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ペルソナ4足立透について考える【1】

U2は監修してないです。ペルソナ4ゴールデン/P4AGのネタバレを含みます。


足立透って見方を変えれば幸せだったんじゃねえかな。
彼なりの作ったルールに従うこともそれはそれで満足のいく結果だったのでと思う。彼なりの自分の霧の晴らし方?

「学生時代を満喫できなかった鳴上悠」

主人公が都会から引っ越しをして力を得た。裏を返すと引っ越しをせずに同じ道を歩めば足立透のルートを通ってしまったかもしれない。または、そのまま繋がりを信じずに目を背けた場合も彼と同じ道を歩むことになったのだろう。
アルカナとしてみても何者でもない愚者と道化師(欲望)は表裏一体である。

まさに陰陽という戦闘BGMに見合うコンビだと思っている。
(ying yangはP4Gの曲のタイトル)

イザナギとマガツイザナギ、逆だったかもしれねえ男達。

「代わりなんていくらでもいる」「独り占め」という選択をせずに、共存の道を選べたらまた話は変わっていたということ。
堂島さんと主人公を受け入れることができれば救われたのだと思う。
というより足立透にとって主人公がシャドウそのものでもある。受け入れる事が彼にとって苦痛になることは必然である。

P4Aの美津雄で鳴上悠のシャドウの描写があるが、ここに来て得られた物を失えば、生活は逆戻りする。つまり足立透のルートになってしまうかもしれないという事も本人の無意識は自覚していたのだと思う。(事件で繋がりを得ているので絆が薄ければなくなってしまう可能性もあるからだ)
まぁ、事件がなくなったとしても強い関係性というのはなくならない訳で…

足立透に一人で会いに行くという選択をした鳴上悠に対して花村がもう少し「俺らをもっと信用しろよな」という発言が足立透+生田目にも必要だったのだと思う。ルートが変われば三人の主人公、希望/絶望/虚無とその席が逆だったかもしれない。(主人公が選択ミスをすれば足立透、生田目とやっている事は変わらなくなるので)

味方がいなかったらどうすればいい?頼る先を間違えなければいいんじゃないですかね。「生田目は足立透という警官に頼った」「足立透は堂島家と頼れる存在は持ち合わせてはいた」「鳴上悠はパニックになった味方と落ち着いて相談することができた」

「才能というチケット」

これに関しては左遷された彼としてみると「才能のチケット」持ってるじゃねーかという話でもある。左遷された事実は置いといて、堂島家という居場所も貰えていたのではある。(時系列としては主人公というキラキラした存在が入ってきたけれど)本人の変わる意志があれば望んでいたものは手に入ったのではないのかと思っている。鳴上悠の人間ステータスは足立透より劣っていたことは事実であると思う。皮肉な話だが、「テレビに入れることによってHEROとして成長するキッカケを与えてしまった。」
これは鳴上悠の周りのペルソナ使いも同様だ。テレビに入れたのが他人だったからこそ、彼らは弱い自分を受け止める良きキッカケになってしまった。

まさに悪役と主人公の対比で在ろう。

足立透が求めていたものは鳴上悠が持っていったと勝手に思い込んでしまっている。

「欲しかったのは特別という存在」

足立透のジュネスでのシーン。おばあちゃんの息子の透
ゲームの勝ち負けに拘るようなものでもある。深くは掘り下げていないが、いい面しか見れていない。いや仮に完全上位互換だったとしても、彼も彼なりの「警察官」として見られているのだ。ネクタイは曲がっていたとしても、もしかしたら彼の生き方も変えられたのかもしれないと思う。

