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【若手リーダー×社長対談】うちの工場はナンバーワン!

GOWグループの「要」として存在感を発揮している加工部門。今回は現場リーダーの下假直人(したかり・なおと)さんと「三枚おろしのエース」との異名を持つ北方蓮(きたかた・れん)さんが、増永社長との座談会に参加してくれました。

――GOWはやっぱり加工部門から始まった会社ですし、加工の皆さんのキャパシティーがそのまま1日の出荷量に直結すると思います。何年も試行錯誤して現在のオペレーションになったと聞きましたが、社長はこれまでの成果をどのようにご覧になっていますか?

社長 たぶんうちの工場は一番なんです。アメリカのFDA(食品医薬品局)とか、日本のいろんな有名な回転寿司屋さんとかスーパーマーケットの人たちが口を揃えてそう言います。うちの工場の人たちが普通にやっていることは、他の工場の「普通」ではないんです。
たとえば、加工時に徹底して水を使わないことも、うちの人たちでなければできません。他の加工場は真似できない。どこの工場でも菌の繁殖を抑えるために水を使います。それで品質の劣化が起きるのは分かっているけれど、やめることができません。
でもうちの人たちは水を使わずに、菌の繁殖を抑えて加工しています。メカニズム的になぜ菌が増えないかは分かってないかもしれないんですけど、現実問題としてそれができている。これはすごいことです。
創業時からのメンバー、北方や椎原や工場長たち。彼らが中心となって積み重ねてきたことの成果です。あと、パートのおばちゃんたちもすごいです。そこも含めてやっぱりチームとしてすごいんじゃないかな。

右から北方蓮(きたかた・れん)さん、下假直人(したかり・なおと)さん、増永社長とインタビュアーの安達

――加工場では毎日の作業後に、もっとああしよう、こうしようと話し合ってオペレーションを構築していったと聞きました。そうしたコミュニケーションをとっていると離職率なども低いのではと思いました。

社長 離職率も低いし、辞めた人が戻ってくる率も高いんじゃないかな。おまけにうちで働いた人は他の工場に行っても必ず活躍できます。それくらいスキルアップしますから。でも最初の7年くらいは、社員が辞めて当然な状態でした。

下假・北方 (うなずく)

社長 きつい。要求されるレベルは高い。働く時間は長い。会社が急速に成長したのでそのぶん苦労したと思います。

――なるほど。

社長  バランスの悪い時期を過ごしてしまいましたが、でも彼らがどんどんオペレーションを改善してくれました。今は昔と比べて人も揃ってるし、働く時間も短いし、いろいろなものが改善されてきています。あと10年たてばもっと働きやすい職場になっているでしょう。
一方で、働き方改革のひずみも出てきたように感じます。自分たちの働きやすさ、早く帰ることを優先して大事な点が抜け落ちていないかと。要はプロダクト。マーケットインもプロダクトアウトも両方大事ですが、プロダクトが先行しすぎている様子が見え始めているということです。
働き方改革が進むのは経営者としても嬉しいことです。けれど、お客さまの満足度が下がれば、僕らの存在価値はなくなってしまいます。特にマネジメントの立場の人はそこのところを常に考えておいてほしいです。

壮絶だった創業期

――初期の頃は会社が大きくなることによる「成長痛」みたいなものがたくさんあったことでしょう。今日いらっしゃったお二人は、たぶんそれを全部経験されていると思うんです(笑)。当時会社を辞めようとは思わなかったですか?

下假・北方 ……。

社長 やめそうになったことは何度もあったと思いますよ。

――なぜそこで踏みとどまれたんですか?

下假 僕の場合、一番はやっぱり仲間の存在でしたね。

社長 みんな余裕がなかったから、実際にやめるところまで行き着かなかったのかもしれませんね。想像を絶するぐらい忙しかったですからね。
下假・北方 (うなずく)

――その頃のことは覚えてますか? もしかして忙しすぎて当時の記憶がない?

