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くまの子ウーフ 読書感想文

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🔷まえがき
ウーフの眼差しに惹かれて

まず、イラストが良いです。

表紙のイラストを見た瞬間から、もうすでにウーフの世界は始まっています。

ノスタルジックな配色と手づくりのあたたかさを感じる輪郭の描き方がこころを和ませます。
そして、イラストの中で私が最も惹かれたのはウーフの表情!

一見すると無表情のような、それでいて、素朴でひたむきさを感じるウーフの眼差しが、ボクを惹きつけました^_^

ウーフのまなざしの中に、純粋な好奇心が宿っているのを感じました。

ボクの中に眠る、子どもの頃の好奇心を呼び覚まし、お互いに共鳴したように思えました。


※ 試しにウーフを描いてみましたσ^_^;

やはりボクには、あのまなざしは表現できませんでした。なにかが違う。イラストって難しいです。笑

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🔷長年愛され続けてきた名著を
今、読むということ

本の中身に入ります。
物語は短編の9話で構成され、くまの子ウーフが日常の中で感じた「どうして?」を中心に描かれています。

調べると初出版はなんと1969年です!

50年を経ても今なお読まれ続けている、これほど愛されてきた名著。

ボクにとって読書の醍醐味の一つは、自分が今どんなライフステージにいるかによってその本の捉え方が変わるということです。
人間関係、家庭環境、年齢、仕事などは時の経過とともに多かれ少なかれ変化をしていくものです。

くまの子ウーフを読むことで、今のボクにどんな発見があるのでしょうか。

🔷リアルな子どもの心の動きが見える面白さ

ウーフを読んでいると思わず笑みがこぼれてしまいます(^^)

例えば、この場面。
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(たまごを産んだばかりのキツツキのところにウーフが花束を持って行ったシーン)
ウーフ「この花たば、いいにおいでしょう。これを入り口にかざっとくときれいだよ。
ちょうちょもくるし、みつばちもくるよ。
いい木だなぁと思って、はちが巣を作るかもしれないよ。」
キツツキのゲラ
「うん、はちみつがとれたら、ウーちゃんにごちそうするね」
ウーフ
「中略。みつばちは、うまく巣をつくったかなぁ。ひよこはうまれたかなあ。」
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最初は、キツツキの赤ちゃんが生まれるということがウーフの一番の興味だったはずが、だんだんと、話している最中に、自分が好きな蜂蜜のことへと意識が移り、もしかしたらキツツキの木にミツバチが来て、大好きな蜂蜜が手に入るかもしれない、ということに自分の興味が変化している様子が見て取れます。

"ウーフは蜂蜜が好き"

これを直接書くのではなく、ウーフの言動の中にうまく組み込んで表現しています。


また、ボクはこの部分を読んでこうも感じました。

「自分に正直に生きよう」

これは今の時代、子どもだけでなく、大人ももっと自分に正直に生きて良いし、周りのことを気にせず、好きなことは好きだと言える状態でありたいです。

そう思えた場面でした。

🔷違和感の深掘りにより見えてくるもの

最後に、大好きな9つのエピソードの中から、あえて違和感を持った部分について、深く掘り下げて考察してみようと思います。

【たからがふえると いそがしい】

大切なもの、好きなコトが増えると夢中になってそれをやる。好きなコトがたくさん増えるのは良いことなのに、増えれば増えるほどどんどん忙しくなって大変になってしまうなぁ。
このことを、キツツキの結婚、出産、子育てになぞらえて表現していると感じました。

<違和感の深掘り>

ボクは、この話の中に一つの違和感を持った部分があります。
これは決して良い悪いということではなく、きっとボクが今読むからこそ自分にとってこう感じた、ということだと解釈しています。


それは、ヘビの存在です。

産んだばかりの卵を食べようと木に登ってするするとキツツキの巣に近寄ってきたヘビがいます。

ウーフはヘビに石を投げたり、枝を振り回して怒鳴りつけました。
キツツキも卵を守るために必死になって、ついにヘビの目玉を突きました。
ここでヘビは、やっつけられて木の下に滑り落ちていきます。
その後は、ウーフ、キツツキたちが、「ばんざーい」と喜び、話は進んでいくのです。


ボクは、ここで思いました。

「ヘビのことを置き去りにして進んでしまって、果たしてそれでいいんだろうか?」

もちろん、命を守ることは何よりも大切です。

現実の世界は、綺麗事ばかりでは通用しません。

しかし、ボクは、この物語の中では、なにもそこまでしなくても良いのでは?と感じました。

へびの目玉を潰してやっつけて、そのあとは放置。


そのときやられたヘビの表情は、こうです。


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ボクは、涙が出ているヘビのことがとても気になりました。

何故、気になるのでしょうか。

ボクは、この違和感を考えてみました。



キツツキもウーフも、みんな命は大切です。
しかし、きっとこのヘビも生きるために、食べるために一生懸命なはず。
ヘビはキツツキのことが憎いわけではないと思います。
ただ生きるためにエサを探しているのでしょう。
もしかしたら、このヘビにも家族がいて、子どもたちにエサをとろうとしているのかもしれません。
ヘビの生きている背景は何だろう。
そのことを考える必要もあると思いました。

🔷これからの時代に必要なこと

そしてボクは、こう思いました。

世の中に、絶対的な「悪」ってあるんだろうか?

正しさとは当事者の中にしかない、ボクはそう思っています。

つまり、なにが正しいのかは、人それぞれであって、ある人にとって良いことでも、もう一人にとっては悪いことの場合もあります。


それぞれ自分の中に正しさを持っていて、生きる目的があると思います。

誰か一人が絶対的に悪い、ということはないのではないでしょうか。

このことを皆一人一人が考えられるようになれば、争いごとは無くなるのではないかと思います。

物事には、良い面・悪い面の両方があります。

皆きっとそのバランスを考えて判断して生きていると思います。

だからこそ、いろんなことで悩む。

悩みながら生きている。

大変なことではあるけれど、きっと、みなが相手のことを真剣に考えたり、大切に思ったり、理解しようと思う気持ち、認め合おうということがこれからの時代にとても重要だと思います。

悩むということは、とても大切なことだと思いました。

ボクは、くまの子ウーフを通じて子供にも、そういうことも丁寧に伝えていきたいです。

🔷まとめ

一言で言うならば、

子ども向け童話だと決して侮るなかれ。

くまの子ウーフは、大人も学べることがたくさん詰まっています。

今回、ひとつのエピソードを深掘りしただけでもボクにとっては学びの多い作品でした。
それぞれの話に一つの答えがあるわけではなく、様々な問いかけが含まれています。

その中から自分にとっての問いを見つけ、その時その時で、何が大切なことなのかを考えられる作品です。

今回、読書感想文にチャレンジして一番の収穫は、一つの違和感を見つけて深掘りすることの面白さです。


さあ、あなたも自分の違和感を見つけに行こう!


作品がつくられた時代から50年経過しているため、現代の価値観で読むと違和感もあります。

だが、そこが面白いのです。

ここに、くまの子ウーフの面白さ、そして読書の醍醐味がある、ボクはそのことを再確認しました。


以上。

長文お付き合いいただき感謝いたします。

#くまの子ウーフ

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#ポプラ社編集者松永さん

#キナリ読書フェス

#主催岸田奈美さん

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