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「対話」と「川下り」の共通点

昨年は、「対話」について深く考える1年でした。きっかけは、中村一浩さんの「対話塾」という学びの場。そして、先月に「対話」について書かれた本が出版されました。

「対話」と聞くと、誰かと話をすることを思い浮かべるかもしれません。でもこの本では、対話には次の3つがあると書かれています。

  1. 自分との対話

  2. 他者との対話

  3. 自然との対話

これら3つは、つながり合いながら進んでいくものだそうです。

実は、リバーカヤックという川下りのスポーツも、この「対話」にとても似ています。

遠いようで近い、「リバーカヤック」と「対話」

自分との対話

リバーカヤックでは、まず「自分自身」と向き合うことが大切です。これは、「自分との対話」にあたります。

カヤックをうまく動かすためには、自分の体の使い方や気持ちの状態が大事です。体を思い通りに動かせているか感じること、どこに向かいたいのかを考えることが出発点です。

また自分(ボート)を操作するには、気持ちの状態によって変化します。不安があると、たとえ技術があっても上手に操作するのは難しくなります。
迷いがあっても、スピードが乗らずに不安定になり、ボートがひっくり返りやすくなったり、小さな流れに翻弄されたりすることがあります。

でも、ときには流れに身を任せてみるのも楽しいものです。

他者との対話

リバーカヤックでは、「流れ」に対応する必要があります。これは、「他者との対話」にあたります。

川の流れは常に変わっています。ほんの短い時間の中で、強くなったり弱くなったり、うねったりしています。同じ川でも、水の量によっても流れ方が変化します。その日、その時ごとに違っているのが、川です。

カヤックを漕ぐ人(パドラー)は、ボートを通じて、流れを感じとりながら進んでいきます。
流れのチカラを利用したいときには、ボートのチカラと自分のチカラの方向性を合わせて動かします。

逆に、進みたくない方向の流れに対しては、流れを受け流します。
「フェリーグライド」という、流れを横切るためのテクニックがあります。この方法は、ボートを少し傾けてボートの底で流れを受け流すようにしながら、斜めの方向から流れを受け、自分が動かすのとは異なる方向に向かって進んでいきます。

このやりとりは、まるで他の人と意見を交換しているような感覚です。相手の意見を「受けとる」けれど、自分の考えを大切にして「受け入れない」こともあります。互いの意見に影響されながら、他者と自分とのふたつが合わさった別の方向へ進むイメージです。

自然との対話

最後に、「自然との対話」も重要です。川下りでは、川全体の特徴を知ることが楽しさを深めます。

たとえば、川の上流、中流、下流ではそれぞれ流れ方が違います。また、川の水量や地形、岩の種類によっても流れの特徴は変わります。

たくさんの川を下るうちに、複雑さや多様さを感じることができます。経験を重ねると、「自分との対話」や「流れ(他者)との対話」にもつながる新しい発見が生まれるのです。

リバーカヤックは対話そのもの

リバーカヤックは、「自分との対話」「他者との対話」「自然との対話」のすべてが詰まったスポーツです。川下りをしていると、川が優しく感じられるときもあれば、厳しく感じられるときもあります。でも、どちらも含めてとても楽しい体験です。

ぜひ一度、川の上に出て、リバーカヤックを体験してみてください。川は、複雑だけどシンプル。そして、とても面白い場所です!


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