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「予想できない」市場混乱からの教訓

日経平均が4451円安を記録したのが先週の月曜でした。

きょうは日経平均が大きく上昇。「4451円安」を穴埋めしました。

歴史的な乱高下。ここから私なりにみなさんとシェアしたい教訓をまとめたいと思います。

◆「事後的な解説」では…

今回の急激な円高や日本株の急落。米景気不安や日銀の利上げ積極化などを背景に、「投機筋の円売り・株買いが巻き戻された」との見方が多くなっています。

「事後的な解説」という印象もあるかと思います。

1カ月ほど前まで投機的な動きも指摘されていましたが、これほどまで急激な株安や円高にまで事態が発展すると警戒していた人はほとんどいません

なので、「事後的な解説」というのはまさにその通りでしょう。

◆ プロも予想できない

裏を返せば、プロの投資家も経済当局者も、事前にリスクを把握するのは難しかったということです。

金融市場は世界中の様々な人々が参加しており、取引の全容は統計などで測れません。

また、ショック的な値動きをしたときに、隣にいる投資家がどういう心境でどんな取引をするかわかりませんよね。なんなら自分自身の心境の変化も事前には読めなかったかもしれません。

まとめると、今回のショックを予想するには、投機筋を含めた世界中の投資家がどんな取引をしているか把握し、あるショックにどれくらい反応するのかも読めないといけないわけです。

そんなこと、無理ですよね。

つまり、株価の急落のリスクはどこから突然現れるかわからないものです。

言い換えると、「株価はこうなる」と断言する人は、それだけマーケットの複雑さを理解していないといえます。

◆ リスクは「どこから現れるのかわからない」

いいかえると、事前に把握できないリスクだからこそ、表面化すると市場に衝撃が走り、株価は急落するわけです。あるリスクを事前にみんなが警戒していれば、実際のそのリスクが表面化しても「織り込み済み」ですよね。

リーマンショックにしても、コロナショックにしても、過去の大きな市場混乱は、事前に備えるのがほとんど不可能だったリスクが急激に表面化しました。

◆ 株高・円安が続くと慢心

この1-2年は日米の株価が高値を更新し、円安もどんどん進んでいました。

そこで利益が蓄積すると、慢心してしまい、「ずーっとこういう状況が続きそう。じゃあもっと投資を増やそう」となりがちです。

そうした楽観ムードが市場全体で増殖すると、マグマがたまり、逆回転したときの反動が大きくなります。

◆ 教訓① 身の丈にあった投資を

私も含め、これだけの乱高下で、自分自身の資産がどれほど動くのか、そのとき心境がどれほど揺さぶられるのか、を肌で感じる機会にもなったかと思います

もし、心理が激しく揺さぶられ、仕事や生活のリズムにも余波が及んだのであれば、過度にリスクを取り過ぎていたのかもしれません。

今回のような乱高下は頻繁に起こることではないですが、何年かに一度(ときに1年に数回)はショックが訪れます「こういうこともあるよね」と思える金額で投資に向き合うことが大切だと思います。

◆ 教訓② ニュースやSNSに惑わされない

SNSやYouTubeはビューを増やすために極端な煽りをしたり、ときには真偽不明な情報で不安を駆り立てたりすることがあります。メディアもショックを大げさに伝えることがあります。

それぞれの局面で誰がなにを伝えていたかを整理してみることも大切だと思います。

SNSなどでは「株高時だけ煽り、株安時に沈黙する」人もいますし、「株価急落時に突然声を荒げ、リバウンド時に静かになる」人もいます。

メディアも株価急落は「ブラックマンデー以来」などと大々的に報じても、そのあとのリバウンドはほとんど報じないこともあります。

こうしたクセは、今回の乱高下でも目の当たりにした人が多いと思います。

「メディアもインフルエンサーも大げさに伝える傾向がある」と一歩引いた目で情報と向き合えれば、余計に惑わされることも減るかと思います。


◆ キーワードまとめ

・これほどの急激な株安や円高を警戒した人はほとんどいない
・事前に把握できないリスクだからこそ、表面化すると市場に衝撃が走る
・「株価はこうなる」と断言する人は、マーケットの複雑さを理解していない
・楽観ムードが市場全体で増殖すると、マグマがたまり、逆回転したときの反動が大きくなる
・何年かに一度(ときに1年に数回)はショックが訪れる。「こういうこともあるよね」と思える金額で投資に向き合うことが大切
「メディアもインフルエンサーも大げさに伝える傾向がある」と一歩引いた目で情報と向きあうべき

【ついでに】ちょうど1カ月あまり前

きょうのお話自体が「事後的な講釈」といわれるかもしれません。たしかにリスクや株安のタイミングは読めないのですが、上記の心構え自体は常にもっとおくべきだと思います。

ちょうど株高や円安がピークをつける直前の7/6に、著名投資家のテスタさんとの対談でもそんな話題がでていました。

👇下記リンクの「28:30あたり~6-7分」

ちょっと文字起こしするとこんな感じ。

▼ テスタさん

・いまみたいに高値の時は油断するし、緩む
・相場って、すぐ悪くなる
・プロでも値動きは読めない
・「なんとかショック」はいつ来るかわからないけど、必ずどこかで来るので備えておく必要がある

▼ 後藤

・日経平均もS&P500も円建てですごくあがっているが、こんなパフォーマンスが毎年続くことはありえない。ちょっとしか上がらない時もあればものすごく下がるときもある
・最近投資をはじめた人だと、これくらいの株高が常識だと思うと、過剰にリスクをとってしまう
・リスクは想定していない形であらわれる。予見していないからこそショックは大きくなる


👆のトーク箇所、株高・円安のさなかだったので、会場ではあまり反応が良くなかった気がしますが、いま振り返れば、結構大事な話をしていたんだなあと思います。

「資産形成の知恵」シリーズ。こんなトーンのコラムもときおり配信できればと思います。

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