あるキャバクラ店の悩み あるいは顔を美しく見せるには?
こんにちは。
照明器具メーカーでライティングデザインを生業にしおります
gotoと申します。
年間200件ほどデザインをこなしています。
照明の事を考えるのは超めんどくさいので、私たちにぶん投げて
くださいの精神の持ち主。
キャバクラ店からのSOS
もう20年ほど前のこと。
お取引先経由で、いわゆるキャバクラ店舗で生じている問題の
相談に乗って欲しい。
ついては現場も見て欲しい。
そのようなご要望でした。
お店は新しく、内装デザインもおしゃれでダイニングバー
(当時流行ってました)のようなしつらえ。
何も問題が無いように見えましたがお店の方いわく
「女の子の顔が…」
お店の女性の顔がキレイに見えない、とのこと。
詳しく聞くと、お顔に陰影がキツくあらわれてしまうようです。
流行のおしゃれ飲食店にしたことが仇に!
客席テーブルを狭い配光のスポットライトでバシッと照らす
という手法は、デザイン事務所のスーパーポテト創設者でもある
杉本貴志先生が最初と言われています。
「焚火効果」などという言葉がありますが、キャンプで火をくべると自然に
人が車座になって談笑しますよね。
テーブルを集中的に照らす
↓
明暗差が強くなるので周辺が視界に入りにくい
↓
より目の前の人たちとの語らいに没入できる。
という効果を得られます。
が、そこはスポットライトの光。
明暗差が強い=お顔の影がくっきりとでてしまう。
キャバクラという業態は、女性スタッフとの会話を楽しむ場ですが(多分)
せっかく整えた衣装やお化粧、ヘアセットが光と影のコントラストの前に
霞んでしまう事態は売上にも響くのでしょう。
解決手段は?
では、どうすればそれを解消できるのか?
結論から申し上げますと
「拡散する光」をまぜて陰影差を和らげる
です。
間接照明は一度天井や壁面に照射してその反射光を利用します。
照明器具からの直接の光ではないのでより拡散された光になります。
上の写真の部屋はスポットライトが主ですが、天井の間接照明のおかげで
陰影が柔らかくなっています。
待って!予算が無いの…
とは言え、既に完成したお店に間接照明を追加することは困難です。
(お店を休業して工事する必要が生じてしまうため)
となると別の手段を考えなければいけません。
要は「拡散する光」があれば良いのです。
例えばスタンド照明。
配線工事が必要ですが壁付け照明も。
イ◯アさんやニ◯リさんで扱うものでも構いません。
重要なのは曇りガラスや布を通して柔らかく拡散する光が
足される事です。
見落とされがちなトイレのミラー問題
上記の問題はトイレ全般にも当てはまります(特に女性用)。
スポットライト的な光を用いることが飲食店で流行ったことは
上述した通りです。
それがトイレの中も同様な光で構成されるお店が多かったのです。
↓
やはり拡散する光の方が顔に対しては良いと思います。
ハリウッドランプや女優ミラーと呼称されるあれは理に
かなっているのです。
Youtuber御用達の照明とは?
最後に。
顔が命、という訳はないですが、どうせなら若々しく健康そうに
見えた方が良いですね(自身が出演する動画など)。
一時期、どのYoutuberも使っていた照明器具があります。
これは顔の陰影を消し、キレイに撮影できるという以外の利点があります。
それは瞳の映り込みです。
照明器具の円形の発光部分が瞳に映り込み、リンバルリングの輪郭が
強く見えるように錯覚します。
リンバルリングとは、虹彩(水晶体の全面にある膜)と白目の部分の境の
ラインの事とという解釈でよろしいかと。
虹彩はカメラの絞りの役割を担います。
平滑筋で瞳孔の大きさを調整します。
しかしそれらは加齢と共に衰えていきます。
私たちは無意識で
明確に視認できるリンバルリング=若くて健康
と認識します。
ポスター用に人物撮影に用いるカメラも同様の効果を狙っています。
ただし、魅力的に感じるか否かについては、人種(瞳の色素の濃淡の違い)や
性別(男性は有無に関わらず魅力的に感じない)などで違いが出るようです。
(認知科学や心理学の分野で研究されています)
以上、キャバクラのお話からトイレまで取り留めない内容でした。
もし、飲食店をこれから出店する等の計画のある方の参考になれば幸いです。