「株」ってなんだっけ?(やさしい投資#2)
3月はバタバタしていて「やさしい投資コラム」の更新が滞っていました。すみません。4月は何回か配信します。
このコラムは、6月ごろの発売を目指して作業中の本の原稿の一部をおみせする企画です。みなさまからのフィードバックをもとに、本の原稿や構成もかえていく、noteメンバー参加型の書籍編集を進めていきたいと思っています。
きょうは「株ってなんだろう」という初歩的なコラムです。で、少しスパイス的に関心をもってもらうために、私自身が昨年秋に小さな会社を起こした時のエピソードもいれてみました。
めちゃくちゃ小さな会社ですが、資本や経営を考える上で、単純な例から出発すると、意外と身近に感じるものかなと思ったからです。
きょうの原稿はごく一部ですが、本ではこういうところから話を広げていきます。「株価ってそもそもどう決まるのか」とか、昨今話題の「東証、PBR1倍割れ企業へ改善要請」といったニュースにも関連付けられればと思います。
「簡単すぎる」とか「こういうところも触れてほしい」などご意見あれば、コメントをお願いします。編集を進める上で、参考にさせていただきます。
では、原稿です。
▼ まず、株ってなんだろう
「そこから始めるの?」と思う方もいるかもしれません。でも、「株とは何か」のイロハから、みていくことは投資をするうえでとても大切です。初心者にわかりやすく、投資経験者にも改めて頭の整理となり、気づきのある章になればと思います。
株式会社を起こすとき、お金が必要になります。そのお金は大きく、「借金」と「株」の2種類にわかれます。銀行や知人からお金を借りるのが借金。お礼に利子を払いつつ、いつの日か借りたお金を返す仕組みです。
一方、「株」は「資本」ともいわれ、借金のように返済する必要がありません。会社を起こした本人が100万円といったお金を出資することもありますが、親族や友人からお金を出資してもらうこともあります。
「返済の必要がない」のは会社にとって気楽な気がしますが、それだけだと誰もお金を出してくれませんね。出資した人、つまり株主はその出資額に応じて、将来の会社の利益を「配当」というかたちで分けてもらえます。
創業1年目の利益はもちろん、株を持ち続ければ、5年後も10年後も利益をもらえます。会社が大きく成長すれば、配当が何倍にもなって、最初に出資した金額を上回ることもあります。逆に経営がうまくいかず、倒産してしまった場合は、配当がもらえないばかりか、出資したおカネも返ってきません。
つまり、お金を出す人にとって、「株での出資」は「お金を貸す」よりも、おカネが減ってしまうリスクが高い一方、企業が成長すればその分リターンが大きいといえます。
そして株主にはもう一つ大きな権利があります。「議決権」です。
会社の大事な経営判断は株主が決めます。基本的に過半数の株主が同意すれば、大きなプロジェクトだろうが、他社からの統合交渉の可否だろうが、株主が決めることができます。日々の経営は社長や役員にまかせているので「所有」と「経営」は分離されているとされますが、経営陣を誰にするか選ぶのも株主です。
つまり、株主になれば、重要事項を決める権利があり、かつ将来の利益を分配してもらえる権利もあるわけです。これが「オーナー(所有者)」といわれるゆえんです。
実は私も2022年の秋に小さな株式会社を設立しました。とても小さな事例ですが、イメージが膨らむように雑談がてらお話しします。
▼ 株式会社をつくりました
私は2022年3月に日本経済新聞社を退職し、フリーランスとして活動を始めました。4月に税務署に「事業届」を出し、当初は「個人事業主」として活動しました。この時点では「法人」ではありません。
その後、YouTubeやnoteなどで、収入も伸び始めました。いろんな方に話を聞いたり、調べたりする中で、株式会社をつくろうと考えました。個人としての情報発信には大差ないのですが、会社をつくった方が事業運営や資金管理の面でメリットが多いと感じたからです。個人事業主から会社を起こすことは一般に「法人成り」といわれます。
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