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Music Inn Fujieda 土蔵スタジオ

Music Inn Fujieda
クラウドファンディングのリターン解説

 先日、『Music Inn Fujieda』を造るためのクラウドファンディングのリターンになっている「土蔵での弾き語り音源」の収録を行いました。

土蔵の2階で収録しました。天井の太い梁には「明治三拾九年一月拾三日建築」の文字。1906年ですから、118年の歴史です。スタジオのオープンは2026年予定。そう考えると120年の歴史。

 アコギを弾きながら歌うという、文字通りの弾き語り音源を一発録音。合計3回くらいの演奏です。素の「Naked」と呼んでいいような演奏になりました。作りたての新曲ならではの雰囲気で、とても気に入っています。

 本来はこの音源だけの予定だったのですが、今回は自分のスタジオのCBSでもデモ音源を録り直して、ハーモニーなども付け足してみようかなと思います。デモ音源がどうやって肉付けされていくのかが分かる、貴重なリターンにしたいなって思います。5000円も支援していただきましたし。

録音スタジオに改装される予定の土蔵。まずは内部の腐食などを修復して、そのあと、土蔵を1mくらい吊り上げて、普通の家よりも重量のあるスタジオが建ってもいいように基礎の強化工事をします。建物一度移動すること(今回は引き上げる)を曳家というそうです。土蔵の外観を守るための工事でもあります。
土蔵の2階は床を抜きます。そうすることで一階から吹き抜ける形になって、4m以上の天井高が実現します。打楽器は叩いた音だけでなく、その音が空間に響いた残響までが楽器の音として録音されますから、スタジオの響きは重要です。天井が高いと、リッチな残響が収録できます。
こちら土蔵の一階。天井(2階床でもある)は抜いて、梁を1mくらい上げます。そうすることで吹き抜けの開放的な空間になる予定。手前の天井(床)は残して、ロフト的な構造のコントロールルーム(ミキサーなどが置いてある部屋)を作ります。

 弾き語りの収録と同時に、土蔵のIR(インパルス・レスポンス)のデータを収録しました。これによって、音響空間をDAWのなかで再現することができます。簡単に言うと、「仮にこの土蔵で楽器を鳴らした場合の響き」をPCのなかで再現できるようになります。土蔵の内装はスタジオ用に防音されるので、現在の響きはどうしても失われてしまいます。それを保存して、いつでも改修前の土蔵の音を再現できる仕組みです。プラグインに使うデータは、何らかの方法(販売やリターンも含めて)で誰でも使えるようにする予定です。詳細は後日。

8chのカプセルのAmbisonicsマイクロフォンでIRのデータを収録中。この写真では一階のデータを収録しています。もちろん、2階は収録済み。
2階のほうがやっぱり天井が広い感じの響きになります。一階は渋めの響き。
こういう小さいスピーカーとiPhoneを使ってIRを収録する方法もあります。写真は土蔵の隣の茶室。茶室リバーブですね。
「茶室で爆音でギターを鳴らしら場合」みたいな音を再現できるようになります。
これはPro Toolsのプラグインのなかにインポートした藤枝リバーブ。和室、土蔵の1Fと2Fがそれぞれ使えるようになっています。3m、5mなど、マイクの距離によって変わる残響のデータも収録しています。
※今回のリターンには含まれていません。

 リターンには手書きの歌詞(PDF)と簡単なコード譜が付きます。そんなに難しいコードは使っていないので、ちょっとギターを練習したら歌えるようになると思います。もっとも、僕のメロディもまだ少しふわふわしていて、これから歌い込んだりバンドで演奏しながら固めていくのですが…。楽曲を作っていく過程を見学しているようなイメージで楽しんでもらえたら嬉しいです。

 せっかくなので、歌い出しの歌詞をシェアします。全文は支援してくださった皆さんのお楽しみということで。ご支援、ありがとうございます。

かつて僕らは
何もない手の平をじっと見て
それだっていつかは
何者かになるなんて誓いを競って立てたね

新曲の歌詞から引用
土蔵の裏庭にあった陶器の椅子に座って、こんなマイキングで演奏しました。
ギターはGibsonのLG-3ですね。小ぶりなギターです。