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💩はどこに埋める?

2024年6月18-20日の三日間、青梅&あきる野で開催された「アウトドアリーダーシップカンファレンス」で、『土中の水の循環から考える負荷の少ないアウトドア活動』というテーマでワークショップを行いました。

LNT(リーブノートレース=足跡を残さない)のインストラクターをされている方も多数参加していたので、7つの原則に関連する内容でお話ししました。

山などで活動する上でも、土中の水の流れを知っておくと、負荷の少ない活動ができます。
登山道を荒らすのも水だし、うんちの分解を促進するのも、土中の水なのです。

今回は、二つのことをやりました。
ひとつは、登山道を傷めにくい歩き方。

もうひとつは、うんちを埋めるのに適切な場所について、です。

うんちの処理は、「分解」がポイント

LNT(リーブノートレース)は、できるだけ負荷を少なくしてアウトドアを楽しむための7つの原則を学びます。

💩などの処理は、原則3。

野外活動の中でうんちは、川から60メートル離れた場所に、20cmの穴を掘って埋めることを推奨しています。

60メートルの距離は、川の水質を守るため。20センチ程度の深さの穴は、動物に掘り返されないため。ケモノや野鳥に掘り返されないためです。

ただ、日本の場合は傾斜が急峻で60メートルの距離をとるのが難しく、黒土があるので土壌の分解能力が高いという特徴があります。なので、土壌の分解能力が大きいところに💩を埋めるのが適切だろうと考えます。

土中の水の動きで考える

有機物が分解されやすいのは、どんなところでしょうか。

庭先でやった実験

土中の有機物を分解させやすいのは、土中で多くの水がゆっくり循環していて、微生物がすごしやすく、日当たりのいいところでした。

注目したいのは、水脈

いちばん分解されやすかったのは、水脈付近でした。「水脈(すいみゃく)」とは、土中の水の通り道です。目に見えて水が流れてはいませんが、地表近くで流れています。
ちょっとしたコツがわかれば、地形などをヒントに誰にでも読みとれるようになります。

土中の水が多く循環しているところは、微生物が活発にはたらくのでしょう。有機物の分解が速いです。中でも、日当たりのいいところは木の形がまったくなくなるくらいに分解されています。

ちなみにそれがわかってから、水の通り道付近に生ごみを埋めています。二週間ほどできれいに分解されて、黒土になってしまいます。

微生物がいるところ。

微生物が多くいるところのほうが、分解されます。

水脈の上は水の動きが速すぎる場合があります。細かな砂や泥が流されているので、微生物が少ない可能性が高いです。水脈からちょっと外れた場所の方が泥や砂などの粒子が残りやすく、微生物がたくさんいると思われます。

💩をしたときに、黒土をかぶせるのはとても重要です。土の中に含まれている微生物が有機物(うんち)を分解してくれます。

また、埋めたあとにふんわり軽く踏むといいです。土と有機物(うんち)が密着して、より分解が早まります。ただし、あまりギュウギュウに踏みしめてしまうと、微生物が活動できるだけの隙間をつぶしてしまいます。踏み方は加減したいです。

もし手元に炭があるなら、穴の底に入れるとさらに有機物が分解されやすくなります。というのも、炭は多孔質でありながら変化をしない物質。炭の細かな空間が、微生物を活動しやすくしてくれます。

日当たりがいいところ。

日当たりがいいほうがいいです。地温をあげてくれるので、微生物が活動しやすいです。特に冬は、日当たりが悪いところは分解がなかなかすすみません。

まとめ

土の中の水と微生物。イメージができるようになると、環境に負荷の少ない行動もしやすいですね。
💩を埋めるには、

水脈からちょっと外れた水の通り道
微生物が活動しやすい場所

などを意識するとよさそうです。

墓地の場所も、昔の便所もそういったところにありますね。微生物のはたらきで有機物を分解してもらう。目的は一緒ですから。

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土中の水の流れを学びませんか。環境への負荷を考えるのに、いろんなヒントがあります。
3人以上の参加者がいれば、出張ワークショップも行っています。ご相談ください。



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