下假 いや鮮明に覚えてますよ。人数も少なかったですし、加工する尾数はそれなりにあったので、やらないとどうしようもなくて…。朝4時頃から働くのは今も同じですが、終わる時間がだいぶ遅かったですね。深夜までぶりをさばいていました。長時間労働で睡眠は約3時間という時期もありましたし、めまいに悩んだり疲労で吐いたり…。それぐらいきつかったですね。

北方 それでも続けてこられたのは、やっぱり仲間がいたからです。苦しいのはみんな同じだから、助け合い、励まし合っていました。

――チームの雰囲気がよかったんでしょうね。下假さんはその頃どなたが上司だったんですか?

下假 今はアクアブルーの工場長をされている豊慎一さんです。すごく元気な人で、自分が疲れててもそれを外には見せず、ゴリゴリ引っ張っていく。パワー系の人です。

社長 豊は創業時からいる7人のうちの1人ですね。思い出します。7人で一緒に、工場の近くの民家で寝泊まりしてました(笑)。

「三枚おろしのエース」からの脱皮を

――いろいろな歴史があるでしょうね。水産業界の常識を覆すような短期間で売上高270億円を達成したのですから、その分すごく壮絶な経験もあったんだろうと思います。そういう創業期を経た今、GOWは日本の水産業界の中で重要な位置を占めるようになりました。急成長中のグループ内でも加工部門の存在意義はとても大きいと思うのですが、10年後の工場はどんな姿だと思い描いていますか? 

社長 工場はもっと増えるかもしれません。でも、ここにいる人たちが今できているレベルのことをやってくれさえすれば絶対問題ないです。すごいんですよ、本当に。どこも真似できないと思うから、僕はお客さんや同業者に工場見学してもらうんです。

――社長自慢の加工部門の中でもスター選手と言われているのが、今日来てくれた北方さんですね。

下假 そうです。三枚おろしのアイドルなんで。

北方 ハハハ。

下假 照れるなよ(笑)。

――三枚おろしはセンスが重要だと聞きましたが。

社長 ぶりの加工、三枚おろしだけで言えば北方に太刀打ちできる人はいないと思うけど、実際は他の魚種とかもいっぱいあります。だからこれから先、北方にはもっと見聞を広げてもらいたい。他の工場もどんどん見に行って、経験を積んで早く工場長になってほしい。工場を1人で立てられるくらいの知識を手に入れてほしいですね。彼ならできると思います。だって僕が工場を建てたのも38歳ですから。

――北方さんは今33歳ですから、5年後ですね。

北方 はい(笑)。

社長 独立するのは全然OKです。独立してGOWの仲間としてやってくれればありがたいけど、競争したって構わない。競争して負けたら僕の引退時期だということです。社長ができる人材が社内に何人もいたら、その会社は強いじゃないですか。だから直人にもいつも言ってるけど、独立する気持ちで、社長を目指して頑張ってほしい。社長になったらきついこともあるけど、やっぱりリターンも大きいですよ。

支えてくれた社員たちに恩返ししたい

――お二人は今、現場の改善についてどんなことを考えていますか?

下假 先ほど社長からもご指摘がありましたが、最近ちょっと意識が緩くなっていたところが正直ありました。やっぱり決められたルールは必ず守るように、みんなができるようになるまでずっと言い続ければよくなるのかなと思っています。もともとはできていたので、自分たちでもう一度意識していきたいです。

社長 せっかく問題提起があったんで、次の段階に持っていくべきですよね。僕は「元に戻れ」とは一言も言ってません。早く帰れるようにする方法って、いろいろあるんですよ。ただ自分たちの作業を簡素化していくだけではなくて、もともと外注に回せばいい部分もあるかもしれない。そういうアイデアを得るためにも、他の工場とかのやり方も勉強すべきだと思いますね。

下假 そうですね。

社長 僕が動き回るのに同行してもらうのがいいんじゃないかな。そうして視野を広げてほしい。

――グループ内での人材交流や社内留学のような制度は作らないのですか?

