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【勝手な詩】 とげの庭
胸がチクチクしていた
風が肌を刺すたびに、記憶の細針が踊った
心がチクチクしていた
雲のない空にも重さがあり、
そこには見えない影のつるが絡まっていた
けれど今、
とげが抜けたかのような気分がする
ひとつずつ、透明な糸が解かれる音がした
冷たい地面に落ちた言葉たちが、
じっと見つめるうちに芽を出す
抜けたとげはどこへ行ったのだろう
誰かの手のひらに刺さったかもしれないし
あるいは、夜の闇に溶けたのかもしれない
けれど、それも悪くないと思うのだ
チクチクが消えたあとに残る空洞
そこには風が踊り込む
新しい響きが揺れている
胸が柔らかくなり、心はただ在る
とげが抜けたあとの静寂が、
こんなにも広いとは思わなかった
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