グラモスの話 - ホタル実装直前号
6月19日、グラモス関連のテキストが倍増する。6月19日とは崩壊スターレイルver2.3アップデートの日であり、新キャラクター『ホタル』、新遺物『蝗害を一掃せし鉄騎』が実装される日である。従来『蒼穹戦線グラモス』の記述に頼っていたのが、急に増えすぎ。パイスーだって初耳なのに。
グラモスの話はもしかすれば詳細にわかるのだと思う。少ないテキストを膨らませて、神秘的な世界に想像を働かせられるのは、今のうちだ。これはそういう記事。
グラモス真実
テキスト確認にはhoyowikiで蒼穹戦線グラモスを開くのが手っ取り早いのだが、この記事を読み書きしながらいちいち参照するのも面倒だから、ここにコピペしちゃう。オーブ、縄の順番で読むのがいいだろう。
オーブの方から素直に読もう。かつて女皇ティタニアの君臨するグラモス帝国という世界が存在した。スウォームとの遭遇で領土を失い苦境に立っていた。鉄騎兵団が出現してスウォームを撃退した。グラモス帝国は領土を回復できたが、鉄騎兵団と市民との間には不穏な空気が漂い始めていた。
続く縄のテキストで、グラモス帝国という世界観が欺瞞であったと語られる。現実にあったのはグラモス共和国だった。共和国の科学者に造られた鉄騎兵団は、女皇を通じて操られ、虚構の帝国のために命を捧げた。スウォームを退けるまでに共和国の嘘が暴かれた。内戦の末に滅びたとする。
要するに、グラモスは共和国と帝国との二重構造だったわけだ。共和国が帝国を支配し、帝国には支配者の存在は秘匿されていた。縄とオーブはそれぞれ共和国側と帝国側の視点を書いたものと捉えていいだろう。いずれにせよスウォームには勝利したらしい。
夢という単語でピノコニーを想起するかもしれない。ピノコニー=グラモス説などいかにもな予想も聞こえるが、一旦おいておこう。
グラモスの嘘
短いテキストの両方が、鉄騎兵団の幻想と学者の憶測という、不確かさを内包するものとして提示されている。どこから嘘で、どこまで真実なのか?
侵略兵器説
グラモス帝国の世界観で、鉄騎兵団は失われた領土の奪還という名目でスウォームと戦っていた。グラモス帝国を嘘とするなら、失われた領土というのも嘘くさい。鉄騎兵団は領土拡張のために造り上げられた侵略兵器だったと考えることもできる。
空を覆う鉄騎兵団は虫の潮に似てきたという。虫の脅威に対抗するために虫を模したといえばいかにもな話だが、この虫は繁殖の星神に由来することを忘れてはならない。増えて拡大する存在だ。
そう考えるとグラモス帝国という欺瞞にも理屈が通る。本当に護国のためなら二重構造は必要だったろうか。事実が違うから必要になった。最初から侵略戦争の正当化が目的だったわけだ。壮大なプロパガンダだ。
対人兵器説
実はスウォームと戦っていたという話すら疑問視できる。鉄騎兵団の認知は改ざんされていた可能性があるということだ。
鉄騎兵団は女皇ティタニアのテレパシーで統制されていた。装甲「サム」を装着すると声と口調が変わる。紀行PVで明らかになったように、誰であれ同じ声同じ話し方になる。すべて装甲「サム」の機能ではないか? 戦闘機による脳機能の補助というのはSFでは革新的アイデアではない。鉄血のオルフェンズに登場する阿頼耶識システムといえば知名度が高いか。認知を補助できるなら改ざんもできる。
帝国という虚構の成立も単純な嘘ではなく認知の改ざんといえば説得力が増す。前述の侵略兵器説とも関連してくるだろう。領土拡張を目的とするなら敵はスウォームに限らない。帝国という嘘、奪還戦争という嘘、スウォームという嘘を通すために認知の改ざんが必要だった。どうだろう。
正味根拠は薄い。とはいえ非人道的兵器を作る勢力ならとことん人道から外れるだろうな、だったら嬉しいなと思う。SFってそうじゃん。
グラモスの謎
嘘か真かとは別に、よくわかってないフワフワした部分もある。
何年前?
スウォームなどの単語からうっかり宇宙の蝗害時代と早とちりしそうになるが、実はグラモスがいつの時代の話かは実質語られていないに等しい。
いわゆる宇宙の蝗害というイベントは琥珀紀で約800紀前。スタレ宇宙史でも特に古い出来事のひとつだ。1琥珀紀が開拓歴換算で76年~240年(≒1世紀)だというから、掛け算して数万年前というスケールになる。宇宙規模では時間の流れ方が異なるから単純比較はできないが、仙舟の暦が現在8100年。見比べると頭痛がしてくる。
宇宙の蝗害自体は古い出来事なのだが、タイズルスの殞落後も現在に至るまで全期間に渡ってスウォームは発生している。アルジェンティ初登場の同行クエスト『宇宙幻覚の夜』で遭遇したように。スウォームという単語が示しているのは、宇宙の蝗害以後という、ただそれだけの事実だ。
ホタルが短命という話も混乱を加速させる。ロストエントロピー症候群という病気は、鉄騎兵団の出自を考えれば、遺伝子改造に由来する先天的疾患とみるのが自然だ。ホタルは長命種ではありえない。グラモスの年代を古く見積もるほど長いコールドスリープを仮定しないと辻褄が合わない。
逆にホタルに合わせてグラモスの滅亡をここ最近と見積もると、情報の少なさが気になり始める。星核ハンター「サム」として指名手配されているのは、グラモス鉄騎兵団が皆サムを着ていたと知っていればおかしな話だとわかる。鉄騎兵団の実情について、銀河でほとんど知られていない。
次元界オーナメントがおおむね現代に近い時代を扱っているようなのは考慮に値するだろうか。サルソットやウェンワークなど滅んだ世界もあるが、殆どの世界は現代に渡って存続している。ヘルタ宇宙ステーションなどここ数琥珀紀のものだったはず。『蒼穹戦線グラモス』だけを宇宙の蝗害時代ととると、ひとつだけ時代背景が全く異なることになる。
この辺は本当によくわからない。進展に期待。流石にあるだろう。
おまけ(仙舟)
同時に実装される次元界オーナメント『劫火と蓮灯の鋳煉宮』の鋳煉宮とは、仙舟「朱明」工造司の焔輪鋳煉宮のことだ。この朱明への旅行記が書籍『涯海星槎勝覧・仙舟朱明』で読めて面白い。字面から想像するよりずっと清廉なビジュアルだそうだ。筆者が今一番気になっている仙舟の供給に助かる限り。今後あるだろう仙舟続編では朱明で工業SFをやってくれると嬉しいね。
同時実装のオーナメントのもう一方『奔狼の都藍王朝』とは仙舟連合と敵対する犬型種族、歩離人に関するものらしい。都藍とは現実のトゥーラーン、中央アジアを元ネタにしている、らしい。知らない。このオーナメント、追加攻撃アタッカーに適するというが、スタレで追加攻撃といえばカンパニー。仙舟でカンパニーといえば仙舟「曜青」。曜青の狐族と歩離人には特別な関係が云々。…と一周して繋がりありそうな、ないような。ストーリーに期待。
ver2.4で実装見込みの雲璃と椒丘はそれぞれ朱明、曜青の人物だ。バージョンを跨いでいるから、この辺の話は気長に待つ。