お互い弱い部分は実際あったんじゃないのかな、そこにいた三人にも。

ただ、ほんの少し道に迷っただけで終わった訳じゃない。

才能のチケットというより彼は何かで勝ちたかったのだと思っている。
共犯者でこちら側に落ちてくれた鳴上悠。そして電話番号を確保し、完全に服従する犬を手に入れた。

足立透は大人になる機会を得られなかった子供が大人になっただけ。

誰しもが持っているシャドウのような物、それがただ肥大化してしまっただけだと自分は解釈をしている。
大人として見られたいが、彼に関しては全てが遅すぎて、心が弱かった。
堂島さんという居場所は心地よかったが、抑止力としては足りなかったのだと思う。主人公に奪われたように感じるくらいか弱い存在だったのだと思う。

目を軽く背けただけ。だから登場人物全員に変わるキッカケはあった。

ゲームだから敵も主人公も必要。神様目線で見えているから色々と言えるが、霧のかかった世界で真実と向き合う事が彼らに必要な事だったんじゃないのかなと思う。ミツオも変われたんだよ。
というより、まだ高校生なんですよ。登場人物のほとんどが。
勿論、大人も悩んでますよもれなくね。堂島さんのプライベートだって足立視点では隣の芝生は青く見えたかもしれない。

だけど、奈々子ちゃんにも堂島さんにも大きな悩みはあったのだ。
プレイヤー視点だから様々な事は言えるが、足立透にはそれが見えていなかった。もしかしたら堂島さんと奈々子ちゃんを引き合わせる役を彼がやり遂げたかもしれないのだ。少なくとも透のおばあちゃんの支えにはなっていたのだと思う。

奈々子ちゃんの弱みに向き合える強さが足立透にもあれば、彼も主人公になれたかもしれない。

HEROの立場になれたかもしれない男、足立透

マガツイザナギというたった一つの力だけでは世界を変える事はできなかったかもしれない。ベルベットルームも存在しないかもしれない。
だけど、話が違っていたら、例え薄味な物語だったとしても正義と法王のペルソナは得られたかもしれないのだ。真実に辿り付けるかは別だが。
可能性は十分に高くなる。なんなら生田目と鳴上悠とタッグを組めばまた話は変わったかもしれない。彼は警察官なのだから、堂島さんとの絆なら馬鹿げた話を信用してくれたかもしれないのだ。
なんにせよ、イザナミの掌の上だったとしてもそういう展開はあったかもしれない。

「勇者ミツオはなんだったの」

「足立透」になってしまった、いや真実というより現実をまだ見れていなった高校生と見ることができるだろう。というよりモロキンをテレビに入れてしまった。
才能というチケットに関してもまぁ正しい。努力しなければ足立透も拳銃を持てるチケットは持てなかった。というよりミリタリー趣味のように憧れた事がモチベーションになって警察官というポジションになれた事は彼の幸せだったんじゃないのかと思う。
どちらも幸せという事に気付いていなかったのだと僕は思えている。
ミツオだって、ゲームができる環境に生きていられたのだから。
あとパソコンを触れる環境もあったらしい。鳴上悠の自宅にはなかった。

なんと、鳴上悠の自室にはテレビしかない…

家族から愛されていたかはどうかは分からない。だけど、少なくとも真実を見る勇気が少しでもあったら、足立透のように後戻りができなくなる前に引き止められたかもしれない。ただ、不幸な事に足立透が先に近づいてしまったのだが。

もしかしたら努力することを覚えたらミツオだって人間ステータスを変える事ができたかもしれない。鳴上悠だって引っ越し前はそんな目をしていたのだから。

主人公が人を変えるように、足立透も同じ「共犯者」側としてミツオを後戻りさせないようにしたというだけである。
共犯者の側の人達は主人公も含め、目を背けた人達という事。
霧のかかったシャドウの世界を望む側の人達という事だろう。

もしも、彼にも居場所があれば、また結末は大きく変わっただろう。
それは自称特別捜査隊の人達と紙一重。

才能というチケットってなんだろうね。

「うまくやれる奴は初めから決まっているのさ、才能ってチケットを持っている。」うまくいった側面しか見てないからこそ、その言葉でひとまとめにできるのだろう。彼自身も警官として初めは立ち回れたのに、なぜ彼をここまで落とすことができたのか。環境なのか、周りの人間なのか。

