流れに乗るのか、いなすのか。
リバーカヤックのおもしろさ。それは水の動きを感じて流れと遊ぶこと。地形によって水の動きはさまざまです。同じ川でも毎日同じではなくて、水位が変わると水の動きも変化します。たとえば流量が増えると、流れが速くなったり、水位が上がって岩を乗り越えるようになり、ぶつかったはね返りや落ちる方向が変わります。
「水は下流へ向かって流れているはず」と先入観をもって見ていると、いろんな流れに気づけないです。水は下流へ向かうだけでなく、水中の地形によって、放射状に湧きあがったり、逆流したり、渦を巻いていたりします。また、ふたつの違う方向からやってくる水がぶつかり合う境い目は、川底へと引き込むような水の動きがあります。
自然のチカラはとてつもなく強いので、流れに逆らってボートを動かそうとすると、疲れるし、チカラわざでは負けてしまいます。
水の動きを使って「手伝ってもらう」、手伝ってもらいたくないところでは「いなす」ができると、ボートをもっとラクに動かせるようになります。
水の動きに手伝ってもらう
流れを学ぶレッスンでは、かならず漕ぎのぼりをやります。漕ぎのぼりは、川の中の様々な水の動きを知ることができるからです。
流れに出るはじめてのクラスでは、地形から流れの読み方をやったあとに、「できるだけラクをして上流へ漕ぎ上っていきましょう」「作戦を立てて上ってきてください」と課題を出します。
ラクをするには、
流れに逆らわない
流れに手伝ってもらう
水の動きを観察して、どの流れを使うかを考えて、試してもらってます。
地形を見れば、
流れているところ
逆流しているところ
止まっているところ
が判断できます。
それを手がかりにして、上流へと漕ぎのぼるのです。
水の動きをイメージして、自分の行きたい方向へ向かっている流れを使います。水の動きに手伝ってボートを運んでもらうのです。流れがボートを動かしてくれるので、静水よりもラクに上れるようになります。
ちなみに漕ぎのぼりなら、逆流している動きを使えば、流れのないところよりもずっと進みがスムーズ。勝手に上流へと進んで行きます。
上級者になると、川底から湧きあがっている水の動き、川底へ引き込む動き、波の斜面などを考えて動かしています。
じゃまされたくないときは横切る「いなす」
乗りたくない流れの上を通過するときには、いなします。
「いなす」は相撲用語だったんですね。ずっと普通の言葉だと思って使っていたのですが、ときどき通じなくて、なぜなんだろう?と不思議に思っていました。
「いなす」というのは、受け流すこと。正面切って流れを受けとめるのでなはく、斜めにして逃がしていくような動き。主に流れを横切るときに使います。
流されずに横切るには、流れにじゃまされたくありません。下流へ向かう流れの上を横に滑るように動かしたいです。
いなすには、流れに対するボートの角度と傾けのふたつでコントロールします。
●角度
流れを横切るときには、流れに対して斜め向きにすることで、ボートは横へと押されていきます。
流れに対して平行になるとエッジがとられやすく、バランスを崩しやすいです。ボートの勢いもなくなるので不安定になりやすいです。
流れに対して横向きになると、流れを真正面から受けるので、流されやすいです。横向きになるときには、ボトムの傾けとセットでいなすといいでしょう。
●傾け(リーン)
ボトム側に流れを受ける傾けにすると、上流側のエッジに水がひっかからなくなり、ボートが滑るように動きます。ボートのボトム全体に水圧を受けるような感覚で乗るといいです。
エッジやデッキに流れを受けると、抵抗が作られて流れの方向へと運ばれやすいです。また、ボートをひっくり返す方向に押されるので、沈しやすいです。
漕ぎ上りでも「いなす」動きが使えると、さらにラクになります。岩の脇や張りだした岸の脇は、流れが集まるところなので、まっすぐには上りにくいです。斜め上流へフェリーグライドするように、流れをいなしてボートを進めます。
流れは、乗るか、いなすか。
コントロールできると、流れをもっと楽しめるようになります。
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