赤い羽根共同募金の受配者が社会福祉法第百二十二条の禁止事項に反して寄附金を募集し集めていること等に関する質問主意書と答弁の私的理解
はじめに
この領域での違法性と課税の扱いについて疑問点が幾つかありました。
質問主意書の提出をいただいた参議院議員 浜田聡議員ならびに秘書の方に感謝いたします。
閣議決定された答弁にあるように、違法行為による所得であっても収益事業でなければNPO法人(みなし公益法人等)には課税しないということでした。
個人的には法人税法の条文を理解した上でも違法行為に基づく所得と言う特異性が法人税法上で何らかの振れ幅をもたらす可能性を期待した部分がありましたが。。。
しかし、違法行為に対する現状の法令と行政(課税)がどのようになっているのかを明確化できたことで、市民による監視を前提としているNPOの情報公開に基づく透明性・監視の強化と、現行法に内在するマネーロンダリング・リスクなど改善の必要があると感じます。
この答弁を見て、形骸化しているようにも見える社会福祉法第百二十二条の禁止事項は逐条解説にもあるように
★共同募金の配分を受け優遇された団体と配分を得ることなく活動している団体との公平性を目的としていることおよび、
★共同募金という非常に認知度が高いブランドを活用し、広くあまねく集めた寄附金(募金)を無名な地域活動団体等への間接的に分配し支援するという主旨から
共同募金の存続と共に必要な条項であるとも思います。
質問主意書:参議院 (sangiin.go.jp)
質問主意書 背景 法の目的と公平性と現状
一、違法行為の定義に関する個別事例を挙げての質問と答弁
答弁本文⇒ 質問主意書:参議院 (sangiin.go.jp)より:
一について
お尋ねについては、個別具体の事実関係に即して判断されるべきものであるところ、御指摘の「この期間における寄附金募集」の詳細を把握していないため、お答えすることは困難である。
*** 個人的理解 ***
公告の内容は否定されていない。
寄附金募集については魚拓等アーカイブを明文化して伝えていないため上述のように回答を回避されている。
公告を否定は出来ないが明示されていない私的文書(寄附金募集)に該当するものは知らないという。
対策として、質問の背景は確認した上で回答を回避する方法を模索されることを踏まえて、今後のエビデンス付帯の方法は検討の余地がありそうだ。
二、寄附金収入の分類明確化と言葉の定義の明確化のため及び階層構造の疑問があっての質問と答弁
答弁本文⇒ 質問主意書:参議院 (sangiin.go.jp)より:
二について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「共同募金の受配者」が受領した寄附金に係る収益の額は、原則として、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二十二条第二項の規定により無償による資産の譲受けに係る収益の額として当該「共同募金の受配者」の所得の金額の計算上益金の額に算入すべきものであるところ、当該寄附金に係る収益の額が当該「共同募金の受配者」との間に同法第二条第十二号の七の六に規定する完全支配関係(法人による完全支配関係に限る。)がある他の内国法人から受けた受贈益の額に当たる場合には、当該額は、同法第二十五条の二第一項の規定により当該「共同募金の受配者」の所得の金額の計算上益金の額に算入しないこととなる。
*** 個人的理解等 ***
質問内容:
①(違法な)受領寄附金の分類・定義がないので受贈益として定義でよいか
②一般論として支配関係および資金移動関係など幾つか特殊形態での(違法)寄附金の取扱いになる条文を参照しつつの質問
考察:
質問が詳細ではなかったので、多少曖昧になっている。
受贈益と言う単語はその後で使っても合わせてくれているので寄附金は受贈益というカテゴリと言う前提に変換できている。
受贈益を法人税法第二十二条第二項「無償による資産の譲受けに係る収益の額」と答弁されているが、ここでは益金算入するべき対象としての可能性は触れられていないが次節で出てくる。
二十五条の完全支配関係のひとつのパターンとしては、○○福祉会が親子企業間(○○ホールディングスの福祉団体で○○福祉会のような)で○○ホールディングスから運営資金等の援助・寄附を○○福祉会が受領しても益金算入しないという切り分けになる。
その他、代表が同じ団体や、共同募金連合会=中央共同募金会が地域共同募金会に対しての支配関係(中央共募分担金)が完全支配関係にあると捉えるかは不明。
次の質問が益金算入・課税するよね?という質問なので例外の排除にはなったかも。
三、違法行為をして得た金銭・収益は課税されないのか?の質問と答弁
答弁本文⇒ 質問主意書:参議院 (sangiin.go.jp)より:
三について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、一般論として、所得については経済的な実質により把握すべきものと考えており、違法な行為に基づく所得であっても、法人税法第二十二条第二項の規定により所得の金額の計算上益金の額に算入すべきものであると考えている。
一方で、同法第六条の規定により、内国法人である公益法人等(同法第二条第六号に規定する公益法人等をいう。以下同じ。)の各事業年度の所得のうち収益事業(同法第二条第十三号に規定する収益事業をいう。以下同じ。)から生じた所得以外の所得については、各事業年度の所得に対する法人税を課さないこととされている。これは、公益法人等については、事業を行って利益を稼得することや、その利益を構成員等に分配することを目的としない法人であると考えられることから、同法第五条及び第六条において、営利企業と競合する収益事業から生じた所得にのみ法人税を課すこととしたものであると承知しており、このような取扱いは違法な行為に基づく所得についても異なるものではない。また、当該取扱いは、特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第七十条第一項の規定により公益法人等とみなされる同法第二条第二項に規定する特定非営利活動法人(以下「特定非営利活動法人」という。)についても同様である。
このため、御指摘の「共同募金の受配者」についても、当該「共同募金の受配者」が公益法人等又は特定非営利活動法人に該当する場合に、当該「共同募金の受配者」が得た受贈益は、それが御指摘の「法令で禁止された違法行為」に基づいているか否かにかかわらず、収益事業から生じた所得に該当しなければ、法人税を課されるものではないと考えている。
*** 個人的理解等 ***
一般的には益金算入して課税するべきところに入るが、公益法人等または特定非営利活動法人の場合には非課税措置に関する条項があるので、違法行為が介在しようとしまいと収益事業以外では課税されない。が利益は得ているとも思う。
益金算入されるべきだが
収益事業から生じた所得に該当しないなら非課税だが
収益事業がある場合には?
