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BCクロカンの道具の選び方
BCクロカンの道具をそろえる時に勉強したことを整理してみました。
板
BCクロカンに使う板の特徴はウロコパターンがあること。雪にグリップすることで滑ることなく、前方に歩くことができるようになる。中心に溝があるのも特徴。直進しやすくする工夫かも。両サイドもメタルエッジが入っている。重量が増えるが、頑丈になるし、雪にエッジを立てれるのでコントロールしやすくなっている。
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日本国内で購入する場合は、Madshus(マズシャス)か Fischer (フィッシャー)の2択になりそう。一番よくみかけるのはマズシャス。モデルの数字はセンター幅をそのまま意味する。センター幅というのは板の真ん中のいちばん細い部分の幅のこと。
マズシャス
PANORAMA パノラマ M62 (センター62mm)
PANORAMA パノラマ M68 (センター78mm)
PANORAMA パノラマ M78 (センター78mm)
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次に見かけるのがフィッシャー。海外ではこちらのほうが定番なのかもしれない? マズシャスよりちょっと高い。モデルの数字はセンター幅ではなくいちばん太いところを意味するので注意。後述するが、Fischer はシールを取り付けて登攀しやすくできるのがメリット。
フィッシャー
OUTBACK アウトバック 68 (センター59)
TRAVERSE トラバース 78 (センター61mm)
EXCURSION エクスカージョン 88 (センター68mm)
S-BOUND エス-バウンド 98 (センター69mm)
S-BOUND エス-バウンド 112 (センター78mm)
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センター幅の選び方について。幅がせまいほど、板は軽くなる。一方で浮力は下がる。
林道を歩くのがメインなら 幅 78 mm付近 がよさそう。樹林帯の不整地を歩いて、たまにダウンヒルをするなら、幅 98 mm 付近がよさそう。
板の長さは、自分の身長と体重とのバランスをとって決めることになる。参考になるのは Fischer の目安表。
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こちらの Body Weight は体重に加えてウェアやザックの重さを考慮したもので考えましょう。自分は体重が 58 kg で、ウェアとザックを含めるとたぶん 68 kg くらい。つまり、板の長さは 179cm が良さそう。S-BOUND はセンター幅が広いので、169cm で良さそうということになる。
私が使っているのはフィッシャーの TRAVERSE 78 179cm。 実店舗で唯一在庫があったもの。冬季閉鎖された林道をスムーズに歩けて便利。軽くて取り回しがしやすい。一方で樹林帯の中だと浮力が少し物足りない感じ。
こんど板を買うなら、フィッシャー S-BOUND 98 が欲しい。林道も歩けるだけでなく、樹林帯やダウンヒルがもっと楽しめそう。
ビンディング
靴と板とつなぐ接合部分。BCクロカンで使われるのは主に3種類。
3 pin は、テレマークスキーでも使われている古来のもの。シューズのつま先にベロがあり、裏面に3つの穴がある。ビンディングには3つの出っ張りがあってシューズの位置を定めて、ベロを抑えて固定する方式。
NNNBC (エヌエヌエヌビーシー)は、ロッテフェラー社が開発したもので昔からあるらしい。NNN がクロスカントリー用のビンディングで、それをバックカントリーでもつかえるようにしたので NNNBC らしい。シューズのつま先内側に鉄の棒が埋め込まれていて、それをビンディングで挟み込むことで固定する。
NNNBC の中にも3種類ある。
NNNBC オートは、ビンディングの付け外しが自動である点が特徴。
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NNNBC マニュアルは、オートと異なり、手動でビンディングの付け外しをする。手動はオートと比べて、雪が付着して固まっても開閉がしやすいらしい。日本は海外に比べて雪が多めなので、マニュアルが良さそう。
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NNNBC マグナムは、マニュアルを幅広にしたものである。幅が57.9 → 68.0 mm となっている。幅広になることで、472 → 529 gと重くなるが、幅の広い板がコントロールしやすくなるらしい。たった 50g 増なのでマグナムを選ぶと良いと思う。
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XPLORE (エクスプロア)は、ロッテフェラー社が2023年くらいに新たに開発したもの。BCスキーのテックビンディングに似てる。シューズのつま先外側にピンが埋め込まれていて、それをビンディングで挟み込むことで固定する。開発されたばかりなので、適合するブーツの種類が少ない。靴と板の接合部分がNNNBCよりもワイドだったり、そもそも靴と板が近いので、板にパワーを伝えやすいらしい。ヒールリフターもついているので登りがしやすそう。
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もしこれから道具を揃える人がいたら、節約したい人はNNNBCマグナム、お金のある人は XPLORE が良いと思う。NNNBCマグナム は 1.5万円ほどだが、XPLORE は3.3万円 で高いし、シューズも同じ傾向がある。
シューズ
いちばん大事なのは、ビンディングにあったシューズを選ぶこと。つまりNNNBC ビンディングなら、NNBC対応シューズを買うこと。NNNBC ⇔ XPLORE で互換性はない。
BCクロカンのシューズはプラブーツではなくレザー。そのため、登山靴と変わらない履き着心地で快適。そのぶん柔らかいので、板にパワーを伝達しにくい。歩きやすいが、滑走といったダウンヒルはものすごくテクニックがいる。
シューズの周りにプラスチックベルトがあったりすると足が固定される。シューズがハイカットだと足がより固定される。こういったものはダウンヒルがしやすいとされる。
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逆にシューズが単純なレザーのみだと足まわりは柔らかくなる。シューズがローカットだと足まわりは柔らかくなる。
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自分は唯一店舗在庫があった、フィッシャーのBCX Grand Tour Waterproof を使っている。靴は試着が大事なので実店舗にあることを優先した。林道歩きにはちょうどよい柔らかさ。ダウンヒルは高難易度、いや無理。
ストック
登山でつかっているストックを使えば OK だが、長めが使いやすい。雪を押し出して前にすすむ力を得やすい。
シール
なくても良いがあると便利。フィッシャーの板にはシールと呼ばれる、クライミングスキンを装着できる。板にはウロコパターンがあるが、それよりも強力に雪にグリップしてくれる。付け外しもそこまで手間じゃないのであると便利。
よく聞くブランド名
板
Madshus, Fischer
ビンディング
ロッテフェラー
シューズ
Fischer, CRISPI, ロシニョール