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集団討論の奇跡

2014/11/28 記
 オヤジが昨日、「集団討論」に出るか?と聞きに来たので、何でも参加する俺はとにかく「出ます」が返事だ。
 今日呼ばれてみればそんなの出る奴はいないようで、調査房のある4棟一階から4階までで参加者は7人だけだった。
 この集団討論てのは聞くのも出るのも初めてだが、なんてことはない。カセット聞いた後に感想を言って終わりというつまらないものだったけど本日は収穫があった。
 調査房に来る前の木工6工場で、俺の班の班長やってた平原さん。
 俺とは満期が1日違いで彼が一足早く出る。
シャバで連絡取ろうというので、俺は俺は2本あるうちの、後輩に預けてある方の番号を教えた。
 ところが先日の手紙で何とそっちは不通で、領置してある方の電話が生きてることが分かり、俺は繋がらない方の番号を教えてしまったことになる。とんだ嘘つきになってしまった。
 彼の番号は面倒くさいので聞かなかったが聞いとくべきだった。
 電話が不通なら手紙やハガキを入れる手段もあるが、何しろ出所は1日違いだからもう間に合わない。
 非常に申し訳ない気分でいたが、どうにもいい方法が思い浮かばず、もう彼とは連絡できないと諦めていたら何と、今日の集団討論に彼は来ている。彼もまた、取り調べとなって調査中の身だったのだ。
 奇跡だ。
 彼はジェスチャーで、
「電話するから」
と言ってるので、必死に
「あの番号は間違いだ」
と伝える。
 それからずっとオヤジの目を盗み、繋がる方の番号を教えるのに必死だった。
カセットが終わって感想を聞かれても何もわからん。
「特にありません」
しかいえない。
しかし何とか番号は伝えることができた。嘘つきにならずに済んだのでほっと肩の荷が降りた気分だ。
 ずっと気に病んでたからな。
 今日は心晴れやかさ。

PS
平原さんとは、奥さんのエッちゃんも含めて今もいい付き合いしてる。
 あの時、平原さんが調査になってなかったら、そして2人があの討論会に出てなかったら今はないもんね。
 これもまた偶然が重なった一つの奇跡だろ。

平原さん今後ともよろしく。

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