとバジルだったっていう。そこってすごく時代の流れなのか、そちらの方が非常に評価高くて、リピーターさんも結構いらっしゃって。だから、僕の感じでは、ぶりって照り焼きや西京焼きでしょっていう固定概念がずーっとあったので、そういうことを考えたら、すり身にしたりとかね、なんかツミレなんてのもあってもいいだろうし。昔覚えてないんですけど、料理屋さんで食べた、ぶりがめちゃくちゃ美味かった記憶があって、すごく美味しかったっていう記憶が僕の頭の中にずーっとあるんですね。あとは全部忘れてしまってるんですが、だけどそれぐらい美味しくなる魚なんだなっていうのはわかったっていう。ほんと今回は勉強させていただきました。

宮村さんがこれから毎日、天ぷらにしたりカルパッチョだったり色んな食べ方をしてくれるだろうから(一同爆笑)
ネギとバジルが好評だったので、ぜひ他のアイテムもご紹介いただければと。

宮村:ありがとうございます!

ーーでは最後にアクアブルーに対して、生産者側としてもっとこうしてほしい、こうあってほしいというご要望はありますか?

中野:バジルとネギもやはり飽きはきますので、新しい味はもちろん、現在あるものをローテーションで出させていただければ、その辺はまた打ち合わせさせていただければ。

宮村:はい!ありがとうございます。本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。


ぶり職人の漬け焼き魚
紀ノ国屋さんにて絶賛発売中!!

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