ベロンじゃねえかって?
2014/7/21 記
刑務所の中ではあちこちで、舎弟にしたとか、なったとか、はたまた兄弟分になったとか水に流したとかしきりにやっている。
俺には興味のないことで、ヤクザの話をされても全くわからない。
ある日突然敬語になって、兄貴となった人のサンダルの出し入れや、布団の上げ下ろし、顔を洗えばタオルを用意するなど世話を焼き出し、「アニキ」と、呼ぶようになる。
その時点で兄貴と同じ組のヤクザになるのだから本人はその気になる。
雑居では、こういう新米舎弟がいるのに参るよ。
一週間ごとに交代でやってる皿洗いのことについて真顔で言ってくる。
「申し訳ないですが、兄貴に皿洗いをやらせるわけにはいかないので、兄貴の当番は飛ばしてください」だって。勿論そんな時俺はいうよ。
「じゃ、舎弟さん、兄貴の代わりにあなたが二週間やってね」と。
だって俺たち他の人間には関係ないことだもの。
もっとも、ちゃんとした兄貴は、舎弟に世話なんか焼かせず、皆と同じに振る舞うものだよ。
オヤジが言うにはこの件に関しての揉め事は一番多いらしく、こっちでアニキを作ったやつが、あっちでもアニキを作ったりする。
自分がヤクザでいたいのか、都合のいいアニキを作っていると、最初のアニキは言う。
「あの野郎があいつの舎弟になったと言うなら俺はベロンじゃねえか」ってね。さて、このベロン。
裏切られたやつにあかんベえと、下を出されるベロンなのか、舐められてる、の意味からくるのかはわからないけど
B級刑務所あるあるだ。
別にヤクザだからって一目置かれるとは限らないし、ヤクザでなくても一目置かれる奴はいる。
要は自分の在り方次第なのをわかっていんだな。
PS 以前の刑務所に比べて、現役ヤクザの数は圧倒的に減った気がする。ヤクザは満期当たり前なんて時代じゃないのかな。
上の写真だけど、遠くから見たら割烹着を着たおばさんに見えたんだよね。