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私選・国選って?(他1話)

2015(平成27年) 5月16日 記


 さっそく弁護士の先生がやって来た。
 一昨日の拘留質問の際、裁判所に一早くかけつけてくれてすでに挨拶しているので、今日は2度目の対面だ。 被疑者となった俺には弁護士がつく決まりになってる。弁護士の先生には私選といって自費でやとう場合と、国の負担でつく国選の2種類が有る。
 俺は過去3回を私選、2回を国選にした。どちらが動いてくれるのか、力を持っているのかは運だ。
 金を払ったからって良い弁護士が現れるとは限らない。現に俺の過去の経験から云えば3人の私選弁護人よりも国選の2人の方がよっぽど動きも良く熱意を感じた。
 今回、来てくれた先生は国選の弁護人だ。
 裁判所にあいさつに来てくれたこの先生からは人の良さが伝わる。
 さっそく俺は言ったよ。

『先生。今回、俺がパクられたのは勿論俺の小便から覚せい剤が検出されたからです。これは自分が悪いんだから仕方がない。納得です。でも俺は薬をやめようと努力していた。これもまぎれもない事実なんですよ。1月に刑務所から帰って来てからは、薬からも、薬に関わる人間からも距離を置いて生活してました。福祉に相談に行ってすすめられた薬物禁絶のためのクリニックにも通ってたんです。
 だから俺を唄うやつがいるはずがない。警察が俺のとこに来る要素がないんだ。
 警察が来た原因が判らなくちゃ、俺は素直に刑務所へ行くわけにはいかないんです。』

なぜパクられたのか

2015(平成27年) 5月17日 記

 朝から狭い留置場の中で、無い頭を振りしぼって考える。出所してからの俺はお袋の介護、病院の付き添いから、メシの仕度まで、これまでの親不孝を詫びるべく頑張っていたサ。
 でもサ、完全にシャブと切れるかっていったら不安なところはあったよ。だから正直に福祉の人に相談して、どこかの自助グループのミーティングにでも参加できないかって聞いてみたんだよ。
 そしたら福祉にはメンタルケア支援員なんていって、クリニックから出向して来てる服部ってオバサンが居たんだ。そしたらサ、お袋の面倒見ながら仕事を探すための就労支援ての受ける事になってたのを、急に打ち切って、

 『まずは病気を治すのが先』

 と、クリニックに通う話がどんどんすすんで決められてったんだ。俺は刑務所に居るうちからハローワークの就労支援を受けてて、そのデーターが大森のハローワークに届き、ムショ帰りの俺を専門に担当してくれる人もついて、就活始めていたのにだぜ。
 クリニックには朝9時に行ってそこで夕方6時まで過ごす。
 今のうちは自宅から通うものの、現在宿舎の空き待ちなので、部屋が空き次第、宿舎に移りそこからクリニックに通うって手はずをととのえられてしまった。
 その間は病気を治療するって事で生活保護が出るというんだよ。
 とりあえず宿舎の見学、クリニック理事長との面談。それが済んだら明日からすぐにでも通院だってサ。
 本当強引だったんだよ。お袋の事どうすんだよ。
 俺のC型肝炎の検査入院も来月からって決まってるのによォ。
 でもお袋の事は福祉が責任持つっていうし、それが俺のためにもなってお袋も安心するならって受け入れたんだ。
 そんな中でなぜ警察がオレのところへ来るんだよ。やはりわからねェ。


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