悪夢の挑発
2014/10/11 記
もう、夢の話は書かないと言ったけど、なくなったわけじゃないんだよ。まだ苦しんでる。
夕べの夢の話を今回だけ聞いてくれよ。
多分、清ちゃんの手紙が来たことで癌の再発の心配がないことにホッとしたのと、昨日の慰問の際のオヤジ連中の人を挑発するような注意の仕方にイライラしたことが、これまたミックスして夢に出たんだろうか。
夢の中の俺は引っ越しで、荷物を運ぼうとマンションの一階ロビーに居た。
すると元妻と、別れた当時の小学3年の娘の声が裏手の駐車場の方へ横切った。
どうやら二人はこのマンションで暮らしているようだ。
まずい。二度と関わらないと約束しているのに。
困惑して、知らぬふりをしようかと思ったが、いずれ知れることなので後を追うことにすると向こうから大きな荷物を抱えながらこっちに歩いてくる。
その側には、なぜか白衣の医者も。
伏せ目がちに声をかけて、
「知らなかったんだ。今日越して来てしまった」
よく見ると元妻は何と髪が一本もなくその上全裸だ。びっくりして、
「病気なのか」と聞くと、
「うん、治療で…」
と言う。「癌なのか」と聞こうとするが娘が側にいるのでその言葉は飲み込んだ。そして
「何で裸なんだ服を着ろ」
そう言って自分の上着を脱いで着せようとすると
「先生が…」
とか何とか言って振り返る。
後ろにいた人の悪そうな医師が俺を見てニヤリと笑った。
「おい、何で裸なんだ。人が見てるじゃないか」
と言うと、医師はため息ついて首を振り、呆れ顔で俺に言う。
「あなた誰なんですか」
と、バカにしたように挑発してくる。ブチ切れる寸前だ。
「誰でもいいだろ!裸で歩かせるのが治療なのか!非常識だろ!」
と言うと、一歩前に出て来て、
「ああ、彼女の運転手か。運転手は口を挟まないで」
と、訳のわからないことを言ってくる。
「運転手じゃねえよ」と言うと、
医師は元妻の耳元で意地悪そうに
「あれは函館の男だったか」
元妻は困った顔で俯いた。
この野郎と一歩近づく俺に
「ああ、昔の旦那さんね、それならもう関係ないんだから引っ込んで引っ込んで!」
そう捲し立てたのと同時に俺は医師の耳たぶつまんで引きちぎってやろうと、思い切り力を入れて引っ張ると同時の自分の声で目が覚めた。
あまりの怒りに心臓がドキドキしたままだ。
これで一日気分が悪い。
なぁ、先日のテレビで、悪夢は何とかアルツハイマーの症状だなんて言ってたよ。
本当に壊れるのかもなぁ。
いつもいつもこんな夢ばかり。
助けてくれ。
PS
元妻が、どうしているのか聞かないようにして今まで生きて来た。
知ってる知人にあっても話さないでくれと頼んで。
きっと幸せにやってることだと思うが、知らないままだとこの先ずっと、この悪夢に苦しめられるのだろうか。
しかしそれこそが俺の償いなのかもしれない。