「つもった雪」、見えないものへの思い
ずっと前に、この一節を引用したことがある。
当時、この「原田さん」という人がとても生々しく感じられた。原田さんがどうしようもない思いを抱えて、学問にすがっているのだと思っていた。他人事とは思えなかったのだ。
しかし、今になってこの一節を思い出したのは、少し違う気づきに手を引かれてきたからだった。
原田さんにとっての学問とは、風穴だったのではないだろうか。日常生活には現れることのない「異質」なもの。彼が「後生大事に拝んで生きている」学問は、もしかしたら「原田さんの言葉のやさし