見出し画像

フェリーグライドをいろんな場面でつかってみよう

こんにちは。東京の多摩川上流、奥多摩と青梅でカヤックを教えている後藤めぐみです。安全に楽しくカヤックを楽しむコツを書いています。

今回は、フェリーグライドについて。「フェリーグライド」とは、流れを流されずに横切るテクニックのことです。フェリー(運ぶ・渡す)+グライド(滑る・なめらかに動く)が組み合わさった言葉です。

フェリーグライドは対岸に渡るだけではない

フェリーグライドというと、流れを横切って右岸から左岸、もしくは左岸から右岸に渡るのをイメージすると思います。
実は、応用のしかたがわかると、川下りでいろんな場面で使えるテクニックとなります。

そもそもフェリーグライドとは、川の上で「流れに乗らない」「乗せられない」ようにするためのテクニック。要は、「いなす」ということ。
下流へ行きたくない状況、つまり流れには乗りたくないときに、ボートを動かす方法です。流れのチカラを下流に進むのに使うのではなく、横方向へと動かすチカラに変換して、流れに乗せられずに行きたいところへ移動するのです。
流れに真正面から立ち向かうのではなく、別の方向へと力を逃がしながら動かしていきます。

フェリーグライドで、以下の三つができるようになります。

① 流れを渡る
② 障害物を避ける
③ 流されないようにエディに向かう

漕ぎのぼりでも、使い方がわかるとラクに流れをさかのぼれるようになります。これはまた別の機会に書きたいと思っています。

① 流れを渡る

右岸から左岸、もしくは左岸から右岸へ、流れの反対側に渡るときに使います。フェリーグライドでイメージされる一般的な使い方です。

対岸へ渡って横切る

例えば、右岸側のエディに入っていて、上陸地点が左岸にあるような場合に、流れを横切って渡ります。
また、下流の様子が見えないようなときに、反対側のエディに移動して角度を変えて確認したりします。(=これを「ボートスカウティング」といいます。ちなみに対岸に渡っても確認できない場合には、ボートを降りて陸上から下見をします)

② 障害物を避ける

岩やホールなど、避けたいものがある場合に、流れを横切る動きを使います。
川はベルトコンベアのレーンが平行に並んでいるイメージ。どの流れに乗るかで、ある程度行き先は決まります。
流れに出る際に、安全な方向へ向かっている流れを選んで乗ると、岩やホールを確実に避けられます。
エディから流れに出る際に、まずフェリーグライドで横移動して、乗りたい流れまで到達してから下るようにすると、確実です。

岩へ向かっている流れを横切ってから、流れに乗る

流れに一旦乗ってから流れを乗り換えようとしても、下流へ向かう慣性がすでについているので、難しい状況も多いです。流れに出る時点で横移動すれば、下流へ向かう慣性がまだついていない状態なので、流れを横切りやすいです。

③ 流されないようにエディに向かう

エディに入る時に、近寄るタイミングが遅かったりしたときに、フェリーグライドの形を作ると、取り逃しにくくなります。

バウの向きを流れを横切る形に近づけるほど、横へと移動する

バウが下流に向いたままエディへ漕ぎすすもうとしてしまいがち。バウが下流に向いている以上は、漕げば漕いだだけ下流へと下ってしまいます。まずは流れを横切る角度を作ってから漕ぎすすむと、推進力がつくほど横へと移動します。

フェリーグライドを組み合わせてみよう

つまり、横移動の動きを組み合わせられると、流れの中をもっと自在に動けるようになります。
横移動+流れに乗る、流れを下って+横移動、横移動+流れに乗る+横移動、など、下る動きと組み合わせて練習するといいです。

御岳のような岩が立て込んでいる川では、この横移動するイメージがすごく役に立ちます!やってみてください。

いいなと思ったら応援しよう!