そもそも経済#1「円安とまらず」
日本経済新聞社を退職し、フリーランスとなって2カ月がたちました。おかげさまで、Twitterフォロワーは29万人、YouTube登録者は13万人を超えました。noteはTwitter, YouTubeとあわせた3本柱として、本格稼働します。経済になじみのなかった方にもわかりやすく、おもしろく――。資産形成に役立つ知識や経済時事教養を、できるかぎり中立な立場で伝えていきます。
「そもそも経済」スタート
YouTubeやTwitterでの情報発信を通じて、みなさまの反響から強く感じたのは経済ニュースの「そもそも」へのニーズが高いことです。メディアは日々ニュースを伝え、SNSなどで専門家の意見も飛び交いますが、「実はわかっているようで、わかっていない」という言葉や仕組みというのはたくさんあると思います。私自身も不慣れな分野ではそうしたことがたくさんあります。
YouTubeではそうした動画をアップしていますが、「動画は面倒」「テキスト(文字)がいい」との声も頂きます。Twitterは拡散力が抜群ですが、字数制限があります。そこで「数分で読める『そもそも』経済」として、これからnoteで旬なキーワードをどんどん取り上げていきます。
初回は「円安とまらず」。ちょうどさきほど1㌦=133円台まで急速に円安が進み、約20年ぶりの記録を塗り替えました。YouTubeでも同時に流しましたが、こちらはnote向けに読みやすく編集しています。今後はnoteオリジナルの解説も随時投入します。
ことし3~4月に急激な円安が進みました。5月はいったん落ち着きましたが、この1週間で再加速。さきほど20年ぶりに133円台をつけました。2021年はじめは103円台だったので、30円近くも円安が進みました。歴史的にもかなり急な円安です。
2000年~が上記。20年ぶりの円安で、最近の円安が急であることもよくわかります。それから、「10年前」も70円台半ばと記録的な局面でした。そこから60円近くも円安が進んだことになります。
今年の円安のドライバーは金利差。上記の通り、少しでも利回りの得られるドルを買おうとする動きが強まりました。グラフでみると、下記です。
米10年債(青)は今年に入り大きく上昇し、一方、日本の10年債はほぼ横ばいです。金利差が開くにつれ、ドルの「おとく感」が強まり、赤のドル円は青とほぼ並行して、円安・ドル高が進みました。なぜ日米でこんなに金利差が開いたのでしょうか?
カギはインフレです。アメリカでは物価上昇率が8%を超え、深刻な社会問題となっています。バイデン大統領は強く警戒し、中央銀行FRBはインフレ退治のため、急速に利上げに動いています(利上げについては今度丁寧に説明します)。
一方、日本は物価が上昇してはいるものの、アメリカより穏やかです。日銀は原油高騰など供給要因による一時的なインフレとみており、ゼロ金利を粘り強く続ける構えなのです。
対ドルだけではなく、対ユーロ、対ポンドなどでも円安が加速しています。夏休みに欧州旅行を計画している方は円に換算したホテル代やレストラン代が高くついてしまうかもしれません。
ほかの様々な通貨をたばねた指数に実質実効レートというものがあります。それが下記。実に半世紀ぶりの円安となっています。
「円安っていいこと悪いこと?」「これからなにに注目すれば?」といった疑問もあろうかと思いますが、きょうはひとまずここまで。明日6/8ごろ、後編(無料)で配信しようと思っています。
6月はサンプル → 7月有料に
6月はこのような記事を多数配信します。というのも7月からnoteを月額有料(500円~)とする予定で、サンプルの意味合いを込めています。きょうのような「そもそも」の話はさることながら、最近の経済・金融ニュースの深掘りや、資産形成に役立つ情報を多数配信していく予定です。
まずは6月のサンプルをご覧いただいて、お気に召しましたら、来月購読をご検討いただければ幸いです。
後藤達也
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