[制作のお話] tetote ドキドキ*ベリー
ソロアイドルのtetoteさん(https://twitter.com/tetote2525k)に提供させていただいた「ドキドキ*ベリー」のお話です。
後藤大は作曲と編曲を担当しました。
tetoteさんにはこれまでも数曲書かせていただいているのですが、音源化は初なのでとても嬉しいです。
「幸せ屋さん見習い」。それがtetoteさんの活動テーマです。
今回、曲を作るにあたってどういうことを「幸せ」と感じているのか。「幸せ屋さん」ってなんなのか。どうして「見習い」なのか。そこからのスタートになりました。
幸せだなって感じる時はステージに立ててる時、自分がつくったグッズを喜んで着てくれてるとき、つくったご飯をおいしいよって言ってもらった時、撮影会をして撮影会の楽しさをしったよって言ってもらえた時などなど。だれかの何かになれた時が幸せな瞬間でしょうか?
私は本当に恵まれていて、優しい人にかこまれていて、いい環境で活動させてもらえて、困った時には色んな方が力をかして下さいます。自分で幸せ者だなぁって思っているのでだいたいいつも幸せです。
もともと幸せ屋さんと称して活動していました。
気持ちをお客様に配れたらいいなぁという気持ちからお花屋さんがお花をくばるイメージで幸せ屋さんと称していました。
コロナになってしまってから見習いってつけるようになりました。
お客様の気持ちが感じにくくなってしまったこと、本当に自分が頂いてきた幸せをお配りできてるかわからなくなって幸せについて向き合いたくて見習いとつけるようになりました
頂いた幸せを配ると言ってますが幸せは幸せをよんで広がっていくものだと思っているのでなくなっちゃったりはしません。
これは打ち合わせでのtetoteさんの言葉です。僕はこのやり取りの時点ですでに少し幸せな気持ちになっていました。
基本的に「足りない」感覚が自分の中にあって、気持ちが落ちると奪おうとしてしまいそうになります。誰かに何かをもらっても、またすぐに「足りない」を見つけてしまったりもします。
「幸せは配ってもなくならない。配れば配る分だけ増えて広がっていく」。そのことを理解はしているけれど体感としては忘れてしまうんですよね。だからこの話を聞いたときにハッとしたんです。
そして「幸せだな〜と思う時を教えてもらいたいです」と聞いて、真っ先に周りの人の温もりと、いつも幸せと言う言葉が出てくるって素敵だなって。その想いに触れられただけで、小さな幸せが灯る感覚がありました。
「見習い」をつけた理由も「与える」が基になっていますよね。作曲でも喜んでもらうものを作り続けるためには、見習いのように初心にかえって技術や目的と向き合う時間が必要になります。そんな姿勢が見えたからこそ、僕も迷いなく幸せづくりに参加することができました。
この曲は「単純にスキスキスキ!って言える女の子はかわいらしいなと思う」という視点と、歌詞の断片から始まりました。歌詞中のかけ声も「かわいいから」入っているのです。
では「かわいい」と「幸せ」はどうつながるのか。
僕は女の子が一番かわいい瞬間って「待ち合わせ場所に彼氏が来た時」か「片思いの相手からラインが返ってきた時」だと思っています。そんな女の子を見るととても幸せな気分になります。
スキスキスキ!って言える女の子が曲の中にいるだけで、幸せ屋さんに置けるなあと思ったのです。
この曲は淡い色合いではなく原色の、真っ赤なベリーを基本としながら、カラフルな日常を描いていくイメージで作っていきました。
なので、ふわっとした音色じゃなく聴き取りやすいものを選びました。くっきりしつつも、かわいい(柔らかい)音をまぜて、サビで上下に動き回るフレーズでカラフルさを出してみました。
Aメロの1回し目と2回し目でコードチェンジのタイミングが違ったり、Bメロは少し影のある悩んでいる雰囲気の出る和音を混ぜて、どんどん日常が展開していくイメージです。
リズムは止まらない恋心を表現したくて、基本的にはずっと疾走しています。
そこにtetoteさんの歌詞が乗って「これはめっちゃいい!」とニヤけました。やっぱり女の子の描く女の子は、凄くリアルなんですよね。
個人的には特に2番のAメロが好きで、鏡で髪型をチェックしたり、おまじないを込めてコロンを使ったり、好きな人に会うためにひとつひとつ準備していくシーンは、僕には書けなかっただろうなあと。
女の子が片思いをして、でも告白できずにいる。ただそれだけの曲。そう、そんな「ただの日常」にこそ幸せはあるんだよと教えてくれる曲になりました。
「足りない」を見つけやすい僕ですが、tetoteさんのような人と話したり一緒にものを作ったりしていけば、少しずつ「足るを知る」に近づいていけるような気がします。
ぜひぜひ、聴いてみてください。