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お風呂で死なないために~原因と予防~
結論から言うと
一人での入浴を避けること
銭湯・スーパー銭湯などで
他の方と一緒に入浴する事
で、万が一倒れた場合でも助かる率が上がります!
高齢者に多い入浴中の死亡事故
高齢者の方が入浴時に亡くなってしまう事故があります。
さまざまな原因が考えられますが、一年間で何名くらい
亡くなっているのでしょうか?
厚生労働省のHPにデータがあります。
不慮の溺死及び溺水 令和元年 7690人 平成30年 8021人
となっています。
この数字は多いのか少ないのか?
比較対象として交通事故死と比べてみます。
交通事故 令和元年 4279人 平成30年 4595人となっており、
交通事故より入浴時に亡くなる方の方が多くなっています。
厚生労働省 人口動態調査
第7表 死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率(人口10万対)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei19/dl/11_h7.pdf
高齢者の溺水のほとんどは入浴中の意識障害にともなう入浴事故に起因します。入浴中の急死・急病の原因は、心肺停止(呼吸・心臓の停止)、脳血管障害、一過性意識障害(失神)、溺水・溺死とされます。入浴事故は冬期に、かつ寒冷地に多く、また心肺停止は自宅の浴室での発生がほとんどで、人目の多い公衆浴場では認められていません。
公益財団法人長寿科学振興財団 入浴事故
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/kango/nyuyokujiko.html
入浴中のヒト体温は1時間以上浴槽内にいた場合に浴槽水温と等しくなる(生存困難)」ことから、もし入浴中に何か起こった場合には
早期の対応が明暗を分けると言えます。
従来は入浴中急死の原因と考えられた心臓病および当該内出血の可能性は
多くの例で否定的であった。
入浴中急死は、体温上昇および低血圧による意識障害のために出浴が困難となり、さらに体温が上昇して致死的になる病態(熱中症)と考えられた。
入浴関連事故の実態把握及び予防策に関する研究について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002rkou-att/2r9852000002rkv5.pdf
ヒートショック対策と予防
冬季、寒冷時に入浴事故が多いのは「ヒートショック」と呼ばれる現象が起こるためです。
ヒートショックとは急激な温度の変化によって血圧が大きく変動するなど、身体に大きな負荷がかかることで起こり、失神、不整脈などの症状が見られます。重症の場合は死に至ることもあります。持病がない健康な方にもヒートショックは起こります。
ヒートショックを予防するには
1.脱衣場と浴室を入浴前に温める
2.湯温は41度以下、浴槽につかる時間は10分以内に
3.浴槽からはゆっくり立ち上がる
4.一人で入るときは家人に声をかけてもらう
5.飲酒後、食後の入浴は避ける
などの方法があります。
1.脱衣場と浴室を入浴前に温める
入浴の前にあらかじめ脱衣場や浴室を温める、浴室に入る前にシャワーのお湯を出しておいて蒸気で浴室を温めるなどして温度の変化を少なくしましょう。
2.湯温は41度以下、浴槽につかる時間は10分以内に
熱いお湯につかること、長時間お湯につかることで体温が上昇しやすくなります。たとえ半身浴であっても長時間お湯につかっていればのぼせることもあります。のぼせて意識がもうろうとして浴槽から出られず、さらに体温が上昇して熱中症になることもあるため、湯温は41度以下を目安に、お湯につかる時間は10分以内を目安としましょう。
3.浴槽からはゆっくり立ち上がる
お湯につかっている間は身体に水圧がかかっているので、急に浴槽から立ち上がることで急激な血圧変動を起こすことがあります。勢いよく立ち上がって転倒する危険性もあるので、手すりや浴槽の縁などをもってゆっくりと立ち上がるようにしましょう。
4.一人で入るときは家人に声をかけてもらう
「入浴中のヒト体温は1時間以上浴槽内にいた場合に浴槽水温と等しくなる(生存困難)」ことから、もし入浴中に何か起こった場合には早期の対応が明暗を分けると言えます。
日頃から、一人で入浴する際には家人にひと声かけてから入り、いつもより入浴時間が長ければ、声かけや浴室の見回りをお願いしておきましょう。
5.飲酒後、食後の入浴は避ける
飲酒後の入浴は事故死につながるリスクがあります。食後は食後低血圧での失神のリスクがあるので、飲酒後、食後の入浴は避けるようにしましょう。体調がすぐれないときや、睡眠薬などを飲んだ後の入浴も思わぬ事故が起こる可能性がありますので避けましょう。
高齢者の入浴事故 ヒートショック対策と予防
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-sumai/koreisha-hitoshokkutaisakutoyobo.html
入浴事故を減らすには
以上のように入浴事故がなぜ起きるのか?を説明しました。
入浴事故防止に一番良いのは銭湯・スーパー銭湯などで
他の方と一緒に入浴する事です。
幸い日本人は入浴好きな国民性もあり、日本各地さまざまな場所に
銭湯・スーパー銭湯があります。これを使わない手はありません。
毎日通う事で顔見知りになり友達も出来生活に張り合いができるでしょう。
また、週7回以上浴槽入浴される方は要介護になるリスクが3割減少したとの論文もあります。
Bathing Frequency and Onset of Functional Disability Among Japanese Older Adults: A Prospective 3-Year Cohort Study From the JAGES
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/advpub/0/advpub_JE20180123/_article
また、入浴施設のあるスポーツジムも増えています。ジムで運動する事も
とても大切ですが、ジャグジー会員と割り切ってジムを入浴施設として利用するのも良いと思います。
毎日お風呂の為に外出すれば引きこもりの問題も減ります。またお風呂に行くまで歩くのでロコモティブシンドローム(廃用症候群)予防にもなります。
廃用症候群 公益財団法人 長寿科学振興財団
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rounensei/haiyo-shokogun.html
おわりに
今後確実に到来する超高齢化社会では介護予防や医療費削減のため元気な高齢者の方を増やすことが必要です。そのためには毎日の入浴は欠かせません。入浴することで様々な恩恵を受けることができますが、事故が起こる可能性もあります。上記の予防法を頭に入れて毎日入浴し、いつまでも健康で楽しく日々を過ごしていただきたいと思います。
参考になれば幸いです。