【母よ】 夕飯
今日も母が台所に立つ
いつもの時間、いつものように
湯気が立ち昇り、香りが広がる
母は無心に包丁を振るい
塩加減を確かめることもない
けれど、その手が生み出す味に
誰もが静かに、心をほどく
気づかないだろう
母はその美味しさを
当たり前のように、手慣れたように
日々を刻むひと時の中で
茶碗を持ち、箸を運ぶ
変わらぬ食卓、変わらぬ笑顔
今日もまた、1日が暮れる
いつまで続くだろう
この食卓に座り、母の味を感じられる日は
思い巡らせば、心にじんと広がる
平凡であることの、ありがたい幸せ
何も特別でなくていい
ただ、今日も母が夕飯を作ってくれる
それが、どれだけの宝だろう
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