情状証人のススメ/プライドを捨てる時
2015(平成27年) 6月3日 記
月曜日にマサが来た時。
『ゴッサン情状証人どうなった?』
「ああ、この前福祉の林かクリニックの服部にって先生に言ったけどもその後どうなったかな。」
『なあ、チャマに出てもらえよ。』
「ええ⁉ダメだな。みっともなくて引っ張り出せないよ」
『俺の時は出てくれたぜ。』
「付き合いは古いけどナ。それだけに頼めねェよ。」
『身元引受人になってもらっちゃえばいいんだよ』
「余計できねェ。そんなこと。」
『俺は引き受けてくれると思うよ。俺も知らないガキの頃から知ってんだろ。出てくりゃ俺のときみたいにビシッと良い事言ってくれるよ。』
「俺が頼んで奴が断ったら、マサの証人は出ても俺の証人には出れないのかっておかしな事になるよ。」
『いや、出るって。俺から言っとくからサ。』
「いや、情状証人がたいして有力な気はしないんだよ。」
『やれるだけの事はした方がいいじゃねェかよ。』
「友達の関係が終ってしまうかもしれない覚悟で頼んでみろってことか。」
『絶対大丈夫だって。二つ返事で引き受けるはずさ。』
「いや、少し考えてみるよ。」
『時間ねェよ。そんなゆっくりしてる時間は・・・チャマにも言うし、先生にも連絡してみる。俺の事を雇用して更生させてる社長だっていえば強いだろ証人としてサ。』
「おいマサ・・・」
何て言うんだろう。やっぱりあいつ、いいとこあるなァ。
プライドを捨てるとき
2015(平成27年) 6月4日 記
マサが連絡したんだネ。
先生が面会に来て、チャマと話たと言って来たよ。
体調悪くて、入院すると思うので出廷できずとも書面なら書くのだが・・・と言っていたらしい。
先生に言ったよ。
『奴にその気が有るのなら這ってでも来ますよ。その気がないって事だからその話は無しです。』
すると先生は話をしたチャマの印象まで言い出した。
「あの人は、生真面目な人で、法廷で証言するなら嘘はつきたくない。言った事には責任持つといったタイプ。
出所後にゴトーさんの雇用主として引き受ける事には、職人の世界は甘くない。ゴトーさんのできる仕事を探せるかどうかって事には自信がないとおっしゃって・・・。」
『先生、俺は職人仕事自分でも向いてないと思ってますし、奴も良く分かってますよ。それに言ってませんでしたか。ゴトーは、人の言う事なんて聞きやしませんよ。薬止める気なんてサラサラないの判るでしょ。って。』
【はあ、先生はゴトーに美味い事言われてその気に・・・なんてハハハ・・・】あの野郎そんな事まで。
『違うね。先生。俺は今回本気で薬はやめる。俺の全てを知ってる男だけれどそこは違ってますよ。先生に言ってる俺の気持ちは嘘じゃない。』
「私もそう思ってますよ。あの人はゴトーさんに言いたい事言える人でしょ。本音で。
だから出て欲しいんです。」
『いやだって言ってるあいつに頭を下げて来てもらえっていうんですか。』
「はい。ゴトーさんから手紙を書いて下さい。」
よし。あいつに俺が本気だって事分からせてやるかナ・・・。うん。・・・ああ。でも先生。やっぱ書きたくねェよ。俺の安いプライドがじゃまするんだ。
PS
これはほんとに考えたよ。
でも、俺はそんな友情さえも裏切る男だったんだよ。
この話はしたくないな。
(写真)
これ全部湿原だって。
あの有名な釧路湿原なんだと。
今日知ったよ。いつも見てんのに。