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嘘つき

僕はずっと超嘘つきだった。
子供の頃からそう。

幼少期の記憶。
今でこそもう家族仲いいから言えるけど、お父さんはすぐに怒るタイプだった。
お母さんはこうしなさいああしなさいって叱ることが多かった。
今は2人ともそんな事ないしだから今は言えるけどね。

お姉ちゃんはわがままだった。
僕は争いもみんなが怖い感じになるのも嫌だった、怖いし。
だから求められるいい子を演じるクセがついてった。
お姉ちゃんのわがままは受け入れるし、怒られないように仲を取り持つ役割をするようになった。
あくまで主観的な記憶だし、もう朧げだから周りからみたらそんな事なかったのかもしれないけどね。
でもお姉ちゃんが僕のベビーカーにのって僕のが小さいのに何故か歩いてる写真とか残ってる。
あとすぐ怒る人が怖くてそれが嫌で自分はそうならないようにしようってなって今の僕が形成されていった。

保育園の頃の記憶あんまりないけどいじめられてたらしい。
あんなに優しい誰々くんまでこうの事いじめてたって保育園の先生に言われたよってお母さんが教えてくれた。
覚えてないけどね。

小学校の頃もいじめられてた。
仲間はずれされてた。
みんながどう思ってたか知らないけどね。
でも僕の主観的な記憶はそうだった。
家でも学校でも自分のままでいられる事がなかった。
だって自分のままでわがままに生きたら周りが怖くなっちゃうし、争いになっちゃうからね。
平和が好きなんだ僕は。
そんでなんか求められる自分を演じるクセがついてって、上手く立ち回るクセもついてった。

中学生になった。
僕の地域は小学校が2つあって他の小学校の人達もいて、僕は同じ小学校の人達があんまり好きじゃなかったからそれがきっとよかった。

仲良くなれる友達ができた。
今でもたまに遊ぶ友達が3人いる。
1人は超自由でありのままって感じでいい意味で馬鹿で、周りがどうとか何にも気にしなくて、でも優しいしヒエラルキー??なにそれってタイプですげー好きだった。
もう1人も超自由で、でも芯が通っててカッコよくて、我が道をいくってタイプで周りの評価とか何にも気にしないタイプだった。
もう1人はちょっと浅ましいやつだった、ちょっと賢いから上手くやるタイプでちょっと僕に似てた、わりと自分の利を考えて動くタイプだったけどでも優しいやつだった。

その3人といるときは楽しかった。
初めてちゃんと友達って言える人が出来たって思った。
主観だけどね。
周りがどう思ってたかは知らない。
だって心の中は見えないし分かんないからね。

高校生になった。
わりと自由だった。
でもどうだろ、なんか上手いことやる側になってた気もする。
いわゆるって感じの高校生だったと思う。
あんまり楽しくはなかった。
音楽が好きだった。
沢山聴いてた。
昔から音楽はずっと好きだった。
バンドとかやりたかったけどそういうのなかったから出来なかった。
ゲーム沢山してた。
寮生活は窮屈ではあった。
なんか友達には君の名はの風早くんみたいだねって言われた事もあった。
いやいやどこがって感じ自分では思ってたけど、自分が思う主観的な自分と外側からみた自分は違うからその人がそう思ったならその人の中ではそんなんだと思う。
でもまぁ平和主義で博愛ではあったと思う。
みんなが仲良くしてる方が嬉しかった。

大学生になった。
音楽を始めた。
ヘラヘラしながら生きるクセがついてたからまだ人前の自分と本心の自分に乖離はあったけどでも楽しかった。
友達の事は好きだったし、おんなじ趣味の話をしたり夜通し遊んだり楽しかった。
あんま会わなくなっちゃった人たちもいるけど今でも好きだし元気にしてたらいいなって思ってる。
その時仲良くなった後輩とは今はもう友達って感じで今でも一緒に仕事したりクリエイティブの繋がりがある。

音楽は楽しかった。
普段言えない事もアートだからって理由をつけて吐き出せた。
でもまだ音楽に嘘ついたりしてた。
こういう方がきっと売れそうみたいな邪な心で歌詞書いたりしてた。
君とか誰だよって感じで君って言葉使ったりしてた。
嘘と本当が入り混じってた。
でも嘘の自分は昔に比べたらいなくなってきてた。

大学卒業した。
恋をして愛を知った。
優しくて素直で繊細で純粋で無邪気でわがままで思いやりがあって嘘がつけなくて芯があってかわいい子で猫だった。

楽しかったし幸せだった。
彼女が幸せそうにしてると僕も幸せだったし、苦しそうにしてると僕も苦しかった。
でもまだ嘘ついてた。
好きって気持ちにもずっと側にいたいし結婚したいって気持ちにも嘘はなかったけどでも嘘ついてた。

音楽やってる僕がメンタルヘルスに良くないから音楽やりたいなら別れた方がいいって言われて、別れたくなかったから嘘ついた。
超てきとーに暇つぶしくらいでやってただけだから全然気にしないでよゆーでやめるよって嘘ついた。
そんな事ないのにね。
でも僕が本当はやりたいのに苦しみながらやめるってなると罪悪感を感じさせてしまうから言えなかった。
彼女が苦しいと僕も苦しいから言えなかった。