社長 今後の検討課題でしょうね。グローバル、アクア、鹿児島水産、アメリカ、それから東京営業所。現段階では「鹿児島の会社だから入社した」という社員も多いでしょう。いきなり転勤を命じることはできません。総合職として採用するところがスタートだろうと思っています。
関連して言うと、全社員、特に創業からいる人たちをアメリカの会社に連れて行きたいと思っています。そのためには加工を2週間ぐらい止める必要がありますけど、それぐらいしてもいいんじゃないかなと。2週間止まったぐらいでぐらつくような会社は駄目だし、それで離れるお客さんはどのみちいつか離れるでしょう。だから2班に分かれるかもしれないけど、全員でアメリカに行けるようにしようと。これは教育っていうよりも、今までの恩返しですね。

基礎から丁寧に指導

―― 下假さんと北方さんのお二人は、職人気質の先輩の背中を見てスキルを磨いてきたと思いますが、時代の移り変わりもありますよね。お二人の世代ではどんな風に後輩を教育していますか? 特に外国人技能実習生の方たちも活躍していると聞きますが。

北方 実習生の方々とコミュニケーションをとる時は、話したいことをスマホに打ち込んで実習生の母国語に自動翻訳してから相手に見せています。あとはボディランゲージですね。 

――魚の切り方とかもボディランゲージで?

北方 そうですね。切り方はもう、見てもらうしかないです。

――水を使わないことの大事さとか、ボディランゲージで伝えるのは難しいのでは?

下假 作業の手順書がいくつかの言語で書かれているので、それをよく読んでもらうようにしています。たとえば「水」についても、なぜ魚にたくさん水をかけてはいけないのか。その理由についても詳しく文書に書いてありますので、その内容を理解してもらうことが大切ですね。
現場では、基礎から丁寧に教えることを心がけています。たとえば、作業工程が10セクションに分かれているとしたら、まずはそのうちの1番だけをずっと繰り返してやってもらいます。そして「1番は大丈夫だね」ということをお互い確認してから、その先の2番、3番に進むという感じです。そうだよな?

北方 (うなずく)

――水産業の中で作業マニュアルが整っている会社は珍しいと思いますが、先輩たちがそこまで寄り添って教えてくれる会社もほとんどないと思います。

下假 スタッフの数が充実してきたので、教える時間も確保できるようになったという感じですね。

――お二人のおかげで定着率が高い職場になっているんでしょうね。

下假 いいえ。一緒に働いている皆さんのおかげです。みんながいてくれるからです。

将来のリーダーに

――お話をうかがって、加工部門がグローバル・オーシャン・ワークスというグループで重要な位置を占めていることを再確認しました。

社長  経営者が至らない部分を工場がカバーしてくれたのがこの15年の歴史です。新米経営者の私はずっと失敗してきましたが、拡大路線のひずみを社員たちがよく耐えてくれた。このレベルは本当にできないと思うし、尊敬しています。

 ――そんな現場の中心にいたお二人ですが、お互いのことをどのように見ているのでしょう。下假さんにとって北方さんはどんな方ですか?

下假 かわいい後輩ですね。いつも一緒に話をしていますし、もしも北方が苦しんでいて、俺にできることがあったら、なんでも力になりたいです。

――仲がいいんですね。

下假 そうですね。うちの会社はみんな仲がいいんです。

――北方さんにとって下假さんは?

北方  普段からいろいろ相談に乗ってくれる兄貴的存在です。

社長 さっき「社歴は自分のほうが長い」って言ってたじゃないか。

下假・北方 アハハ(笑)。

社長 直人の場合はどんどん自分を鼓舞して突き進んでいく方がいいのかなと思います。北方は絶対に人が助けてくれるタイプなので、人に助けられながら、自分ができることをやっていけばいいと思う。そうすれば自然と人の上に立つ存在に成長すると思います。
なんだか、あっという間ですね。私が北方と出会ったのは彼が18歳の頃ですが、もう33歳だからね。

北方 はい。

社長 直人は長髪のモジャモジャ頭で、オラオラで入ってきたんですよ。そんなやつが今では2児のパパでしょう。

――長髪ではキャップの中に入りきらないのでは?

下假 結んでました。

社長 ……まあ、毛があるうちは好きな髪型にした方がいいんじゃない? 髪を伸ばしているやつを見ると嫉妬しますね。

全員 (爆笑)


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