ドサクサ日記 9/16-22 2024
16日。
鈍感力みたいなものを強化して、やたらと前向きに生きてゆけたらどんなに楽かと思う。OPPからの切れ痔、みたいな身体的な痛みだって何かに夢中になれば存在そのものを忘れてしまうけれど、根本的な解決にはならない。なので、俺はいちいちクヨクヨといろいろなことに悩む。自分の人生、もっと楽に生きたいなと思うけれど、自分だけ楽しいことが、楽しいと思えない。シェアできたときが一番嬉しい。
17日。
京都で取材。出町座の裏側を見学することができた。取材のあとは西谷さんと京都の居酒屋をはしご。人の丁寧な仕事を見たり、その丁寧さを感じたりすると、幸せな気持ちになる。貨幣的な価値とは別の、これは金銭では測れないなという実感としての幸福が、味覚から脳に伝わって、何らかの物質として全身に広がる。友達と会って何ともない話をすることも、別の何かと等価で交換できない。そういうもんでしょ幸せは、というのは当然のことなのだけれど、どこに行ってもみんなが財布から取り出す物差しは同じもので、そうした資本主義的な、交換様式C的な仕組みはからは逃げられない。でもこれは仕組みの話で、俺たちはいとも簡単に、その仕組みのなかでも、骨組みとしての価値観を宙に浮かべて、グリッとひっくり返すことができる。それができるのは恐らく人間だけで、私たちの能力なのだと思う。
18日。
楽器の練習と豊岡の玄武洞ライブの仕込み。持ち時間が60分もあるので、「Lost In Time」の演奏もしようと思っている。なにしろ、この曲に重ねてある環境音は玄武洞で録音したものだ。偶然にも、収録した日は坂本龍一さんの誕生日だった。彼へのリスペクトを込めた曲を、玄武洞ではじめて演奏できるのは嬉しい。そう言えば、苫小牧で立体音響として展示することも決まっている。ツアーの中日で会場に行けるかどうかは厳しいところだけれど、立体音響として作った音楽でもあるので、現地で楽しんでほしい。kanekoayanoやEGO-WRAPPINのライブも本当は観たい。マレウレウももちろん。主催者の加藤君のステイトメントはとても素敵だ。世代を超えて、似たような問題意識を抱えている人がいるのは嬉しい。
19日。
リハと後、アジカンのメンバーと一緒にインスタライブを行った。藤枝に作るスタジオについて、メンバーとPOPに話す予定だったけれど、俺がひとり熱く語り上げるような機会になってしまった。こうして優しく後方支援してくれる仲間の存在がありがたい。スタジオ作りはコミュニティ作りでもあり、悩みも多いけれど、多くの人が参加者になって、僕の私のスタジオだ!と思ってもらえる施設にしたい。
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20日。
リハーサル。BUNTAIの緊張感を経たので、演奏が楽しい方向に開いている。ツアーの良いところは、自分たちの現在を点ではなく、河川または面のようなかたちで表すことができるところだと思う。一発開催はどうしても緊張感があがる。そういう機会が引き上げてくれたり、進めてくれる歩みもある。ツアーが終わったころ、自分たちがどのように仕上がっているのかが楽しみ。一生懸命練習している。
21日。
ミシマガでの連載『凍った脳みそリターンズ』の原稿を書かねばと思ってパソコンに向かうも、なんだか腹が減ってきたのでパスタを茹でた。茹でただけでは腹は満たされないので当然食べる。そうするとまったく原稿を書く気がどこかに失せてしまう。もうこれは分かりきっていたことで、朝食を食べたらしばらく何のやる気がなくなるのはいつものこと。ソファで深めに寝入る。何らかの疲れで身体が重い。
22日。
能登半島の水害のニュースを見て呆然としている。本当に気の毒だと思う。自民党総裁選に出る若手議員が現地へ行ったり、首相が住民を励ましに出かけたりというニュースを見て、どうして今ごろという気持ちもあったが、復興への支援が進むのであれば地域にとっては良いことだと基本的には思う。選挙に向けたパフォーマンスでも何でも、とにかく早急に支援の手を差し伸べてほしい。それに尽きる。