「手に汗 握らない」がちょうどいい
「資産の何%を投資に回せばいいのか」と聞かれることがあります。
直球の答えはありません。資産規模や出費によりますし、年齢や健康、家族構成によって妥当な数字はかわります。
ただ、きょうはフワッとした基準でお話しします。
◆「手に汗を握らない」
株価や為替の上下に、「手に汗を握る」ようだと、おカネも心も投資に向かいすぎだということです。
実際に汗を握らなくとも、「頻繁に株価や損益をチェックしてしまう」「株安時にものすごく不安になったり、落ち込んだりしてしまう」というのもほぼ同じです。
これは、レオスキャピタルワークスの藤野英人さんとの対談ででた話題です。
「手に汗を握る」金額は人それぞれです。
投資で3万円の含み損がでると、激しく落ち込む人もいれば、ほとんど気にしない人もいます。
同じ人でも人生によって3万円の重みはかわります。
「手に汗を握る」のは、その人にとっての「リスクのとりすぎ」を映すバロメーターだといえると思います。
◆ 自分の心と対話する
自分自身の適切な投資額って、しっかり計算できる人は多くないと思います。
ただ、実際に投資して、損益を目の当たりにすると、感情が上下に振れることがあります。
合理的な計算をしていなくても、感情は振れるわけです。
その振れ具合が大きすぎるようだと、好ましくないでしょう。
これは「損して落ち込む」だけでなく、「利益がでて、異常にテンションが上がる」というのも同様です。
株高で利益がでるのはいいことですが、その快感が大きすぎると、欲が刺激され、さらに利益をえようと過剰にリスクをとるおそれがあります。
また、利益がでたとしても、それは実力ではなく偶然かもしれません。相場情勢が逆転すれば大きな損失につながります。「利益がでてテンションが上がりすぎる」のはリスクの取り過ぎの裏返しともいえます。
◆ ちょうど「株高→株安」が起きました
日経平均は6月半ばから7月半ばまで急上昇し、この10日ほどで大きく調整しました。
最近は円高も進んだので、米国株の円換算の評価額が減った人も多いでしょう。
成績は保有銘柄によって人それぞれですが、心境の変化も含め、いちど振り返ってみてください。
6月半ばからの株高で、すごく心が躍っていた場合は、利益はでていてもリスクをとりすぎだったのかもしれません。その分、直近の株安の心理的ダメージも大きいはずです。
逆に株高時もさほど浮かれず、直近の株安もあまり気にならないという方は、身の丈をこえていないリスクの取り方だと思います。
◆「ほどよいリスク」なぜ大事?
適切なリスクのとりかたはプロの運用で極めて重要です。
リスクが大きすぎると、極端な損失がでて、投げ売りせざるをえなくなることもあります。
ただ、個人にとっては「ほどよいリスク」は別の意味でも大切だと思います。
損益に心が過度に振らされているようだと、日常生活での機嫌にも影響が出ます。
スキマ時間を細かく奪われると、仕事や家庭、睡眠の時間が減りかねません。
きょうはかなりフワッとした話ですが、個人的には結構大事な話かなとも思います。
新NISAを機に、今年投資をはじめた人も多いと思います。末永く、気持ちよく資産形成と向き合うには、こうした「自分自身の心との対話」も大切だと思います。
先日の「つみたて投資と株安」のコラムも好評をいただきました。
よければあわせてご覧ください
https://note.com/goto_finance/n/nefa19fb4cc8e
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?