ドサクサ日記 2/3-9 2025
3日
妙な時間に起きてしまって、不眠症まではいかないが、あまり良くない睡眠サイクルが始まってしまった。もともとぐっすり眠れるタイプではないが、平均で5時間、浅い日は3時間くらいで目が覚めてしまう。それでも身体が重くなければ問題なく、昼間に少し仮眠を取ればなんとかなる。問題は身体が重いなという場合で、これははっきりと過労とカフェインとアルコールなので、注意せねばと思う。
4日
都内で取材諸々。久々にスカパラ兄さんたちと談笑。いつ会っても包容力がすごい。演奏のときもそうで、ここを逃したら死、みたいな鋭角なタイミングを作らずに、注意深くメンバーのみならずゲストの歌唱や演奏を捕まえて、どこに落としても抱きしめてくれるようなグルーヴが用意されている。これは簡単なことではなく、様々な瞬間（修羅場を含む）を潜り抜けて鍛え上られたものだと思う。そこにヌルさみたいなところはなく、むしろその反対の厳しさを積み上げ続けて、その厳しさを演奏の内面に深く浸透させた技術で愛を表現しているような感じがする。自分もあんなふうな大人になりたいなと思う。取材の後は、撮影で来ていたヤマテツたちとペルー料理を食べた。ペルーには4000種類のジャガイモがあるとシェフが言っていた。セビーチェもロモ・サルタードも本格的でとても美味しかった。
5日。
リハーサルの前に東京都現代美術館へ。大盛況の話を聞いて、心理的な距離が生まれてしまって足を運べずにいた。坂本さんはまだ亡くなってそれほど時間が経っておらず、その音楽に触れるときは、何となく親密さを求めてしまう。それとは別に回顧の向きは加速していて、様々な人たちが坂本さんの作品やインスタレーションに触れる。もちろん、それはとても素敵なことだけれども、誰かの好意が自分の想いの脇を高速で走り抜けていく時、俺は言葉にできない感情を抱く。足を運ばねばと思い直して、オンラインでチケットを取った。立ち上がる「不在」がズシリと重いけれど、素晴らしい展示だった。普段の現代美術館よりも混雑しているけれど、人々の衣服の擦れる音や足音、入場の際の電子音もまた、作品の周縁にある環境音。それを大きな視点から音楽の一部だと捕まえると、混雑も不思議と愛せる。
6日。
ZEPP Haneda。俺たちがバンドを結成した頃、Wurts君は生まれていなかった。そういう彼がアジカンからの影響を語るのを聞くと、とても不思議なことだと思う。しかし、そういう自分も、たとえば自分が生まれる前に活躍していたビートルズの影響を深く受けている。録音物は音楽を変えたのだと思う。その時代の空気がレコードしてあって、いつでも瑞々しく取り出すことができる。素敵なことだ。
7日。
久々にソロのバンドリハ。しばらくは4人編成で演奏を行うことにした。久々に下北沢へ行ったのだけれど、散策する時間はまったくなかった。できたら一龍の大蒜拉麺を食べて精力をつけたいところだったけれど、この日は演奏に夢中になっているうちに夜が来た。受付のジマも元気そうでよかった。ニーチェとシモリョーも元気だといいな。俺は彼らに会えて、一緒に音楽ができて幸せだったなと思う。
8日。
久々の休み。スーパーに出かけてメガネの蔵人の日本酒を買って帰ってきて、未利用魚のセットみたいなやつを肴にして一杯やった。モウカザメという鮫の肉は強烈で、美味しいのだけれども、酸っぱい。ボラは臭みがなくて、案外美味しかった。最近飲んだ日本酒だと、「風の森」という奈良のお酒がとても美味しかった。俺は乳酸菌のような香りのする酒が好きらしい。なのでもちろん、マッコリも好き。
9日。
まったく予算のないインディーロックバンドの録音を引き受けてしまったので、一緒に作業。休みが1日潰れるな、とか思いつつ、セッションファイルを整理しながら準備するうちに、楽曲をどんどん好きになってしまって、後悔を幸福が追い抜いていく。作業が終わる頃には目がシパシパになって、ポンコツ人間寸前になってしまったが、とてもいい時間だったと思う。もうタイパとかコスパとか、そんなんは知らんよと言いたい。時間もコストも端において、俺はただ、この音楽に関われて嬉しいと思った。きっと、チャート的な観点から眺めれば、そういう場所からは見えたり聞こえたりはしない音楽なのだろうけれど、どっこい自分にとってはもはや人生の一部であり、バンドにとっては人生そのもの。タイムもコストも短いスパンで考えれば損失でも、長い人生を考えると、こんな素敵な体験はなかなかない。
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