アセマネ業界研究資料編①~日本の投資家動向~

後藤です。アセマネ業界の業界研究第三弾として「日本の投資家動向」について記述していきたいと思います。引用文献として「日本の資産運用ビジネス2020-21」(野村総合研究所)を用いました

日本の資産運用会社の運用受託額は2020年度3月末時点で、651兆円と推定される。これは、前年度に比べて、約3兆円の額が減少したことになりますが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて資産価値が下落した影響が大きいと思われます。運用受託額の内訳をみると、「投資顧問の一任契約」が拡大していますが、これは銀行や保険グループの運用会社への機能移行による影響が大きいと考えられます。反対に、直近1年で残高の減少が目立つのは「信託銀行」と「公募投信」です。「信託銀行」は先に挙げた金融グループ内の機能移管の影響を受けて縮小しており、「公募投信」はETF以外の投信残高の減少の影響を受けたものとみられます。

投資家の運用委託額は、18年3月以降減少に転じています。銀行や中央銀行は運用委託額を増やしたが、公的年金については横ばいで、家計や海外投資家が委託額を10兆円減少させたためでしょう。このように、資産運用ビジネスのフィープールは、資産運用会社の受託運用額ほど増えておらず、足元はやや縮んでいます

年金ファンドのうち公的年金は、厚生年金基金の代行部分が国に返還されたことやポートフォリオの資産配分比率の変更により、資産運用会社の受託運用額を拡大してきましたが、今後の拡大は鈍いとみられています。また、確定拠出年金(DC)の運用委託額が拡大する条件が整いつつあります。確定給付企業年金(DB)をへ栄養する企業において、DCの上限が拡大することにより、DC残高拡大ペースは今まで以上になると考えられます。しかし、DB資産が増えにくくなるはずであり、企業年金全体で見ると現状から大きく拡大することはなさそうです。個人型DCにおいても、資産残高は増加することは間違いないですが、月々の掛け金による資金流入が基本になることから、増加ペースは緩やかにならざるを得ないでしょう

また、家計による運用委託額は、個人の証券投資に対するイメージが改善してきていることから、長期的には拡大するでしょう。足元、パッシブ運用の割合が高まっているが、販売会社の動向次第で、高品質なアクティブファンドがリテールマーケットでも再評価される可能性は十分にあるでしょう。

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