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『自分への慰謝料』をやってみた件
以前私は『自分へのご褒美』が頓挫した記事を書きました。
ですが私は諦めません。欲しいものがある。でも、なんか気兼ねする。ゆえに買う正当性が欲しい。
その一念で『自分ご褒美』に代わる概念を編み出したのです。
それが『自分への慰謝料』です。
聞きなれない言葉ですが、それもそのはず。この言葉は私が作り出した造語です。
※念のため当ワードを検索したところ『慰謝料請求を自分で行う』という項目はありましたが、これはガチな法律関連。本記事とは無関係です。
さて『自分への慰謝料』。これは嫌な出来事が起こった時に、自分を慰めるために好きなものを買うイベントです。
『自分へのご褒美』が発動される要件は「日々の頑張り」や「特別な成果」です。一方『自分への慰謝料』は嫌な出来事がトリガーになるのです。
『自分への慰謝料』は『自分ご褒美』と比べかなり優位な点があります。それは「努力が要らない」ということ。そう、嫌な出来事は頑張らなくても起こるのです。それが嫌な出来事のいいところです。
そう考えると『自分への慰謝料』はストレスフルな日々を送る人々のメンタルを救う革命的な提言と言えるのではないでしょうか。
何しろ嫌なことがれば、即良い気分や欲しいものを獲得できるのですから。
例として嫌な出来事を列挙してみました。
・トイレに行ったら先に入られている
・車の渋滞中、お腹が痛くなる
・起きて庭に出たら顔にクモの巣がかかる
・割りばしが変な形に割れる
・嫌いな人間に話しかけられる
等々、あと200個は書き出せそうです。
手順も簡単。嫌な出来事をのんびりと待ち構えるだけです。
♪早く来ないかな、嫌な出来事。
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そして、キター!来ました!待ってました!
私、嫌いな人間に話しかけられました。
いつもなら不快な気分を引きずってただモヤモヤするだけ。しかし今の私には『自分への慰謝料』という最強の盾があるのです。
早速私は慰謝料の対象として、いつもよりちょぴっと高いバーボンウィスキーを購入。ひゃっほう。
私は黄金色の液体をグラスにとくとくとくと注ぎ、ハイボールで祝杯をあげます。
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「いただきや~す。ひや~、うまっ!」と至福のひととき…のはずでした。
ところがここでとんでもない落とし穴が待ち受けていたのです。
慰謝料を楽しんでいると、
「あ、ええの飲んでるね。何かいいことあった?」と声をかけられました。
「いや…」と間を置いたあと私は「逆だよ」
そう答えた瞬間、脳内に蘇ったのです。
数時間前の嫌な出来事が。
私が蛇蝎のごとく忌嫌う人間が視界に入り、徐々に距離を詰めてきます。来るな!寄るな!!近づくな!!!私は必死に祈ります。ですがその願いは呆気なく踏みにじられ、奴は私に馴れ馴れしい態度で話しかけます。そしてさも当然といった顔で私に煩雑な作業を要求。私の返答も待たず、あろうことが私の肩をぽーんと気軽に叩き、背中を向けていきました。
その一連の不快極まりない出来事が、フラッシュバックしたのです。そう、慰謝料としてのちょぴっと高いバーボンが、慰謝料たるべき由来となった出来事を思い出させたのです。
それだけではありません。その人間が私に味合わせた数年分の鬱陶しい言動、イラっとする仕草までもが一気呵成に脳内に流れ込んだのです。
酔うてるから余計ですね。
酒が急に不味くなりました。ヤケ酒になりました。悪酔いしました。二日酔いになりました。
『自分への慰謝料』は満ち足りた気持ちを得るはずのイベントでした。
ですが実施したことで、さらなる慰めが必要となったのです。
こうして『自分ご褒美』のみならず『自分慰謝料』も不発に終わりました。
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私は考えました。
ん~そもそも『ご褒美』とか『慰謝料』とか要らんかったんちゃうん。
欲しいものがあれば買い、食べたいものがあれば食べ、行きたい場所があれば行く。
自分が稼いだ金で、自分を満たす。そこに遠慮は要らない。
2回の失敗で学んだことは、このことでした。
私からは以上です。