焦るな!マスク逆さま
2014.5.2
先週やってきた新人は、そろそろ慣れてきて注意を受けなくなったが、昨日来た新人は散々にうなり飛ばされている。
先週の新人は初犯で、まだシャバの時間軸で行動できるから作業にもすぐ慣れる。
しかし昨日来た新人は年配だ。5回目のベテランのはずだが過去の刑務所が皆、楽なとこばかりでそのテンポが抜けない。
だから号令にも遅れる。怒鳴られれば委縮してなおの事迷うのでまた遅れる。
気の弱い者に訪れる悪循環だ。
全員整列したままそいつだけ、きおつけ、やすめ、を繰り返しやらされるはめに。
それでもついて来れず、副担はブチ切れる。
担当台から降りて本人の目の前に立ち、顔にツバを飛ばしながら烈火のごとく叱り飛ばす。
「てめえ、きおつけは懲役の基本中の基本だろこの野郎!この先何百回も何千回もやるんだろうがー。そんなのができねえようじゃ木工場はつとまんねえんだよー。ここはモタ工じゃあねえんだよ!」
なんといっても輩的な言い草の副担が俺は気に入らない。
まわりの連中は、あまりの言われ方に自分たちの足を引っ張られやしないかと不安な様子だ。
本人も一生懸命なのだが素早く動こうとすればするほどうまくいかず、その焦りは痛いほど伝わってくる。
そうなるとドツボにはまるのがせきのやまで、「保護具装着ー」の号令に新人のつけたマスクは逆さまだ。
真剣な態度に逆さまのマスクがおかしくてい方がない!。
もうダメだ。思わず笑ってしまいそうになったその時、脇にいた本担が見かねて近づき、ジェスチャーでそれを教える。
いやあ、こらえるのに必死だった。隣でおかしなことしないでくれ。俺が連れてかれるとこだったよ。
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人間落ち着いてやることが一番大事だね。