収益事業のある団体については
寄附金に色がついている場合(使途指定寄附金=共同募金の配分申請通りの使用)は非課税になりそうだが、法人として寄附金募集をしているならば、事業所得を売上に限定するとは答弁されてはいないので、その他の色の付かない寄附金を課税対象の益金に算入しないとする理由はないと思う。
極論すれば99.9%の収益事業と0.1%のそれ以外で、寄附金を非課税に出来るなら売買ではなく寄附金にすれば非課税に出来てしまう?
四、特定非営利活動法人は違法行為でも課税されないのは公平なのか?再確認の質問と答弁
答弁本文⇒ 質問主意書:参議院 (sangiin.go.jp)より:
四について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「禁止期間に集められた寄附金」に係る法人税法上の取扱い及びその趣旨については、三についてで述べたとおりであり、公平性等の観点から、問題はないものと考えている。
*** 個人的理解等 ***
公益法人等または特定非営利活動法人の場合には、収益事業以外には課税しないという法人税法の条項があるので法に則っており公平だということ。
(収益事業があると、目的非固定寄附金に関しては課税される?)
例えば、金銭授受のひとつとして、離婚時には共有財産に分類される婚姻期間中の収入の夫婦間移動でも贈与税が掛かります。
その他、共有財産や相続額の計算・課税との整合性など気になる事は色々ありますが判例や解釈など勉強していないので感覚的に納得感がないです…
個人的には、優遇と言う権利に対する義務が分かりません。
公益法人やNPOへの収益事業以外への贈与には課税されない、この公益性はとても特異でとても優遇されていると再認識をさせられました。
まとめ:NPOは「違法な行為に基づく所得か否かに関わらず」収益事業以外は非課税であると、法人税法で定められている通りなので公平だとしても
そもそも共同募金の受配者となる資格要件として社会福祉を目的とする事業を経営する者と言う前提があるので、受配者=条件を満たす法人格または任意団体になる。
答弁書にある公益法人等の種別で寄附金(収益)は違法行為かどうかを問わずに課税されない(=収益事業がない)とすれば税務調査の労力に価値もなく営利企業のように確認することはなく、寄附や給与・経費等の様々な支出に変換することが出来てしまう可能性もありマネーロンダリングを行う障壁の低さに課題がある。
特定非営利活動法促進法は、情報公開を通じて広く市民の監督下におき、市民による緩やかな監視、あるいはこれに基づくNPO法人の自浄作用による改善発展を前提とした制度である。
バランスしないバランスシートをそのまま公開している所轄庁に加えて、違法行為でも収益事業以外ならば非課税という優遇があることも踏まえてより厳しい目で見るべき存在だろう。
この質問主意書の起点となる社会福祉法 第百二十二条が形骸化されているように見える状況ではあるが、この条文に意味がない訳ではなく、これを無くすのであれば共同募金という集金機能と経路で配分委員会の選定を通じての公平な地域活動への配分という共同募金活動そのものが不要で個別の団体が各々で寄附を募れば良いことになる。
以下のnoteからの引用部にあるような一部の団体への寄附金等の偏重の情報は共同募金の配分の受配者の寄附金募集禁止(公平性のための条項)の実情と必要性を示すひとつの統計事例だと考える。
こんな企業から支援されました!この団体を支援して社会貢献してます。無名なところへ支援するよりも有名なところの方が商業的にも人材確保的にも効果は高くなると思う。
有名な団体に多くの企業が支援企業リストとして掲載されているのを見かければ、他者・他社はそこは信用できると受けとめるだろう、そして寄附金の偏重の存在は事実であろう。
社会福祉法 第百二十二条の一つの価値としては
優遇される側に求められるガバナンスとして、社会福祉法等の仕組みや法令を理解しコンプライアンスを順守し、団体が責任を持ち自律的に活動することが出来ているのかを明らかにする手段にもなる。
みなし公益法人の非営利事業の受増益には課税されないなどの優遇に直接的影響がないにしても存続させるべき条項であろう。
加えて、同条項の逐条解説から見ても、大きく有名で多額の寄付を集め国の委員になる団体に共同募金が配分されたことで、名もなき地域活動に回るお金は減ったことになる。
大きな団体から見れば些少な金額かもしれないが無名な地域活動からすれば大きな支援になったことだろう。
法人税を支払っている(収益事業のある)NPOの受け取り寄附金はどうなるのか
この点の切り分け等、個別具体的にとなりそうではあるが、もう少し明確化は必要かもしれない。
参照note等
前述の一部で参照・引用しているnote等を明示しておきます。