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日立台の魅力が薄まる?柏レイソルが取るべき経営戦略
柏レイソルのホームスタジアム、三協フロンテア柏スタジアム。通称は日立台と呼ばれている。レイソルのスタジアムについて高評価を付けるJリーグサポーターは少なからずいる。
その理由は、ピッチと観客席との近さにある。しかし筆者は日立台のこの最大の魅力は、今後薄れていると考えている。このことについて深く述べていきたい。
日本では珍しかったスタジアム
日立台の最大の魅力をもう少し詳しく書くと、コンパクトかつサッカー専用でピッチまでの距離が最短で10m以内、である。
首都圏内ではサッカー専用スタジアムを造るのが難しく、東京都内にJリーグで使用される専用スタジアムはない。そういった意味で日立台は希少性のあるスタジアムと言える。JFL時代から日立製作所が保有していた土地を専用スタジアムにし、改修と増築を経て15,000人の小規模なスタジアムになった。
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日本では陸上競技場をメインの会場にするクラブが多いため、ピッチまでの距離は必然として遠くなる。近年J1で優勝回数を争っている川崎フロンターレと横浜F・マリノスでさえだ。
したがってサッカー専用というだけで、希少で価値のあるスタジアムであった。しかしその風向きはここ数年変わってきた。
サッカー専用スタジアムが相次いで誕生
ここ近年はサッカー専用スタジアムの建設が相次いでいる。Jリーグが新スタジアムプロジェクトを推進しており、ここ10年で数多くの専用スタジアムが誕生した。以下に主なスタジアム名を挙げる。
・パナソニック スタジアム 吹田
・サンガスタジアム by KYOCERA
・今治里山スタジアム
・ミクニワールドスタジアム北九州
・長野Uスタジアム
そして来年の2024年にはサンフレッチェ広島、V・ファーレン長崎が新スタジアムを完成させる。特にV・ファーレン長崎に関してはスタジアムだけでなく町自体を作ってしまう壮大なものであるから、今までのJクラブにない圧巻のスケールになる。
こうしたことから、サッカー専用のスタジアムはもう希少性が薄れてきている。観客席とピッチとの距離を最大の売りにする時代は、もう終わりを迎えている。
ほとんどなにもなかった柏レイソル
ではこの10年、柏レイソルは何か変化があっただろうか。2011年にJ1で初優勝し2012年からはゴール裏を増築。トイレや一部座席の改修も行った。また昔まで野球場だった土のグラウンドは、、現在天然芝となり、トップチームの練習場へと変化した。
ハード面での変化は以上である。これらはスタジアムの魅力を最大限に引き上げるものだろうか。筆者はそうではないと感じる。むしろ老朽化が進んだための最低限の努力だったように思える。
サッカー界は流れが速い。それは選手の寿命が短いことや技術進化による発展が主に起因している。その中で柏レイソルはこの10年、大きな変化はなかったと言わざるを得ない。
瀧川前社長はスタジアムの増築について、これ以上は行う予定はないとの発言を残した。つまり今のところ、日立台はこれ以上何も変わらない予定だ。この現状維持は、果たしてクラブを良い方向へ導くのだろうか。
戦略を考えるべき
10年間でサッカー専用スタジアムを次々と造るJクラブ。一方でサッカー専用スタジアムを創立当初から保有しながらも、10年間でほとんど変わらなかった柏レイソル。
いつの間にか魅力を失い、他のクラブへの関心・魅力が高まり新規サポーターを獲得するのに苦しむ状況が目に浮かぶ。今年4月には山崎新社長が就任したことから、以下の経営戦略を提示したい。
ダイナミックプライシング
チケット価格を変動制にする「ダイナミックプライシング」近年は様々なJクラブおよびエンターテインメント施設で導入されている。
この制度のメリットは、需要と供給を見て適切な価格設定を行えることだ。例えば開幕戦や上位陣との試合は、割高にしても多くの観客が集まるだろう。一方で雨の日や人気のない試合は価格を下げ、気軽にスタジアムへ観に行けるように仕向けることが可能だ。
そのためには顧客データを収集し購買動向を確認する必要があるが、柏レイソルの場合電子チケット化が遅れている。早急に電子チケットへの移行を進めるべきだ。
アジアおよび世界へのプロモーション
タイ人のスタープレイヤーである、チャナティップが北海道コンサドーレ札幌で活躍したことにより、タイの人々の関心はコンサドーレに行った。このような選手の獲得はレイソルも検討するべきだ。
そもそも千葉県柏市は、地方クラブよりアクセスに恵まれている。成田空港からは1時間、東京駅からは40分で柏駅に着く。外国人観光客にとっては行きやすい土地であることは間違いない。
直近では海外のYoutuberが日立台を取り上げたこともあり、海外のファンが増えてきた印象だ。国内だけでなく海外のマーケットにも積極的にアプローチしていくべきだ。
土地の有効活用
柏レイソルはJクラブでも珍しい存在だ。自前のスタジアムを保有するだけでなく、クラブハウスや練習場、アカデミーの練習場まで同じ土地に構えている。
日立製作所の時から購入した私土地を、もっと有効活用するべきである。例えば試合がない日でも市民が使えるようにグラウンドを貸し出し、スポーツのみならずイベントが行えるようにする。またミュージアムやショップを併設し、海外クラブのように観光地化させるのもアイディアとしてはあるはずだ。
現状維持は衰退だ
現状維持は衰退。小屋松が自身のTwitterで残した言葉だ。2023シーズンの半分を終えた時点で最下位に沈む柏レイソルは、何が魅力なのだろうか。
28歳になりました!
— 小屋松知哉 /Tomoya Koyamatsu (@30Xtk) April 24, 2023
お祝いメッセージありがとうございました!
チャレンジの年になるよう頑張ります。
「現状維持は衰退」#28歳#子育てとサッカー頑張ります pic.twitter.com/N6rnsT9dv8
今や60ものJクラブが存在する中で、レイソルは全てのタイトルを獲得した数少ないチームだ。これは誇るべきことだし、永遠に語り継がれる出来事だ。
しかし過去の栄光に頼りすぎてはいけない。外部の環境は大きく変化し、各クラブは様々な手法で魅力をアップデートし続けている。それに比べるとレイソルはスピード感に欠けている。
2023シーズン途中で長年レイソルに尽力したネルシーニョ監督が退任した。社長が交代したのは前述の通り。クラブも転換期を迎え、新たな試みを始めるべきではないだろうか。
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