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【乱歌57577】 「嘘」 10首

嘘ついて
気づかぬふりして
風が吹く
虚ろな目線
夜明けを待たず


嘘もまた
優しさと呼べる
朝焼けに
滲む言葉の
影は儚く

嘘の中
真実混ざる
物語
心惑わせ
今宵も踊る

嘘をつき
自分を隠して
鏡見る
映る顔には
誰もいなくて

小さな嘘
守りたかった
あの笑顔
曇ることなく
花咲くように

嘘ひとつ
許せる器
欲しけれど
狭き胸には
何も宿らず

嘘のよう
眩しき空に
声響き
真実忘れる
その瞬間を

嘘ついた
理由を尋ねた
あの瞳
真実よりも
痛む記憶よ

嘘という
名の花抱いて
旅に出る
風が運ぶは
孤独の種子か

嘘と嘘
絡まり合えば
星となり
夜空を飾る
灯火となる


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