見出し画像

むしろ得して新元号

平成とか令和とかそんなに関心がない気もするが、やはり平成ラストはいい日になってほしいと思ったりもする。

しかしそんな願いも虚しく昨日とつぜん圏外になり、彼女に怒られた時の僕みたいにうんともすんとも言わなくなったスマホをどうにかしなければいけなかった。調べてみるとどうも僕が持っている型番で時期は違えど立て続けに起こっている現象のようだった。製造の際に基盤に問題があったみたいだ。

ちなみに男が喧嘩の時に何も言わなくなるのは頭が容量不足でショートしているかららしい。悪気はないんだ…とさりげなく言い訳もしておこう。


画面割れなどはひどいと保証対象外で、基盤の修理のためにまずそこを直さないといけないかもしれないと情報サイトには書いていた。電柱に引っ掛けて吹っ飛んだ時から蜘蛛の巣がかかったみたいにバキバキになった画面が僕を不安で絡め取る。

交換にしろ修理にしろ見てもらわないことには始まらない。ひとまず近所のauショップに行くと、オレンジのはずの看板は爽やかな青に変わっていた。「au」の文字は何度見直しても「旅行」と書いており何とか絞り出したやる気が沖縄でのんびりしたいと飛び立っていくのだった。

それを何とか踏みとどまり心斎橋まで行くことにしたのだが、ショップがどこにあるのかがわからない。スマホを直すのにスマホが必要というジレンマだ。

そういえばと淡い記憶を頼りにクリスタ長堀に向かうと無事見慣れた看板が見えてきた。中に入ると待ち時間の紙が貼ってあり、そこには120分と書いてあった。そうか、今日はゴールデンウィーク。

流石に忙しい中イレギュラーな問い合わせが来たからか、受付担当のおじさんは口からコーヒーの臭いと一瞬気の立った口調を吐き出した。どうやら対応はできないらしい。

ネットにはキャリアに持っていっても大丈夫と書いていたのだけど、ごねても分からないものは分からないし、できないものはできないので素直に了解しました〜と諦めた。

おじさんが言うにはアップルストアに持っていけば診てもらえるかもとのことで、ここまで来たら絶対に直して帰ると逆に闘争心に火がつくのだった。

ゴールデンウィークのアップルストアなんて当日飛び込みで何とかなるわけが…と半ば諦めて問い合わせて見ると奇跡の1時間待ち。たらいまわしと引き換えに得た闘争心の前では1時間などネコの前のネズミであった。

窮鼠猫を噛むこともなく本屋で「中二病超図鑑」なる怪しい本でヒエログリフの一覧を見たり、東急ハンズでガイスターというボードゲームを欲しがっているうちにあっという間に時間は過ぎた。


アップルジーニアスバーのおじさんは火炎放射器で蜘蛛の巣を焼き払うように圏外の問題も画面割れも無償保証の対象にしてくれ、僕のiphone7は画面もピカピカ、バッテリーも満タンの新品に生まれ変わった。

画面割れのせいで「わ」が反応せず「ワロタ」を「ロタ」と打ってしまうこともなくなり、時間はかかったがむしろ得をして新しいスマホとともに新しい元号を迎えられることになったのである。

問題の対応ができない2時間待ちのauショップ、1時間待ちのジーニアスバー、こう言う時に店員に理不尽に怒りをぶつける人を何度も見てきた。

故障したのもお客さんが並ぶのもその人のせいじゃない上に、ごねても自分の時間を無駄にするだけであまりに非生産的だ。

確かに一瞬「な゛ん゛でな゛ん゛だよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛」と藤原竜也の生き霊に乗り移られそうになることもあるけれどその先に希望の船エスポワールは来ない。

今日は自分なりに穏やかに冷静に話ができたと思う。そのお陰か最初は棘があったauショップの人も気持ちよく送り出してくれたし、もしアップルストアで僕が嫌な客だったら画面割れは保証外にしてやろうと思われたかもしれない。

上も下もない、人と人なのである。それは平成が令和になろうと、昭和生まれと令和生まれが話そうと変わらない。

トラブル続きでやろうと思っていた作業はできず5月に持ち越しになってしまったけれど、平成の最後に気持ちのいいコミュニケーションがとれ、新しいiphoneまでゲットできて良かったと思う。

令和も1日1日丁寧に過ごしていけるようがんばっていこう。


[この記事の元になったツイート☺︎]

面白かったらサポートお願いします:-)

よかったら投げ銭感覚でサポートお願いします:-)