【共テ対策】チャート式 共通テスト対策 【予備校講師の辛口レビュー】
(動画)チャート式 共通テスト対策
この記事は上の動画を文章化したものです。
はじめに
共通テストの数学対策に悩んでいる受験生の皆さん、朗報です。数研出版から発売された『チャート式 共通テスト数学IA+IIBC』が、その悩みを解決してくれるかもしれません。
この記事では、本書の特徴や良い点、注意点などを詳しく解説していきます。
1. 特徴
本書の最大の特徴は、共通テストの対策が1冊で完結できることです。CHECK、基本例題、重要例題、演習例題、実践問題、実践模試(1セット)と、教科書レベルから実践的な演習まで網羅しています。さらに、一部の問題には解説動画が付いているのも魅力的です。新課程に伴い、共通テストにかなり対応してきたことが、本書の最大の特徴と言えるでしょう。
2. 良い点
共通テスト対応の充実度
何より評価すべきは、現在の共通テストにしっかりと対応している点です。例題の数は多くありませんが、グラフソフトや日常の三角比など、共通テスト向けの内容をしっかりと取り入れています。また、演習例題や実践問題には共通テスト形式のオリジナル問題も豊富に用意されており、そのクオリティも悪くありません。過去問についても、センター試験はそれほど使用せず、追試や試行調査を含めた共通テストの問題を数多く収録しています。
コストパフォーマンスの高さ
IA+IIBC全範囲をカバーし、例題や過去問も豊富に収録されているにもかかわらず、価格は1,562円とかなりリーズナブルです。
使いやすさへの配慮
どのレベルの生徒でも上手く使いこなせるように、進め方が見やすく丁寧に書かれています。一般的なチャートシリーズではこの部分がわかりにくいことが多いので、かなり好印象です。
わかりやすいポイント解説
ポイントは簡潔にわかりやすくまとめられています。過去の緑チャートや他のチャートと比べても、ポイントの解説は良質と言えるでしょう。
実践的なテクニック
穴埋め問題向け(に限らないものもありますが)に、素早く解くテクニックなども掲載されています。
3. 気を付けるべき点
初学者向けではない
基本的な例題も載っていますが、解説は必ずしも丁寧ではありません。そのため、入門レベルの問題をこなしてからでないと、解法暗記に頼る傾向が強くなる可能性があります。
解説の質
数研出版の教科書会社としての特性上、解説は「数研出版にしては」良いというレベルにとどまっています。
実践模試の傾向
大手予備校が出している最新の問題集と比較すると、実践模試の傾向が少し古い印象を受けます。共通テストの分析が甘いか、古い時期に作成したものを使い回している可能性があります。
4. 問題のレベル
共通テストの0〜100点レベルをカバーしています。過去問も豊富に収録されているので、理論上は100点レベルまで対応可能です。ただし、この1冊だけで満点を取るのは難しいでしょう。とはいえ、極端に数学が得意でなくても80点程度は目指せるかもしれません。
5. おすすめの対象者
1冊で共通テスト対策を完結させたい人
共通テストのみで数学を使う人
共通テストで数学を使う全ての人
ただし、普段から数学をしっかり学習しており、共通テスト対策に十分な時間を割ける人や、複数の参考書に取り組む予定がある人は、必ずしもこの本である必要はありません。
6. 学習ルート
本書に取り組む前に、『入門問題精講』などの入門レベルの問題集で基礎を固めることをおすすめします。共通テストでは深い理解や証明が問われることもあるため、しっかりとした基礎力が必要です。本書を終えた後は、河合塾や駿台などから出ている実戦問題集に挑戦しましょう。高得点を狙うなら、特に演習量と形式慣れが重要になります。
7. おすすめ度
10点満点中6.7点
辛口採点ですが、決して低くない点数です。共通テスト対策の本としてはトップレベルと言えるでしょう。解説がもう少し秀でていたり、唯一無二の存在感があれば7点台も見えたところです。
8. まとめ
『チャート式 共通テスト数学IA+IIBC』は、1冊で共通テスト対策が基本から実践まで対応できる優れた参考書です。
単なる基礎問題集にとどまらず、共通テストに特化した内容になっているのが特徴です。
数研出版の歴史の中で最高傑作になる可能性も秘めています。
共通テスト数学の対策に悩んでいる受験生の皆さん、この1冊を手に取ってみてはいかがでしょうか。
きっと、あなたの学習をサポートしてくれるはずです。