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【勝手なスピンオフストーリー】 桃をおばあさんが拾わなかったら

昔話「桃太郎」は、日本の代表的な昔話の一つです。川から流れてきた大きな桃をおばあさんが拾い、その中から桃太郎という男の子が生まれるという物語が始まり、やがて桃太郎が鬼退治に出かける冒険譚へと発展します。しかし、もしおばあさんが桃を拾わなかったら、どのような物語が展開されるでしょうか?そのスピンオフストーリーを考えてみましょう。


桃が流れたその後

昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。おばあさんは川へ洗濯に、おじいさんは山へ芝刈りに行きました。その日、おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃が川上から流れてきました。しかし、おばあさんはその桃を見て、こう思いました。

「こんなに大きな桃、家に持って帰るのは大変だし、今日はたくさんの洗濯物があるから、後で誰かが拾ってくれるだろう。」

おばあさんは、桃をそのまま川に流し続けることにしました。

桃の行方

桃は川を下り、やがて他の村へと流れ着きました。その村でも、何人かの人々が桃を見ましたが、誰もその大きさに驚きながらも手を出しませんでした。「こんな大きな桃、食べるには一人では多すぎるし、腐らせてしまうだけだ」と、皆は思い、桃はさらに川を下って行きました。

桃太郎の誕生

桃はとうとう海に流れ込み、やがて遠い国へと流れ着きました。その国は鬼たちが支配する荒れ果てた島でした。島の浜辺に打ち上げられた桃を見つけたのは、鬼の頭目でした。頭目は桃を割ると、その中から赤ん坊が出てきました。驚いた鬼は、赤ん坊を育てることに決め、彼を「鬼太郎」と名付けました。

鬼太郎の成長

鬼太郎は鬼たちに育てられ、強く、賢い青年に成長しました。しかし、鬼たちが他の村々から人々を攫い、財宝を奪うのを見て、鬼太郎の心は次第に痛むようになりました。自分の育ての親たちが悪事を働いていることに心を悩ませた鬼太郎は、ある日、鬼たちに立ち向かうことを決意します。

鬼太郎の反逆

鬼太郎は、こっそりと村に降り立ち、攫われた人々と協力して鬼たちの居城に潜入しました。そこで、育ての親である鬼の頭目と対峙し、自分の苦悩と決意を語ります。頭目は一瞬、鬼太郎の言葉に耳を傾けますが、長年の悪行が身についており、改心することはできませんでした。

壮絶な戦いの末、鬼太郎は鬼の頭目を打ち破り、鬼たちを退けました。彼はその後、人々に救われた村々を訪れ、鬼たちが奪った財宝を返還し、村人たちと共に新しい生活を始めました。

新たな英雄の誕生

鬼太郎は村々の英雄となり、かつて鬼たちが支配していた島を平和な場所へと変えました。彼はいつしか「桃太郎」と呼ばれるようになり、その名は日本中に広まりました。

しかし、彼自身は、自分が鬼に育てられた過去を忘れることなく、常に人々のために生きることを誓いました。

結び

こうして、桃太郎は本来の物語とは異なる形で誕生し、鬼を退治するという運命は変わらなかったものの、その背景と心情には深い葛藤と新たな道が生まれました。もしおばあさんが桃を拾っていたら、また違った物語が紡がれていたことでしょう。しかし、桃がどこに流れ着こうとも、その中に秘められた運命は変わらず、桃太郎という英雄は誕生するのです。

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