感情のままに素直な子だった。
激情型って言ってもいいのかな。
でも僕は感情を隠して生きてきた事の方が多かったから感情に素直なのがすごく魅力的だったし素敵だと思った。

大変な時もいっぱいあった。
でもそれも含めて好きだったし笑ってて欲しかったし幸せにしたかった。
でも彼女の前でしんどい顔を見せられなかった。
僕がしんどい顔を見せると彼女が苦しくなってしまうから見せられなかった。
昔からそういう自分を培ってきた事もあってその時々は隠せていたんだと思う。
でもしんどいのはきっと本当だった。

当時のバイト先の人に最近あったらまじであの時こうくんおかしかったしギリギリだったよねって言われた。
自分じゃ分かんないけどそうだったんだと思う。
隠しきれないくらいになってたんだと思う。
それでも一緒にいたかったし愛していた。
ただの共依存だよって言われたらそうなのかもしれないけどでもどっちでもよかった。

精神科の先生にはあんまり親身になると移っちゃうし一緒にしんどくなっちゃうからあくまで観察者の立場でいなきゃいけないよって言われたけどそんな器用に出来なかった。
だって必死でギリギリでも生きてる彼女を1番近くで見てて親身にならないなんて出来なかった。
でも僕自身はだんだん壊れていってた。
彼女とバイト先の人達くらいしか人間関係なかった。
でも彼女が恋人で友達で親心もあったし全部だったから別に平気だった。

共通の友人とゲームしたりするようになった。
その繋がりで女の子もいた。
だんだんみんなと仲良くなっていってその子と話す機会も増えて弱音を吐くようになった。
彼女には言えない事言うようになったりした。
浮気心が産まれた。
浅ましい最低な自分だった。
ちょっと好かれたいからって本当は思ってないのに装飾して嘘みたいな事まで言ったりしてた。
最低クズゴミカス死ねよ。
まじで死ねよ。

そんである日それがバレた。
沢山泣いてた。
死ぬほど傷つけた。
その夜の記憶ずっと剥がれない。
1番大事な人を1番傷つけた。
もうダメだってなった。
一晩中話したし泣いてた。
でも許すよって言ってくれた。
でもダメだった。
死ぬほど傷つけたから当たり前。
好きだけどもうお別れする事になった。

死ぬほど自分を責めた。
死んじゃいたかったし死んじゃえよ僕って思ってた。
死を選ぶ勇気なかったから生きるか死ぬか天任せゲームはしてた。
でも死ななかった。
ずっと責めてた。
音楽作る僕嫌がってたから作ったら終わりだと思った。
でも曲はいっぱい出来てた。
ただ発表したらダメだと思ってた。
映像の仕事始めてたけど彼女の為に始めたからなんで僕が働いてるんだろって思って仕事もやめた。

友達から服の為の曲作って欲しいって言われた。
自分の為じゃなくて友達の代弁するだけならいいかって思った。
作った。
すげー楽しかった。
音楽好きだってなった。
彼女とはもう連絡もとれなくなって分からなくなって伝える術も繋がる術も音楽しかなった。
何より自分の為に作ろうってなった。
沢山作った。
アルバムを作った。
なんか一つ救われた。
自分の吐く言葉の中に彼女がいるなって思った。
嘘をつかないでいられるようになった。
自分の好きな自分でいようって思った。
変わりたかったし変えたかった。
映像の仕事しながら音楽も作るようになった。
でもライブはいいやって思った。
作りたいだけだから。
自分の為に作りたいだけだから人前に出るとかはそんなに興味がないやってなった。

狂ったように知識を集めて本も読みまくった。
あーなんかそっかもう大丈夫かもってなった。

仕事の繋がりでうちの社員にならない?って言われた。
会社員向いてないなって思ってたからなるつもりなかったけど人柄が好きだったからこの人ならいいかってなって社員になった。

その繋がりで色んなクリエイティブしてる人達と出会った。
ヘラヘラしたり自分はまだいっぱいいたけど別に嘘ついてるわけじゃなく生きれるようになってた。
楽しかった。
本当の意味で友達って言える人も仲間って言える人も出来た。
丸ごと曝け出しても受け入れる人達が出来た。

映画の音楽作った。
素直に正直に音楽も作れるようになった。
また一つ救われた。

あれから5年が経った。
今でも愛は残ってるし、薄まるどころか増すばかりだって思う。
嘘一つない自分を生きるようになれた。
たまに顔を出しそうになるけどそっちを選ばないで素直で正直な自分を選べてる。
スリザリンの才能あるけどグリフィンドール選んでる感じ。

楽しく生きてる。
自分の好きな自分で。
素直に正直に誠実に日々を積んでいってる。
幸せだよ。
まだ分からない事も沢山あるし完璧だよって言えるわけじゃないけど。
でも大丈夫。
真実だけ口から吐くようになれてる。
だから日々にも真実だけが映し出されるようになってる。
大丈夫、全部大丈夫だよ。

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