ドサクサ日記 7/25-7/31 2022
25日。
朝起きるなり、喉が痛くて驚く。日比谷野外音楽堂までの日々はずっと気を張っていた。終わってからならぶっ倒れてもいいかなと思っていたら、発熱のない地味な夏風邪を引いたらしい。新型コロナの可能性も皆無とは言えないので、コンサートやフェスの時に使うための抗原検査キットで確認。陰性。難儀な時代だ。これからもしばらくは、かのウイルスに振り回されるのだろう。感染は不可避な気もする。
26日。
地下スタジオでひとり、延々とミックス作業を行う。喉の痛みは前日の半分以下になった。くしゃみだけがよく出る。仕事の合間に織田裕二の世界陸上でのコメント動画を観た。言葉選びや表情、すべてが良かったが、「地球に生まれてよかった」と最後に絶叫したのがとても良かった。完璧主義のような雰囲気のある人だけれど、ネタにされている言葉を敢えて使うユーモアがいいなと思った。
27日。
新型コロナワクチンの3回目の接種。昼間のうちはなんともなかったが、夜中にあまりの寒さで目が覚めた。これまでに感じたことのない悪寒で、無意識に身体がガタガタと震えて奥歯がガチガチと音を立てた。解熱鎮痛剤を飲んで布団に潜り込む。夢なのか妄想なのか、俺だけが本当の解熱方法を知っているというシチュエーションの、よくわからない幻覚のようなもののなかに埋もれたまま朝が来た。
28日。
ワクチンの副反応には比較的薬として優しめのカロナールがいいとのことだったが、EVEしか持っていないのでEVEを飲んで仕事場へ。薬効で熱は下がったが、肩の痛みと共に首の筋から肩甲骨にかけてがズシリと重く、それが原因で少し頭が引き攣ったように痛くなった。栄養ドリンク、エナジーコーラなどで元気の前借りし、MIX作業を行った。夕方からはアジカンまわりの打ち合わせをいろいろと。
29日。
この日は勝手に休日に指定してのんびりと過ごした。駅前の肉屋でコロッケを買って食べたり、ワクチンの副反応も治まったと考えて、見切り発車的にビールを飲んだりした。しかし、暑い。歩いて移動するのはしんどいのでバスに乗る。帰りもバス。バスの中は涼しくて天国だった。同じ道のりを歩いた場合を想像すると、バスのありがたみが増す。高速移動はどうあれタイムマシーンみたいなものだと思う。
30日。
プロコル・ハルムのA Whiter Shade of Paleを聞くと、故郷のことを思い出す。まったく静岡とは関係のない曲のように思うかもしれないが、静岡の早朝のアニメ再放送が始まる前、大井川の空撮とともにこの曲(インスト)が流れていた記憶がある。そして「JOKXナントカ静岡第一テレビです」みたいなアナウンスが入り、通常放送が始まるのだ(多分)。大名曲と故郷の風景が結びついているのは嬉しい。が、いつもこの曲の曲名やアーティスト名を忘れてしまう。もうそれはスコンと脳内に十円ハゲ状の空洞が現れたかのごとく、名詞だけが抜け落ちてしまう。メロディだけは出てくるので、「この曲知ってる?」などと仲間の前で歌ってみせるが、皆、一様にキョトンとする。俺の歌手としてのメロディ再現能力が著しく低いのが原因だ。「あの、ハムみたいな名前の、なんだっけな」とういう迷宮。
31日。
地下室でゴリゴリとミックスとマスタリング作業。肩の痛みがまだ少し残っているが、ワクチンの副反応の余韻は消えたとって良いと思う。遠く苗場ではフジロックフェス。友人知人のインスタには現地の写真が並ぶ。はっきり言って楽しそうで羨ましい。けれども、昔みたいな嫉妬心はない。心の底から成功してほしいと思っている。アーティストや観客たちにとってもかけがえのない時間であることを祈る。