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【勝手な詩】 適切な夜の過ごし方
星々が裏返しになった空の下、
カーテンは言葉を紡ぐ織物、
風が窓辺でシャボン玉を噛み砕く音が響く。
そこに座る椅子は三つの夢を抱え、
ひとつは月へ、
ひとつは深海へ、
そして最後のひとつは、あなたの掌へ滑り込む。
ワインボトルの影が踊る壁紙は、
昨日の記憶を塗り替える絵筆となり、
テーブルの上の時計は、
ゼリーになって震えながらも時間を告げない。
本を開けば文字が逃げ出し、
その跡には
きらきらした羽根のような沈黙が舞い落ちる。
適切とは何かと問うた瞬間、
蝋燭の火はあなたの頬を撫で、
「意味の森には立ち入るな」と囁く。
深夜零時のドアは四次元へと通じ、
勇敢な者はその向こうで
雲の靴を履いて踊るだろう。
けれども、臆病な者には、
静寂の中でさえ
万華鏡のような心象が広がる。
夜はただの夜ではない。
それはひとつの反逆、
夢見る者たちの舟、
そして終わりのない始まりの予感。
目を閉じて耳を澄ませば、
夜の奥底から
砂時計の代わりに咲く花の音が聞こえるだろう。
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