緊張しすぎなひとへの処方箋
ゆるやかなところではちゃんとできるのに、瀬になったとたん(瀬の音が聞こえたとたん)にできなくなってしまう。
そんなひとはとても多いです。
緊張するからですね。
なぜ緊張するんでしょうか?
沈したくないから? 難しいと思っているから? 不安に思うから?
”ちゃんと”の呪縛
瀬で「転んじゃえ、イエーイ」といって下るひとは、まず、いないです。みんな”ちゃんと”下りたいって思ってますよね。
緊張を作りだすのは、この”ちゃんと”の呪縛かも。10センチ幅の平均台を歩くみたいなかんじというか。ちょっとでもはみ出ると、ダメ!ダメ!と思っていると、余計にガチガチになりますね。
ほんとうは、回されても、傾いても、ぜんぜん大丈夫なことが多いです。でも、こうしなくちゃダメ!ダメ!と強く思うほど、緊張が高まります。
回されてもいい。傾いても大丈夫。行き先へ向かってただただ進むのみ。という気持ちで下ると、スルッと下れちゃいます。
視界が狭いから
先のようすがわからないと、不安に思って緊張感が増します。瀬を下るのが苦手なひとは、ボートの近くを見てしまってることが多いようです。
目線を上げて、瀬の出口を見るようにするといいです。瀬の全体の状況が見えると、多少のルートのズレは修正できます。また、ボートのスピードも上がり、回されにくくもなります。
すぐ目の前の波やボートの先端付近を見ていると、「曲がりそうかな」の判断が遅れて、修正するタイミングもワンテンポ遅くなります。
車の運転で、数台前のテールランプを見るようにすると、速度の調整をしやすくなります。すぐ前の車のテールランプしか見えていないと、全体の車の流れがわかりづらく、ブレーキのタイミングも遅れるのと一緒です。
ほかのことに気をそらす
緊張を和らげるのに効くのが、「気をそらす」こと。写真のKさんは、ほかのポイントを意識してみたら、見違えるように柔らかく下れるようになりました。一点に集中しがちな意識を、別なところに移すだけです。
特に「リーンしなくちゃ」と考えると、ガチガチになりやすいようです。柔らかく、波の起伏に合わせるには、”リーンしようとしない”ことが、うまくできるコツだったりします。
技術があっても技量が足りない
それと、場数(ばかず)も大事です。たくさん数をこなすことで、だんだんと落ち着いて対処できます。
ロールも一緒なのですが、回数を重ねるごとに失敗の可能性は減っていきます。たとえば、2回のうち1回が失敗だとすると50%の成功率。5回のうち1回の失敗では80%。20回のうち2回の失敗しても、90%。
回数をこなしていくうちに、細かな調整が上手になっていきます。できてるときとできていないときの違いも、わかってきます。
ということで、
回数をこなすことで、できなかったことができる瞬間がやってきます。そこがカヤックのおもしろさでもあるんですよね。
たくさん失敗できるように、たくさん挑戦してみてください!
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