東洋経済ONLINEの「日本の書店がどんどん潰れていく本当の理由」を読んで思う所を書きました
余計な解説を省いた利益算出は一般の人にも分かりやすく、書店業界の現状が理解しやすいと思う。
しかしこの手の記事で書店組織の構造自体に問題を提起するものは、ほとんど見ない気がする。
確かに取次配本制度が利益を上げにくくしているのは記事の通りだし、改善策は必要だ。
じゃあ売る側に問題がないかというと、いやいや問題だらけだろというのが私の意見。
特に大手流通書店はトラディショナルなトップダウン企業だ。
なので、店舗が多ければ多いほど、従業員が多ければ多いほど、指示や報告の伝達に相応の時間と労力が掛かる。
もうその段階で現場で働くスタッフはモヤモヤしてるし、行動力とキャリアのあるスタッフは独立して小さな書店を起ち上げるという流れは、よく耳にする。
それは時代のトレンドでもあるし興味がある道だが、私自身は大手流通書店の中小規模店舗の活性化が業界全体が復調する起爆剤になるのではと考えている。
中規模店舗は大型店舗ほど商品となる商材の確保も難しいし、展開場所の問題もある。
かといって独立書店のようなフットワークを軽くイベントをやったり、センスの尖った選書で棚づくりなんてのも出来ない。
本部からは全店チェーンの企画ものが入荷したり、問題の取次配本で注文した覚えのない商品も入ってくるが返品率の問題でうっかり即返(すぐに返品する事)も出来ない。
ただこの現状は恐らく何十年も着手されないまま現場に任されている事だと思う。
着手されない理由はトップダウン企業だからというのがひとつ理由として挙げられるかもしれない。
現状、ひとつの大型書店がモデルケースとして存在していて、言い方は悪いが中規模店舗はそれの劣化コピーにしかなっていない。
それでは品揃えだけで比較された場合、旗艦店やネットショップには勝ち目がない。
恐らくそこまでは現場の店長やスタッフは分かっているし、逆にこんな店舗にしたいという欲を持っている書店員もいる事と思う。
そんな欲求を叶えたくても、悲しいかな、トップダウン企業では、その道のりは長く険しい。
バイトから契約社員、社員、店長、本部社員、役員へと、何やら色々作って色々な人の間で、現場の知らない所であれやこれやと話し合いがなされ、場合によっては忘れ去られ、そうこうしているうちに月日が流れ、年を越え、お客さんからは「あそこの店、中途半場だね」と飽きられ、気が付いたら売り上げも落ちていて、そんなタイミングで本部から「前年比を割っているので、打開策を提示してください」と言われる。
その先は悲しい未来しか想像できないが、ほとんどの中規模店舗が体験している事じゃないだろうか。
何となくでダラダラ書き始めたら、思いのほか長文になってしまったので、続きはまた次回という事で。
次回は、「中規模店舗の魅力」と「ボトムアップ企業化」などなど書いていこうかな。