雪子はテレビでも紹介された旅館を営んでいる。あくまで手伝いだけど。
足立視点では羨ましいなぁと思ってしまうだろう。テレビとはいい所しか映さない事実に関わらず、その情報を鵜呑みにしてしまう。

彼女自身、店を継ぐ継がないと悩んでいた。足立透と同じように人の優しさに触れる事はなく一人暮らしをするという違った道もあるかもしれない。

マヨナカテレビの噂を信じてしまってそれを行動を移してしまうのも、人間の弱さを醸し出しているのだと思う。

噂を信じてしまう人間ってとても柔い存在なんじゃないのかなって思えてくる。主人公達も年相応にはしゃいでいたしね。

才能のあるペットの犬について

P4アニメで才能があるワンチャンですね~と犬に嫉妬する足立さんの気持ちも分からなくもない。でも、犬だぜ?犬と人間を比べてもな。

才能(環境)のチケットを持たないこともまた幸せなんじゃねーのって話。

「気付いちゃったら絶望だけ。ゲームオーバーだ」って、一体何と戦っているのかという話になる。というより努力の放棄をしている言い訳なのでは?

旅を始める愚者か、旅を辞めて墜ちてしまったのか。それが愚者と道化師との違いだろう。

足立さんはもうかなり盲目だったのかもしれない。だからシャドウの世界に強く歓迎されたのだろう。

見たいように世界を見ているだけであった。

ミツオも成功体験がなかったからこそ、前を向くことができなかった。
足立透も捻くれてないで、また道を模索すればよかった。確かに学生と大人を比べる気持ちは分かるが、彼らも彼らなりの強い悩みを本心では隠していたのだ。
奈々子も奈々子の重い悩みを抱えていた。打ち明ける事には勇気が必要だった。
あの心象風景でありたいと、彼女はあの歳で思っている。
ただ、足立の前には伝えてないが。堂島さんにもその風景は見えていない。
堂島さん自身も実際な所、奈々子や主人公に向き合えていなかった。
足立にも向き合えてなかったんじゃないのかなって。だからもしも、少しでも道が違っていたら、堂島さんも奈々子ちゃんも鳴上悠を含めた家族の中に足立透も入れたかもしれない。かけがえのない絆を分かち合えたかもしれない。

主人公の欲望コミュの目覚め。

足立透と関わったからこそ道化師から欲望コミュと変化した。
欲望のカードは「汝の意思するところに従え」普通の人間として関わっていて、そちら側と気付かずにコミュニティーを築いてしまった。そこで一年間築いてきた全てのコミュを捨てて、足立透という人間に全てを差し出すのも、共犯者ENDというのは実に人間らしい選択だと自分は思っている。
彼もまた、旅をやめて墜ちてしまったのである。

足立透のペルソナとワイルドの素質を持つ主人公。

しまいにゃ、足立透のマガツイザナギまで使役しちゃいます。
これって良く見えるけれど、過程も含まれているんだよね。
道化師でMAX、欲望コミュでMAX。何でもは使えるけれど、ただ共犯者ルートでのペルソナはマガツイザナギとイザナギの二つくらいにしか使えなくなりそう。何故なら少なくとも自称特別捜査隊のアルカナは裏切って捨て去っているから。

足立透の本心を知ったうえで、本当の意味で彼のペルソナも捜査隊と両方使えるようになったと言えるだろう。なんにせよ、ゲームとしては共犯者の時点でお話は終了。ワイルドの素質も水の泡で真実には辿り付けない。

足立透も鳴上悠も表裏一体なのだ。

うまくやれる才能のチケットを持ったとしても、道を完全に間違えれば結果はこう。
全アルカナコミュも含めて、誰だって一度は道には迷う。
本当に本当の最悪な結果を避け続けて、真実を見続けて生きていく事がペルソナ4で学べることだと思う。

本当の意味で諦めなければ、綺麗な風景が見えるだと思う。

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