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留置場ペンって? 情状証人って?

2015(平成27年) 5月23日 記


 ようし。いつまでもメソメソなんてしてられない。今日から反省文にも熱が入る。
 加えて先生から出された"薬物は止められる?"のエクササイズにも取り組む。今のところ自分にできることはこれしかないのだからできる限りの事は全力でやる。少しでも判決を安くするためには寝てるヒマはないのだ。
 そりゃあこういうところだからネ。皆、自分の身に起った事が信じられずにボーっとしてるね。
 泣いているのもいる。仕方ないと諦めて、笑ってバカさわぎしてるさっぱりした奴もいれば俺のように諦め悪く最後までジタバタしようってのもいるわけだ。本なんか見てられない。
 朝からボールペン握りっぱなしだよ。警察署によっては、留置場に4本しかないから必要な人は時間で使い回すなんてところあったけど、ここはひとり一本割り当てられているので時間に制限はない。朝から使いっ放しができる。
 俺のインクの切れ方は他の人の倍だ。ところで、この警視庁の管轄の留置でのみ使用されてるこのボールペン。
 武器にならないようにって先が丸くなっててペン先が3ミリ程出てる。
 バカバカしい。書きにくくって仕方がねエ。いくらこんな風にしたって武器にしようと思えばなっちまうだろ。ああ指が痛え。今日も頑張った。疲れたよ。


情状証人って?

2015(平成27年) 5月24日 記
 情状証人ってのは裁判のときに俺の味方をして、検事の質問を受けたり弁護してくれる人間の事だ。
 今日先生が面会に来た際に、俺言ったんだよ。

『先生、福祉の人。俺の母のケースワーカーの林サンを情状証人に呼べませんか?あの人だったら俺がシャバでどんな風に一日一日を送っていたか知ってる。俺が今回、間違いを犯しはしたがシャバでどれほどお袋のために行動してたか。どんな風に薬を断ち切ろうとしていたか。どれほど一生懸命に生きていたのか全て判ってるはずだ。あの人ならそれを裁判できっと証言してくれる。榎本クリニックから出向して来ている服部サンだって同じです。きっと俺のために2人は協力してくれると思うんです。』

ってね。と、俺はそんな風に信じていたよ。
 あの二人を。でも心のどこかに試してみたい気持ちが有ったのも事実だ。それは・・・。

PS
今こうしてノートを開いて写していると、当時のことを思い出す。
 俺って馬鹿だなあと、改めて思うのが辛い。

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