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ライダーの悲劇

2014/12/30 記
 ジャンキー列伝4日目は、もう一丁ヒデさんの話をしたいな。
 ヒデさんの趣味は大型のバイクだ。
確かハヤブサとかいう1000cc越えのすげえの乗ってる。…いな、これももう過去形で、乗ってた。が正しい。
 ある日ライダースーツに身を包み、バイクにまたがったヒデさん。
 この時ヒデさん散々遊んで、一番よれるという方法の、飲み込む方法での摂取だった。
 さて、バイクにまたがってフルフェイスのヘルメットを被ったヒデさん、その瞬間に、どこからともなく

「おーい、お前何カッコつけてんだよ」 

と、聞こえてきた。
 慌ててヘルメットを外し、辺りを見回すが、あたりに人影はない。
 気のせいかと再びヘルメットを被ると、

「大した腕もないクセにそんなバイクに乗りやがってよぉ〜」

 今度ははっきりと聞こえた!
 焦ってヘルメットを脱ぎ、中身を見てみた。そんなはずはないと辺りを見ると、丁度通りかかった人が。

「お前!何か言ったか!」

びっくりした通行人はなんのことやらわからないが、あまりのヒデさんの剣幕に

「いいえ」

と、首を横に振り、足早にその場を過ぎ去っていく。
 どうも納得いかないヒデさん。
 もう一度ヘルメットを被った時、

「ばーか。まだ気がつかないのかよ」

ヒデさん、外したヘルメットを地面に叩きつけた。
 そのまま怒りに任せてノーヘルで走り出すと、今度はタンクが喋りかけてきた。

「そうか、このタンクに隠れてやがったのか!」

何が隠れているのか本人もわからないまま、バイクを止めて、他人の家の庭にバイクを駐車させた。
 ドアをノックし、住人に

「すいません、しばらくの間バイクを預かってください」

と言って本人電車を乗り継いで帰宅した。
 後日、正常に戻ったヒデさん、どこへバイクを預けたのか思い出せない。
 盗難届を出すも見つからず、高級バイクは水の泡と消えた。
 大損害だ。
 面白いのは後になっても幻聴のことは覚えているという。
 後になれば笑い話だが、その場では何も疑わず入り込んでしまっているのだからやっぱばり怖いよね。

 今はキッパリと薬と縁を切ってる人だからこそ、笑って話せる怖い話だろ。

PS
ヒデさんのこと散々書いちゃったよ。こりゃ怒られるかもな。
(写真)
今日の世界3大夕陽は見れなかった。
釧路駅近辺は盆踊りでは際っていたよ。

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