後日、事務所NG…というお客様のお話。
こんにちは、タイラです
今日はよくあるスナックでのお話を一つ。
Kちゃんは、とある劇団在籍のミュージカル女優(43)だ。
うちの店で応援しているシンガーソングライターのファンという事でそのアーティストのライブ後に一緒に来てくれたことから、よく店に来てくれるようになった。
その日も、Kちゃんは劇団の後輩を連れて飲みに来てくれ、楽しく店を盛り上げてくれていた。
話は変わって、わたくしタイラはミュージカルが苦手だ。
スタートから「ミュージカルです」という作品ならギリギリ鑑賞を楽しむ事ができるんだけど、最近地上波で放送されている「不適切にも…なんちゃら」というドラマのように、何の脈略もなくミュージカルのようなシーンが始まると、どうにも我慢ができなくなり鑑賞をやめてしまうのだ。
居酒屋で飲んでいるシーンから急にヒロインが踊り出し、周りの客も同時に、一斉に踊り出す。この表現がどうも許せない。
だがしかし、旧「釣りバカ日誌」という映画にも主人公の「ハマちゃん」が踊り出し、それに合わせるように照明が変わり「ミュージカル」のような表現をするのだが、なぜかそれは見ていられるのだ。
多分、ストーリーの脈略とハマちゃんのキャラクターが一致している事が考えられる。
そのミュージカル女優のKちゃんに、ミュージカルが苦手な旨を伝えたところ、「ぜひ私のミュージカルをみにきてくださいよ!」と放った事から、この一連んの流れが面白いと考えて、「そうだ、ミュージカル苦手な俺をミュージカルに誘う1分のショートストーリーを作って、SNSに投稿しよう」と提案するとKちゃんから快く了解を得られたのでスマホで何度もそのシーンを取り集め、翌日朝のトイレの中でスマホ片手に編集を始めた。
少なくとも当店のSNSは数人ほどのフォロワーがいる事から、少しは宣伝になるだろうと、奉仕の気持ちいっぱいで心を込めて2時間で仕上げた。
そのショートストーリーは少し酔ったKちゃんが俺と面白くやりとりするシーンだが、横顔の俺のアゴの脂肪が気になったどうでもいいけど。
それをSNSにアップロードし、近くの河川敷に散歩に出掛けた。
一仕事終えた後の散歩や日向ぼっこは格別に気持ちが良い。
川の向こうに架かる鉄橋に、コトンコトンッと列車がゆっくり走る。
河原に一本だけ生えたすすきがゆったりした風にサワサワと揺れて、いっときココは黄泉の世界なのではないか?と自分の肉体の存在を確かめる。
俺のスマホが鳴った。
最近、電話の呼び出し音を「黒電話」から心地よい音楽に変えていたもので、それが電話の呼び出しだと気がつくのに少しだけかかった。
Kちゃんだった。
「マスター、ごめんなさい!あたし酔い過ぎていた!絶対怒られるから消してくれない?あの投稿!」
「オーケー、わかりましたよ」(誰に怒られるのかわからないが…)
俺は黄泉の国から引き戻され、その投稿をすぐさま削除した。ああいうものは、創るときは多大な時間がかかるけれども、消すときは一瞬である。まるで我ら人間の一生の最後のようではないか。
このような流れが結構ある。
どれだけ売れっ子なのか知らないが、こちらはそれを好意で宣伝してあげようという事だったのだが、「消せ」とは何事か。
これらは難しい話になるのだけど、自意識過剰な生き物にこれらの事象は多くあるような気がする。
カメラも前に立つなら、腹をくくれよ。
前にも1時間近くのYouTube用の動画をある女の子と撮った事がある。
家で4時間編集したのち連絡が入り、昨晩の動画は上げないでくれとの事だった。
あんた達、自意識過剰&覚悟もなくカメラの前に立つあなた、これだけは言っておく。
そんな中途半端な覚悟では、一生売れることもないし、ウダツの上がらない人生だろう。
かたや知り合いの女優は、どんなに酔っていても、カメラをむけた瞬間スイッチが入り、別人になる。これがプロの覚悟ってもんだ。
プロを名乗る素人相手にカメラを回すって、こちらも覚悟がいるわけだ…
おわり
ps なんか苛立ちから筆を取ってしまったので愚文になりましたが、楽しんでいただけたら光栄です。応援よろしくおねがい致します